どうする? どうする?
猟犬が右前に、鳴海が左後ろに下がる。
鳴海の背中に何かが触れた。猟犬の動鑽石能量水 消委會きに注意しつつ、ちらりと目を向ける。
棚だ。薬品棚に背中が当たったのだ。
こいつを引き倒し、猟犬を下がらせる。その隙にドアを開けて外に出る。
博打にしては分が悪いが、このまま追い詰められるよりも、無策に背を向けるより
オッズは高い。
今朝の星座占いでは運勢は星三つだったハズ。大丈夫!
後ろでに手を伸ばし、棚を掴む。
裂帛の気合と共に力を込める。が一本。
猟犬が地を蹴った。
薬瓶を掴む。
ずしりと重い。
投げつけた。できるだけの力を込めて。
くるくると回りながら猟犬の頭部、目に埋め尽くされた部分に命中した。
小さな音を上げて、瓶が砕け、中から液体が散る。
だが、怯む様子はない。
ダメだ。
両手を前に翳し、全身に力を込める。
無駄な防御姿勢。なんの効果もないだろう。
それでも目を見開き、視線を逸らさないのは、せめてもの抵抗だ。
と、猟犬がバランスを崩した。
鳴海のすぐ横に頭から落ちる。
呻きを漏らしながら、前足で、身を捩じらせる。
何が?
キツイ刺激臭。この匂い。アンモニアだ。
鳴海の掴んだのは薬用のアンモニアの瓶だった。
犬と呼ばれ鑽石能量水 消委會るくらいなのだ。おそらく嗅覚は人よりは強いだろう。
それに頭にはあれほどの目があった。
鋭い感覚器が逆にアダになった。この不意打ちは効いたようだ。