Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

「た」のひきだし・・・

2006-10-12 03:19:14 | Weblog
このタイトルで「あっ!!」とお気づきの方がいらしたら…

ひょっとして、似たようなもの・ことに興味をお持ちの方かもしれませんね!!


最初にタネアカシをしてしまいますと
実は、これは向田邦子さんの『「う」の抽斗』になぞらえて、
勝手にそんな風に呼ばせていただきました。


先日来、そんなことをつらつらと考えておりましたら
偶然に立ち寄った、大きな書店のコーナーでとんぼの本という印のついた

「向田邦子暮らしの愉しみ」向田邦子 向田和子 著に出会いました。

(はじめに目に付いたのは、白州正子さんのお書きになった「白洲正子“ほんもの”の生活」や
白洲 信哉さんの編による 「天才青山二郎の眼力 」という本でしたけれど…)


私の中の向田さんはというと、
作家としてよりも脚本家としてのお名前が思い浮かびます。

(作家としての作品は、だいぶ前にほんの数編読んだきりで、
まとまって、いろいろと読んだ記憶がないので…
語ることができないというのが、正直なところかもしれません。)

もしかすると、それよりも先に、むか~しテレビで観ていたドラマの印象が強くって
「その脚本を書いていらしたのが、向田さんだった」というほうが
正確かもしれませんね。


当時の私の年齢的にも、はっきりと記憶にあるのは「寺内貫太郎一家」でしょうか。

年表で確かめてみると、その頃は高校生でしたから
何が面白くて観ていたのかを、よくは思い出せませんけれど

ドタバタとしたホームドラマのカタチの中にも、
ドキッとしたり、ハッとさせられる「ひとやひとの生きるさま」を
鋭く写しだすような、けれどあたたかいまなざしが感じられたのかもしれません。

その後は、「家族熱」「阿修羅のごとく」「あ・うん」などなど

二十歳すぎくらいの私には、どこまで理解できて観ていたのかは
いま考えても、大きなナゾです…

他にも、山田太一さんや倉本聡さん鎌田敏夫さんなどなど(思い出せない方もたくさん)
興味をひかれるTVドラマの作家の方がいらっしゃいましたね。

あまり最近のTVドラマを、観ていない私にとっては、
当時観ていた、それらの語るものは、さりげないようでいて
とても密度の濃い、なんだかスゴイものがあったような気がします。

(最近のTVドラマにも、面白いものがあるのかもしれませんけれど
ほとんど観ていないので、比較するつもりも、比較もできませんので…スミマセン)

お話は、ずいぶんと寄り道をしてしまいますけれど、もうすこし続けてみます。

そんななかでも、女性としての視点が、どこかにつよく感じられる点で
向田さんは、いつしか私の大好きな、気になる方になりました。


作家としての活躍や直木賞受賞のニュースも、記憶のどこかにありました。

そして、飛行機事故で突然お亡くなりになったこと。


そのときに何をしていたかは、まったくといっていいほど思い出せませんけれど

私自身が、とてもビックリしたこと、
茫然自失というのはそんな時のことを言うのかなぁ…という感じだけは、残っています。

その後も、年に一度お正月になると向田さんの小説をもとにしたTVドラマがあったり

たしか、NHKの番組で、向田さんの恋(?)のお話を知ったり
お父さんとの関わりを扱ったお話などを、見聞きいたしました。

「娘と父親」「娘と母親」「姉妹の関係」ひいては『家族』というテーマは

おそらく、私にとっては、むかしむかしの若い頃から、今に至るまで

まだまだ、何かどこかにやり残している宿題のようなもの、のような気がしています。

きっと、そのことに向き合う道の途中で

向田さんのお書きになったものの中に、たいせつなヒントや道しるべが残されている…

そんなことに思い至りました。

もうひとつ、驚きにも近く、とても不思議に感じたことは、

向田さんが、私の父と同じくらいの昭和生まれで

お亡くなりになったのが、今の私の年齢にも近い51歳でいらしたことです。

とても、オシャレで、カッコよくて、颯爽としているお写真もとても素敵でいらして
年齢とひとの生き方って、なんとも不思議な関係なんだなぁと思いました。

「歳をとっても、輝いているひと」「年齢を感じさせない、生き生きとしているひと」などなど

そんなことの中にも、これからの自分のあり方を考える時に
とても大きいけれど、素敵な目標が見つけられるような気がしています。


先ほどご紹介した「向田邦子 暮らしの愉しみ」という本の扉のウラ(というのでしょうか?)

にあった言葉を、忘れないように、こちらに書き留めておきましょう。(以下引用)



料理上手で食いしん坊、器、書画、骨董にも熱中し、ひまさえあれば旅に出る。
大好きな猫と暮し、着るものも身の回りの小物も
「あら、こういうの、いいわね」と楽しげに、
けれどしっかりとした自分の眼でお気に入りを選んでいく。

突然の飛行機事故で、風のように去っていってから二十年以上が経ちますが、
向田さんのライフスタイルには、
「自分らしく生きるとはどういうことか」
「自分らしく暮らすとはどういうことか」を知るヒントがたくさん詰まっています。


                                引用ここまで


モチロン、向田さんのように、格好よく素敵にはできませんし

「自分らしく」という点では、結局「自分らしく」「マイペース」でしかできないわけで

そんな中でも、自分のことと、身のまわりの人にも意識を向けながら

いろいろな何かを感じながら、まだまだやりたいこと知りたいことを抱えたままで

「人生の後半への折り返しが、できたらいいなぁ」ということを

こころに、つよく想いました。



さてさて、いつものワルイクセが出てしまい、どこかとおくまで出かけてきてしまいました…



そんな、私の「た」のひきだしには、

好き嫌いともちょっと違うような…

もちろん優劣とは、まったく違う…

なんだか、とっても気になって仕方がなかったり

どうしても、目をはなせないような…

日々の暮らしの中で、身近に関わっていたり、ふと見つけたりしたもの・ことで

いますぐには、手をつけられないかもしれないけれど…

こころのどこかに、しっかりと留めておいて、きっと忘れずにいたいような…

そんな、私にとっての「たいせつなものたち」がたくさん入っています。


そんなもの・ことたちのお話を

ゆっくりと、ノンビリと、これからもしてゆけたら…

そして、もしも聞いてくださる方がいらしたら…

こんなにも、シアワセなことはないですね…



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「ひ」のひきだし (kyono)
2006-10-12 14:24:51
風待人さま、

お久しぶりです。

すっかり空気も光も秋のものとなりましたね。



向田邦子さんについてのお話を嬉しく拝読いたしました。

私にとってもあこがれの女性です。

もうずぅぅっぅっと前のことになりますが、本といえば歴史小説、しかも司馬遼太郎しか読まなかったころがありました。ウソごとの小説など読みたくない(歴史小説だって十分フィクションなんだけど…)、なんて思ってたんですね。

そのころ、直木賞で注目されたのが向田邦子さんで、ちょっとタイトルにもひかれ、まぁ小説じゃないから読んでみるか(エラソーですね~)…と手にしたのが『父の詫び状』…。

その文章のリズムや時代の空気感や、サバサバしているのに余韻が残る書き方などに、読み終えたころにはすっかり惚れこんでました。

日常もこんなふうに切り取ることができるんだって開眼したのも、この本のおかげ。

それから向田さんの本をあれこれ読み始めた矢先に、あの飛行機事故。本当にショックでした。だってもう、彼女の新作はどんなに待ってもあらわれないのですから。

悲しい恋をひとりで切り抜けた強さも、妹のためにお店を準備した思いの深さも、想像すると切なくなってしまいますが、彼女の目を見ると、そう感じることすら笑われてしまう気もします。

凛として、清々しく、熱くてお茶目で、たおやかで豪快で…。

こんなふうに生きたい、と思わせられる女性です。

私も長女(妹2人)で、とりあえず独身のまま突っ走ってきちゃったのですが、どこかでいつも“向田邦子の生き方”がチラチラして、重ね合わせるように考えてしまうことを危惧しながらも、彼女の軌跡に励まされている気がします。

つい最近も妹の和子さんが書かれた『向田邦子の遺言』を読み、本人が遺さなかった別の側面にも学ぶところがありました。

どこまでも憧れの女性です。



私は…ブログ名にも使っていますが、人生における出会いの中で自分が“響く”ことに反応していきたいので、「ひ」のひきだしにこれからもたくさん詰め込んでいけたらいいなぁと思います。

ながながとなってしまいごめんなさい!

(昼休みにバシャバシャ打ってしまいました)

ではまた!

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長女っていうのも、いろいろありますよね~ (風待人)
2006-10-12 15:40:33
kyono さま



向田さんは、ほんとうに心配りも細やかで

かつ、自分に正直な、オモイッキリのよさを感じますね。



私も長女ですけど・・・みんなそれぞれだとは思いますが

結構、自分を出せずにいたり、がんばってしまうところがあります。



私は、いつしかそんなシバリを放り投げることに気がついて

ずいぶんと楽になりました。



kyono さまは、司馬遼太郎さんがお好きでいらしたんですか?



歴史物はあまり読んでいませんでしたが

「街道をゆく」は、とても面白いと思って

ほんとうは、ゆっくり読みながら、実際に歩いてみたいです。

(だんだんに、その風景が失われているとしたら哀しいですけれど。)



NHKの赤ちゃんのお話を、楽しみにしています!!



皆さんにお知らせしてみてもいいでしょうか?
返信する
ぜひ♪ (kyono)
2006-10-12 19:54:41
風待人さま、



早速の応答、ありがとうございます。

番組については、中身は見てないのでわかりませんが、

でもきっとそれなりのものになっているだろうと期待してます。

ぜひ、皆さまにもお知らせ下さい。

赤ちゃんについて正しい認識を抱いていただきたいということが、伝わるものだといいのですが。



私のブログでは上司を“ボス”とし、名前はだしていません。

それは、その名前で検索してアクセスされるのは本意じゃない…ということと、あくまで自分の側から見た職場風景を描いているだけなので、いろいろ誤解を受けても“ボス”に悪いかな~と思って、です。



私は研究者ではないので、つっこんだことを論じられるわけでもないし、余計なことを言って混乱させても申し訳ないしなぁとも思うので。



もちろん、私のブログからたどってボスにたどり着いていただくのはアリだと思うので、内緒にしているわけでもありません。いやむしろ、へんな上司だなあ、何やってる人よ?って思ってくれたら、それはそれで面白いかなと。



本を読んでくださったとのこと、ありがとうございます!

あの本を読んでいただければおわかりのように、早期教育とか脳のトレーニングとか、大反対なんです。

タイトルだけ見て取材を申し込んでくる人がいるので、「受けるのは構わないですが、早期教育反対の方向ですよ」と告げると、以前はじゃぁやめておきます…という方が結構いました。

でも最近はちょっと情勢が変わってきましたね。「わかってます、ですからぜひ」とおっしゃる方が増えました。そろそろブレーキがかかってきたかな、とほっとしてます。



なんせ、○○先生の脳トレなんて名指しで怒ったりするんで(紳士的?な茂木さんとは大違いですね)、ハラハラするんですよ~(^^;

あのブームも最近下火になってきたのでホッとしています。



というわけで、ごめんなさい、自分のブログでは多くを語り(語れ?)ませんが、事情ご賢察を…。



長女はつらいですよね。

がんばっちゃう自分がときどきイヤになります。

エエカッコシン(と関西では言います)だな~と…。

あまり意味のないシバリかもしれません。

たまには放り投げましょうね!

ではでは!





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もしかしてビンゴ!!だったんですか~? (風待人)
2006-10-12 22:23:29
kyono さま



タイトルにひかれて、以前ご本を読んでいました!!



たまたま、星槎大学のLD方面の先生にも

発達についてのご本ということで、勧められていました。



そんなに、オモシロイ先生なんですか~!!



機会がありましたら、ぜひお話をお伺いしたいです!!



赤ちゃんの時期は、もうとっくに過ぎてしまいましたけれど

いま、小さなお子さんを見ると

ほんとうに可愛くって、オモシロイとつくづく思います。



子どもというのも、ある程度のちょうど良い距離感がとれると・・・



興味を持って観察する=(情を切り離して)愛を持って見る対象になると・・・

見方も少し変わって、お互いにいいのかもしれません。



子どもとしての私自身は、その距離感の取り方で、

かなりモガキ悩んだ時期がありましたけど。



何倍にも、楽しみな番組になりました!!
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ありゃ。 (kyono)
2006-10-13 12:38:30
そうですか~、てっきりお気づきになってのコメントだと思っておりました。ビンゴでした。(景品がなくてごめんなさぁい)



私は子育てとか子どもが近くにいるとか、そういう状況ではないのですが、赤ちゃんは人間の「原型」ですから、赤ちゃんを研究すると、どうやって人間ができていくのかが解明されそうで面白いですね。



私にとっては“自分を知る”研究のように思えます。



ボスは小児神経が専門の医者ですが、今は研究に足をつっこんでしまってます。異分野の研究者たちが知恵を寄せて赤ちゃんをあらゆる角度から研究していく環境を整えたいとか。でもやっぱり現場が好きなようです(^-^)
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異分野の研究者たち・・・ (風待人)
2006-10-13 13:55:11
kyono さま



素人というお気楽な立場からの発言で申し訳ありませけれど・・・



おそらく、いろいろなフィールドの先生方が

ご自分の主義主張は、いろいろとおありの中で



共通の目的(?)や「こころざし」を

(これは先ほど観たプロフェッショナルから、イタダキました!)



持って、いろいろ研究したり議論したりしていただけると・・・



きっと、とても素晴らしいことができるような、気がします。



「現場がお好き」というお言葉は、本ものを見ていらっしゃる方の

証し、でしょうね!!



ぜんぜんメジャーではないかもしれませんけれど

私がいま、気になっているのは、滝川一廣先生です。



一度、少しだけお話させていただきましたけれど

そのほんのわずかな間に、そのお人柄が伝わってきました。



人間のオモシロさ・・・その原点としての赤ちゃんの不思議に注目!!ですね~
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