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教育エコツアー後記 その3 :視覚言語

2011-09-20 | 教育エコツアー
8月の教育エコツアーには、初めて、ろう(聾)の方々が参加した。引っ張り込んだのは、ろう(聾)者の通訳をしている広島在住の西尾さんだ。3年前に教育エコツアーでケニヤを訪問したのがきっかけとなって、それ以降は、講演会に参加してくれたり、NPO法人サラマンドフの会のボランティアとしても活躍してくれている。その彼女が、自費で参加し、かつ通訳のボランティアも買って出たことで、この教育エコツアーが実現となった。

恥ずかしいことだが、今回の機会が、私にとっては、ろう(聾)の方々と深く長時間の過ごす初めての体験になった。しかし、少し考えてみれば、日本語でしかコミュニケーションをできない多くの日本人は、日本語圏を一歩出れば、言語によるコミュニケーションは断絶されてしまうのだから、コミュニケーションに関しては、ろう(聾)の方々と変わりない。

日本語、英語、スワヒリ語と3つの言語圏の中で生き、かつ野生動物の世界から人間世界を見ている私としては、彼女たちの使用している「視覚言語」(いわゆる手話)に、新たに知る言語として、また異次元の世界のコミュニケーション・ツールとして、関心を持った。

通訳で来た西尾さんも、手話というよりも、ひとつの言語として、視覚言語の面白さに強く魅せられているという。とはいえ、日本では視覚言語としての扱いがとても遅れていることも嘆いていた。

ビリカニのお母さんたちとのコミュニケーションは楽しいものだった。いちいちスワヒリ語の音で覚えるのではなく、お母さんたちが、「視覚言語」(いわゆる手話)を見よう見真似で覚えていき、それでコミュニケーションが成立していく。お母さんたちの調理した昼食に、おいしい!と頬をたたく「視覚言葉」で表現しているのを私がスワヒリ語で訳して、お母さんたちに伝えると、お母さんたちはその仕草を真似て、大喜び。それが、音声言語よりも本当においしさを現しているように感じ、私自身も気づいたら、一緒に頬を叩いて視覚言語での交流を始めていた。

もちろん、参加者全員が大満足で、満点のツアーとなった。それどころか、西尾さんたちは、もっと多くのろう(聾)の方々に同じエコツアーの経験をして欲しいと、来年以降の参加に向けて、仲間への誘いかけも始めているらしい。
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