世界樹5 アップルパイのお話

世界樹5の二人旅(予定)
某所でやっていたお話の続き、というわけではなく平行世界的なあれで攻略していくのです

第51話 ヴァーノン昆虫記

2017-01-03 17:20:24 | 日記
「…あ、あの」

ヴァーノン
「やあ、アップルパイ!
 久しぶりだね。今日は一人かい?」

「ん、と。今日は、依頼を探しに来ただけ、だから…
 そ、それで。その」


ヴァーノン
「その依頼書を持ってきた、ということは
 僕の依頼を受けてくれたんだね!ありがとう!」

「あ、うん。そう、なんですけど」
「早速依頼の内容について話させてくれ!」
 君たちの話によると、白黒模様のパンダアントという蟻が五階層にいるんだよね?
 で、君たちにお願いしたいのは
 そのパンダアントがどういった味の物を
 好むのかの調査なんだ!」

「え、えと…?」剣幕に押され後ずさる

「それを調べるために必要な物を渡しておこう」

2つのパンを受け取る。
一つはひどく甘そうなパン
一つは見るからに辛いパン

「これを、パンダアントに食べさせる、て事、ですか?」


「そう。それ調査に使うために僕が作った特製のパンさ!
調査の為に作ったものでね。
味付けはかなり極端だけど、味覚を試すにはこれくらいで丁度いいのさ」

「喜んで食べるのか、食べて拒否感を示すのか
それとも食べないのか、どういった反応を返すのか観察してきてほしいのさ」


「はぁ……なんか、どっちも凄い匂いしてる、よね」

「置くべき場所はそうだね…アリの巣なんかがあれば、そこに置くのが間違いないだろうね
 じゃあ、頼んだよ」





「戦わなくていいし、楽そうだし。お金も良いし
 フィーア喜んでくれるかな…?」





ジュネッタの宿


「楽そうなら、ネサ一人で行けそうだね」満面の笑顔

「え………いや、その、一人、はちょっと…あのあたり魔物」

「大丈夫大丈夫。虫に餌上げるだけでしょ。平気だって」

「………い、一緒に」

「…………」

「…………」

「…………仕方ないなぁ。もう
 自分で依頼探しに行けば良かった」






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円環ノ原生林 22F



「あった。あったよ、アリの巣!あれだよね!」

「かな。じゃ、このあたり見張っとくから。巣の方はネサ任せたよ」

「ん。うん」

「観察と報告書もね」

「が、がんばる」

「うん。出来るって知ってるから。頑張ってね」




パンダアントの巣前


「…巣の穴、おっきいな…。蟻っていっても、魔物だし、体も大きいもんね…」


「え、と。これを置けばいいんだよね。どっちがいいんだろ」




バックパックから2つのパンを取り出し、悩む。

「とりあえず、こっちから…」

見るからに甘いパンを設置し、離脱

「よし、これで。隠れて様子見、だね」


近くの茂みの中に身を隠し、できる限り気配を絶つことに専念する



すると、1匹のパンダアントが樹海の通路を歩いてくるのが確認できた
そしてそのパンダアントは巣の入り口の前に置かれたパンの存在に気が付き
立ち止まった


「……」

パンダアントは見慣れない物体の周囲をぐるぐると歩き回り、様子を伺う

「……!」


突然パンダアントはパンへとかぶりついたかと思うと一心不乱に食べ進めていく
気が付けば、パンはきれいに食べられてパンダアントの体の中へ消えてしまった

「……食べちゃった
 甘いものは好きなのかな?」







「よし。次はこの赤い方だね」


見るからに辛そうなパンを
バックパックから取り出し、巣の入り口近くへと置く

「今度はどう…かな?」


そして近くの茂みの中に身を隠し
できる限り気配を絶つ事に専念した


「……来たっ」


すると、一匹のパンダアントが樹海の通路を歩いてくるのが確認できた
そしてそのパンダアントは巣の入り口の前に置かれたパンの存在に気が付き
立ち止まった

「………」


パンダアントは見慣れない物体の周囲を
ぐるぐると歩き回り、様子を伺う。
興味はあるようだが、真っ赤に染まるそのパンをすぐに口にいれようとする気配はない
しばらくたっても、まだパンダアントは用意されたパンを食べようとはしない

「食べない、のかな…?
 んっと。もうちょっと見てたほうがいいよね。まだぐるぐる回ってるし
 いなくなるか、食べるかするまで観察してないと」




そうして観察を続けることしばらく

「食べた…!!」

ついにパンダアントが辛そうなパンを
口に含んだ
先ほどと同様、黙々と食べ進めていく

「辛いものでも食べる…と」めもめも

と、突然パンダアントの動きが止まる

「?」

かと思うと
その場で苦しむようにのたうちまわり始めた!

ジタバタともがき続け…
最終的には慌ててどこかへ行ってしまった

「いっちゃった。苦手なのかな、辛いの」






「って、感じだったよ」

「へー。そうなんだ。味覚はあるんだね」

「うん。好き嫌いもあるみたいだね
 辛いものが苦手なのか、このパンがすっごい辛いからダメなのか
 そのあたりはあるかもだけど」



「食べてみたら?」

「…?」

「まだあるよ。食べてみたらわかるんじゃないの?
 実感の伴った調査。って奴」


「……そ、そっか。そうかも。調査、だよね」

「ちょっと味見るくらいならそんな酷いことはないでしょ」

とはいうものの、その表面はまるで絵の具で塗ったかのように真っ赤な色をしている

「………実感の伴った調査。うん」




「ちょ、っとだけ」

パンの一部を千切り、ネサは大きく息を吸って吐いてをしばらくの間繰り返す


「っ!」

そして、深呼吸を一つしてから、赤すぎるパンを口の中へと放り込んだ

もぐもぐもぐ

「……どう?」

「ん、と。別に、そんな特……――!!??」

「ネサ?」

ネサの体の動きがぴたりと止まる
やがてネサから表情が消え
目の輝きがどこかへと失われていく

「―――――――――――――っ」

気付けばネサの顔は耳の先まで、口にしたパンのように真っ赤になっており
体中が汗まみれになってしまっていた

「ちょ、ちょっと。大丈夫?
 辛かったら面白いなとは思ったけどこれちょっと…」


ネサはうめき声を上げながら横になる
舌の上は剣山でも刺したかのように痛む
体の表面は熱いハズなのに
パンを食べてしまった胃の中は
冷えてきた錯覚すら覚えている

「仕方ない、ひとまず宿に戻って休ませよ。調査は終わってるみたいだし…
 ほら、ネサ手を握って
 …うわ、痙攣してる、急ご」





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ヴァーノン
「え!?まさか、アレを食べたのかい!?」


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○ネサ  ルナリア 碧眼の兎《幻影》 LV62

・装備品 

バスタードソード+5 母から貰った大切な剣。取り戻した
ポルカ        厚手の外套。金属鎧は最近使っていない
ヴァンブレイス    特殊な金属を溶かし込んで作られたアームガード
ファングヘルム    筋力増強魔術のかかった帽子。耳が隠れる(大事)


・スキル類
プレディクト   10 多数の敵相手にはやはりこれ
シルフィード   10 普通の剣で反撃する
カウンターブースト10 反撃は一度に2~3回
もたざるもの   10 
リベンジスラスト 10 魔剣



○フィーア アースラン 精霊魔術師《三属》 LV62

・装備品
ルーンワンド+5   魔法文字を描き、魔力効率を高めた
ナインティスリー   精霊によるオートガード
巨亀の甲掛      16Fの亀の甲羅を砕き、グリーブへと変えた
知恵のピアス     精霊を宿している


・初級スキル
ファイアボール  5 火の玉
アイシクルランス 5 氷の槍
ライトニング   5 雷
高速詠唱     5 下のと合わせて
圧縮術式    10 精霊魔術の広域攻撃をコントロールし、点に集約する

・上級スキル
コモンマジック  1 誰かに魔法にあわせ、精霊が力を貸す
エクスプロード  5 精霊魔術化したファイアーボール
アイスストリーム 5 精霊魔術化したアイシクルランス
サンダーブレイク 5 精霊魔術化したライトニング
コストカット  10 精霊の機嫌がいいときは魔力を消費しないらしい


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3ヶ月ぶりですけど更新。
のんびりだけどちゃんと終わらせるよ
5層に来てからストーリー感が減ってやや話に困るんだよねーってのはあるらしい

こういう面白いイベントがあると素敵よね