「時をかける少女」・・・その後

一昨日、20年ぶりに小学校の先生とお会いして、懐かしいお話をしました。


その日の午後、私が先生のお住まいの近くで、演劇のワークショップに参加することになっていて
急に思い立ってお電話して、お会いすることにしました。

友人と一緒に、久しぶりにお目にかかった先生は
変わらぬ背筋のピンとしたお姿と、やさしい張りのあるお声で
私たちに、にこやかにお話してくださいました。

お昼ごはんをいただきながら、近況をお話したり
当時としては、小学校から『教科担任制』の学習をしていた
楽しくて、とても面白い授業のことや
いろいろな友人との小学校での思い出を、お話しました。

友人は、5年生から転入したこともあり
また、新しい学校のことがとても新鮮に感じられたようで
当時の記憶が鮮明に残っていて、ほんとうにいろいろなことを覚えているようでした。

それに引き換え、私は、いくつかの印象はあるものの
ハッキリとした記憶は、あまりなく
友人から、私にまつわるやんちゃな男の子とのやり取りなどを聞かされて

「そういえばそうだったね」というくらいに
その記憶のあまりにあやふやなことに、驚きました。

自分でも「私は、何だかボーっとしてたから」と言うと

先生も友人からも、その私の言葉に反して
「どちらかというと活発で、しっかりしていた」と言われました。

このギャップは、いったい何なのでしょうか？


自分の中では自信のなさや、できないことへの不安を抱えているのに
他の人からは、「そんな風に見えない」と最近も言われることがありました。

なぜかは、わかりませんが

ひとつ感じるのは、少なくともつい最近までは
世界と自分の間に、何だかベールのようなものがかかっていたような気がします。

景色や、生き物との間にはそれはあまり感じられずに
生き生きとした美しさを感じられると思うのですが

ひととのやり取りに、どこか「怖れ」のようなものがあって
どこか、一歩引いていたのかもしれません。

今でも、ひととのやり取りで言葉を介するときは
とても、緊張したりいっぱいいっぱいになりがちです。

どちらかというと、表情や、その人の雰囲気を読み取ることは
敏感すぎるくらいに、できると思いますが

そこに「言葉」が加わると、かえってわかりづらくなります。

「言葉」を素直に字義通りに解釈するからかもしれません。
「本音と建前」のように、その人の発する何かと「言葉」がずれていると
ほんとうに、混乱するのかもしれません。

だから、どちらかというと講演や講義のように
先生からお話を伺うのは、楽だし、とても好きなんでしょうね。


けれど、いつからかはハッキリしませんが
近頃は、自分でも驚くくらい積極的に
自分から話しかけたり、人前でお話をするようになりました。

ひととの関わりを避けるのではなく、
こんな自分でも、できなくても、やってみようと思えるようになったからなのでしょうか？

もしかしたら、こんな自分を少しずつでも好きになれたんでしょうか？



先生と友人と、ほんとうに楽しい2時間を過ごしたあと

さわやかな風の通り過ぎる5月の日差しの中を
先生に道案内までしていただいて、ワークショップの会場までお話しながら
ゆっくり歩いていきました。



過去の私と、現在の私と、これからの私が

どこかで交差しているような、どこかで出会ったような

心が熱くなるような、不思議な時間を過ごしたような気がしています…