Elevenses Laboratory

爬虫類・蟲系ぺっとぶろぐ

ムカデで一考

2007-09-25 | 多足類
ムカデを飼う上で最も難しい点は、湿度保持と衛生管理を両立させる事だと考えている。

ムカデという生き物はどいつもこいつも多湿な環境を好むが、大型になるとピンクマウスのようなダニ沸出率の高い餌を好んで食べる。その反面、ムカデ自身はダニに対して非常に弱く、一度ダニに食われたら、脱皮前でもない限り遠からず逝ってしまう。
では、ダニが付いたらカブクワ用のブラシで落としてやればいいのかというとそういう訳にもいかず、高い運動性と強力な毒牙を持つこの虫にブラッシングを施すのは不可能に近い。ゴム手袋などを用いて無理矢理押さえる事もできるだろうが、そんな事をすれば柔軟なムカデの身体にダメージを与えかねないだろう。
ダニ取り用の炭を床材に混ぜるという手段もあるが、これも完璧と言えるものではないと感じている。確かに炭を用いれば体表に付着したダニは殲滅できるが、体節の間にこびり付いたダニはその限りではないのだ。体節の間にダニが大量に詰まった個体は食欲を失っていくので、この場合も時間を経て結局死んでしまう可能性が高い。
つまり、一度ダニが発生してしまったら、ムカデ自身が脱皮する以外に完全なる駆逐法は無いのだ。


…で、今回私がこんな事を書きつらねた理由だが、上の写真(因みにベトナミーズレッドレッグ)を見てほしい。少々解りづらいかもしれないが、胴節の第一節と第二節の後ろに、白いダニが付着してしまっているのだ。活性炭入りの床材で飼っていても、ちょっと目を離した隙にこのザマだ。まったく夏場は油断できない。
実は、この第一節から第二節あたりのダニは最も手ごわい。ムカデの化粧行動が行き届かない箇所だからだ。さらに、ムカデは頭部が弱点なので、万が一このままダニが頭まで登ってくると状況は最悪である。

幸いにもこの程度ならムカデもすぐには状態を崩さないだろうから、衛生面に気を配りつつ脱皮を待てば問題無いだろう。だが、保温した多湿環境でムカデを飼う限り、このような事態に陥る可能性は常に付き纏う。ムカデ飼育とは、ダニとの戦いなのだ。




ムカデ飼育はヤスデ飼育と比較される機会が多く、その際の総評は「ヤスデよりムカデの方が飼育難度は低い」といったものが多い。確かに、一般的に比較すれば、ムカデはヤスデより遥かに長期飼育が楽だ。しかし、だからといってムカデの長期飼育=簡単というわけではないなぁ…と、私は常々感じている。


タランチュラは飼った事あるけどムカデはない、という人は結構居るのではないかと思うが、そういう方はちょっと心に留めておいてほしい。ムカデはタランチュラと比べて、咬傷や脱走に対してより一層の配慮が必要になるのは言うまでもないが、それに加えて奴等は若干デリケートな生き物なんですぜ。





Elevenses Laboratory流、ヤスデのダニ取り術

2007-05-28 | 多足類
 今日はヤスデに寄生するダニの取り方を紹介してみる。
まぁ、正直言って「○○流」などと大げさに銘打つ程の物でもないのだが、参考までに見てやって下され。

因みに、ここで取り扱うダニとはビッシリと集団でこびり付くタイプの小さいダニではなく、歩き回るタイプの大型のダニの事なのであしからず。こびり付くタイプの方は、脱皮の時に抜け殻からこそぎ落としてしまうか、カブクワ用の活性炭を床材に混ぜる事で対処して頂きたい。
また、この方法はダニを完全に殲滅できる手段ではないので、その点も御了承願いたい。




 まずは利き手にダニ取り用のブラシを持ち、もう片方の手のひらにヤスデを乗せる。
ヤスデの脚は体の真下から左右に広がる形で生えている。ダニが潜みやすい箇所はこの足の付け根と体の側面に生じる隙間となる。(赤いラインの箇所)
ヤスデは手に持つと丸まってしまい、問題の箇所が少し隠れてしまうが、ブラッシング中に歩き回られるよりはやり易いのでこれで問題無い。
取れたダニがそこら中に散らばってしまってはマズイので、作業は洗面所か浴室で行おう。




 因みに、ダニ取り用のブラシは某100均ショップで売っている。
ピンセットも付属する優れものなので、飼い始めの頃に買っておけば重宝するだろう。



 隙間が小さくてダニ取り用のブラシが届かない場合や、ヤスデの体格が小さい場合は、模型塗装用の面相筆を使うとよい。
面相筆は写真の通り毛束が大変細く造られている為、細かい作業に適した筆なのだ。大抵の模型屋で売っているので、なるべく硬い毛の物を選んで導入してみてはいかがだろうか。
もちろん、塗装用として使用した事のある筆を用いるのはお勧めしない。模型用の塗料なんて、恐らくヤスデにとって体にいい物ではないだろう。




 では、実際にブラッシング工程を説明していこう。
ダニは先述した箇所に集団で潜んでいるので、やはりここを重点的に攻める事になる。
まずはブラシを脚と体側部の隙間にあて、そのままヤスデが傷付く事の無いようブラシをゆっくりと沿わせる。
(この段階では隙間が狭い為、ダニを落とす効果は期待できない)




 するとヤスデは脚を守ろうとし、丸まったまま体を捻らせ、歩脚を手のひら側に隠そうとする。




 ここで裏返しにする。
ご覧の通り、この状態なら脚と体側部の隙間も広がっており、ブラシが非常に入りやすい。隙間からダニをブラシで掻き出し、体表へ逃れてきたらすかさず払い落としてやろう。
やがてヤスデは再び体を捻って歩脚を下に隠そうとするので、こちらも再びヤスデを裏返しにして反対側を掃除する。
あとはこれを何回か繰り返していくだけで、ダニを効率的に落とす事が出来るだろう。
ただし、ヤスデを弱らせない為にも、あまり時間をかけるのは避けたいところだ。



このとき留意すべき注意点として、ブラッシングの力加減が挙げられる。
あまり力みすぎるとヤスデの脚を傷付ける恐れがあるし、逆に弱すぎるとダニが取れないのだ。
丁度良いさじ加減を己の目で見極めて欲しい。
また、なるべく脚を傷付けないようにする為にも、ブラッシングは脚の生える方向と同じ様に、頭側から末尾側の方向へかけて行った方が好ましいかなと個人的に考えている。




 おまけ。
これだけ大きいヤスデだと、ヤスデ汁による被害も甚大だ。
まぁ、手の色が変色するだけで臭いはそのうち消えるので私は気にしない事にしているのだが、薄手のゴム手袋(手術の際に医師が使っているようなヤツ)があればこの問題もクリアできるだろう。




続・多足な奴ら

2007-01-06 | 多足類
 「……この世の生き物じゃねぇな…。」
父が初めてこのヤスデを見たときに漏らした感想だ。

 私はこの言葉を聞いて笑ってしまった。
確かにコイツは、魔界からやってきたモンスターような外観をしている。
だが誤解しないで欲しい。彼らは人間に害することのない、平和的な分解者なのだ。



 タンザニアオオヤスデは、畑仕事やガーデニングの際によく見かける国産ヤスデとはあまりに掛け離れた存在感を誇る蟲である。
姿かたちはほぼ変わらないが、大きさの面で日本のそれを遥かに凌駕しているのだ。
世界最大級のヤスデというのも頷ける。
本当にデカい。心底デカい。



 ウチの個体は現在20cm超といったところ。
結構大きい方だろうと思っていたのだが、某祭典にてもっと大きい個体をゴロゴロ目撃してしまった。上には上がいるものである。
ただ、ウチのも未だ食欲が衰えていないようなので、まだまだ成長してくれるかもしれない。




 ヤスデは大人しいうえに手間もかからず、多頭飼いも可能な生き物だ。
雑食性で、あらゆる餌を貪欲に食う。
さらに、タンザニアオオヤスデは長期飼育が困難とされる大型ヤスデのなかでも比較的長寿な種である。

 まぁ、具体的な飼育方法に関しては、私なんぞが講釈を垂れる前に素晴らしいソースが幾つかあるので割愛するが、参考までに私が与えている餌を記載すると、混合マット・昆虫ゼリー・レプトミン・金魚のエサ等々。
レプトミンや金魚のエサは水につけてふやかした物を使用している。
ごく稀にピンクマウスを与えているが、食べ粕は放置しておくとダニの温床となるので、最終的にはアオジタ達に残飯処理をしてもらっている。






多足な奴ら

2007-01-05 | 多足類
 未だ蟲の記事をしっかりと書いていなかったので、爬虫類の紹介は一旦お休み。
今日からは暫く蟲関連の記事を書いていこうと思う。

 とりあえず、蟲の中でも飼育数が少なく、書くこともあまり無さそうなムカデから紹介していきますか。

かつてはそこそこの量のムカデを飼っていたのだが、現在飼育しているのは2匹だけである。寂しくなったものだ。
今日は時間も無いので、過去に携帯のカメラで撮影したものを掲載していく。





ひどい写真だな…。スマソ(;´д`)


 まずはベトナミーズレッドレッグ。
「ベトナムオオムカデ」の方が通りがいいだろうか。
ペットとして流通するムカデの中では、昔も今もメジャーな種だ。
赤褐色の歩脚と太短い体型が本種の魅力であろうか。
食欲も大変旺盛で、ピンクLくらいなら骨も残さず喰らい尽くしてしまう。

体長は20cm↑。性格は凶暴。
以上。





 インドネシア産のオオムカデ…らしい。
コイツは一体何なのだろう。素人の私にはよくわかりませんw

 体型は太くもなく細くもなく、一般的なScolopendra属のムカデといった感じ。
色彩はタイワンオオムカデが黄色味を増したような色だ。
ちょっと前に「コモントロピカル」の名で入荷していたムカデが似たような雰囲気だったが、ちょっと違う気もする。
ショップ曰く、30cm以上になるとの事だったが…本当かなぁ?
まぁ、デジカメでしっかり写真を撮るのは、せめて20cmを超えてからとしよう。大きくなっておくれ。
因みに性別は雌。無精卵を産んだので間違いない。

現在17cm程度。性格は凶暴。
以上。





 …とまぁ、この2種だけしか飼っていない。少し前までトビズが2匹いたのだが、去年の内に2匹とも他界してしまった。
ムカデは結構好きなジャンルなので、また良い個体に巡り会ったら増やしていこうと思っている。