レッドダスト

レッドダスト

顔を抑え

2015-10-13 16:47:38 | 王賜豪總裁


 どうする? どうする?

 猟犬が右前に、鳴海が左後ろに下がる。
 鳴海の背中に何かが触れた。猟犬の動鑽石能量水 消委會きに注意しつつ、ちらりと目を向ける。
 棚だ。薬品棚に背中が当たったのだ。
 こいつを引き倒し、猟犬を下がらせる。その隙にドアを開けて外に出る。
 博打にしては分が悪いが、このまま追い詰められるよりも、無策に背を向けるより
オッズは高い。
 今朝の星座占いでは運勢は星三つだったハズ。大丈夫!
 後ろでに手を伸ばし、棚を掴む。
 裂帛の気合と共に力を込める。が一本。

 猟犬が地を蹴った。

 薬瓶を掴む。
 ずしりと重い。
 投げつけた。できるだけの力を込めて。
 くるくると回りながら猟犬の頭部、目に埋め尽くされた部分に命中した。
 小さな音を上げて、瓶が砕け、中から液体が散る。
 だが、怯む様子はない。

 ダメだ。

 両手を前に翳し、全身に力を込める。
 無駄な防御姿勢。なんの効果もないだろう。
 それでも目を見開き、視線を逸らさないのは、せめてもの抵抗だ。
 と、猟犬がバランスを崩した。
 鳴海のすぐ横に頭から落ちる。
 呻きを漏らしながら、前足で、身を捩じらせる。

 何が?

 キツイ刺激臭。この匂い。アンモニアだ。
 鳴海の掴んだのは薬用のアンモニアの瓶だった。
 犬と呼ばれ鑽石能量水 消委會るくらいなのだ。おそらく嗅覚は人よりは強いだろう。
 それに頭にはあれほどの目があった。
 鋭い感覚器が逆にアダになった。この不意打ちは効いたようだ。