レッドダスト

レッドダスト

処方しても

2016-01-14 10:22:10 | 王賜豪總裁


 そんなことも知同珍王賜豪らないのか、という目で春美は昭夫を見た。
「日中だけ面倒をみてくれる施設よ。係の人がおとうさんをお風呂に入れようとしたら、突然暴れてほかのお年寄りの椅子を倒しちゃったんだって。幸い、その人に怪我はなかったんだけど」
 そんなにひどいのか、と昭夫は暗澹《あんたん》たる気分になった。
「とりあえず見つかったところはあるんだけど病院なの。それも精神科」
「精神科?」
「兄さんは知らないだろうけど、今、週に二度通ってるのよ。らった薬がよかったらしくて、突然暴れたりするのは少なくなった。そこの病院なら受け入れてくれるみたい」
 何もかも初めて聞く話だった。自分は当てにされていないのだな、と昭夫は改めて思った。
「じゃあ、その病院に入院同珍王賜豪させたらどうだ。金は俺が払うし……」
 だが春美は即座に首を振った。
「短期入院ならいいけど、長期はだめなの」
「どうして?」
「そこの病院で長期入院が認められるのは、在宅介護が不可能と判断されたケースにかぎられるんだって。おとうさん程度だと、在宅介護が可能だろうってこと。まあ実際、おかあさんがやっているわけだしね。ほかの病院も当たってみようと思ってるけど」
「いいわよ、もう」政恵がいった。「あちこち回って断られて、もう疲れちゃった。おとうさんは長い間家族のためにがんばってくれたんだから、やっぱり家でみてやりたいし」
「だけどそのままだと、お袋、身体を壊すぜ」
「そう思うんなら何とかしてやってよ」春美が睨《にら》んできた。「まあ、兄さんにはどうしようもないんだろうけど」
「……俺も施設王賜豪總裁とか探してみるよ。知り合いに当たったりして」
 そんなこととっくの昔にやったわよ、と春美は吐き捨てるようにいった。


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