軽井沢:タゴールとアンドリュース牧師
100年前の夏、初来日したタゴールは、軽井沢で瞑想の講話と指導をしました。
そしてその時、アンドリュース牧師もまた講話をしています。
これは日本女子大学創始者成瀬仁蔵の招きによって実現したものでした。
恒例の学生たちの夏季修養会に、彼らがゲストとして参加したのです。一行の滞在は五泊六日でした。
軽井沢滞在中タゴールは毎夕、大樅の樹下で学生たちに瞑想について語り、学生たちと瞑想のプラクティスをしました。
その時の講義内容については、1917年刊の Meditation (Personality所収) が参考になります。
しかし、これは大すじであり、実際はもっと豊かな内容がふくまれていたことでしょう。
といいますのも、講義録 Meditation でヴェーダやウパニシャッドの聖句が幾つか紹介されていますが、
当時の学生の記録によれば、べつの聖句も登場しているのです。
いずれもサンスクリット語で、インドの大人ならだれでも知っている、古くから知られてきた聖句。
これら聖句は、インドはタゴールの学び舎でつかわれているものであり、
またタゴール自身が幼い頃からなれ親しんだ聖句であったようです。
ここで余談になりますが、当時より100年の歳月が経ったいま、日頃からヨーガに親しんでいる方なら、
これらの聖句を聴けば、あぁあれね、とか、わたしも唱えています、とおっしゃるにちがいありません。
いっぽう、アンドリュース牧師は軽井沢滞在中、「タゴールとインド」について数回の講話を受けもちました。
アンドリュースはアングリカンの牧師ですが、ジャーナリストとしても活躍した人物です。
「インドの国情」
「ボルプールにおける平和の家」
「瞑想と詩聖の生活」などをテーマに話しています。
なおボルプール(ボルプル)とはタゴールが1901年にはじめた学び舎のある場所で、この学び舎は後年大学に発展しました。
アンドリュース牧師は著書(英語)を何冊か遺しています、この時の内容も収録されているのではないでしょうか。