図書館-J

自分の為に、読んだ本の感想メモ

本と出合いを大切に

『地球移動作戦(下)』/山本弘

2012-07-21 15:41:59 | 山本弘
山本弘 著『地球移動作戦(下)』(ハヤカワ文庫)
【2011.10.15】読了。
(2011年30冊目)

下巻です。

▼わしづかみです
展開が進むにつれて夢中に。
承前でしたが、冒頭の展開には息をのみました。
まさかこんなことになるなんて。せめて未遂で終えてもよかったんでは?とも思うけれど、これも合理的な判断の結果なんでしょうか。

▼理屈ではなくフィーリング
それから、公開討論のコンセプトも、とても面白く感じました。
世論、人々は、何が正しいかでは選べない、何に心を惹かれるかで選ぶんだって理屈。大いにある。
それは、望ましいことではないし、残念なことでさえあるんだけど、悲しいかなやっぱり現実は、そうなんです。
大の大人が論戦を交わすよりも、不完全ながらも偶像的な存在が主張する方が、魅力を感じてしまうなんて。
こんな人類って、間違った道だとわかっていながらそれを修正できずに滅んでいく気がします。

▼蛇足じゃないよ
ネックレス作戦など、小説には珍しい挿絵がとってもありがたかったです。文字だけで説明されるよりもずっとイメージしやすいから。

▼時事問題
シーヴェル接近に伴う天変地異に揺れる日本の描写から、頭をよぎった原発の心配。でも、良く考えたら、ピアノドライブによって、地球上から原発なんかは無くなっているんでしょうね。廃棄物なんかもきっと巧くやっているんでしょう。
この技術革新は、大きいね。パラダイムシフト。

▼未来予知
テロリストってのはいつの時代にもあるもので、技術をもつことでますます厄介に。
未来予知システムが画期的ですが、弱点があるのも事実。
情報量に制限があるために、複数のテロがあった場合は、対応できません。
読みながら、そんな危惧をしていたら、ちゃんと作中で指摘されたので安心。




面白かった―。
長編も良いね。


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