エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

伸長する自動車関連ベンチャーと「シリコンバレー・モデル」

2011-11-09 06:59:38 | Weblog
ここ数年間で、自動車関連のベンチャー投資は数十倍に加速しました。03年には800万ドルに過ぎなかったアメリカの自動車関連ベンチャーへの投資は、08年には3億ドルにも上昇。また、09年第2四半期には、自動車関連ベンチャー投資が太陽光・風力発電などを押さえ、環境技術関連投資のトップ33%を占めました。
アメリカの自動車関連ベンチャーでは、テスラ・モーターズ(Tesla Motors)、フィスカー・オートモーティブ(Fisker Automotive)とったプラグインハイブリッド車や電気自動車の開発企業として有名です。シリコンバレーにはテスラ・モーターズやフィスカー・オートモーティブの対抗馬も登場しています。シンク・グローバル社です。09年3月になって、クライナー・パーキンスなどが投資を決め、小型のEVの開発・販売を行なっています。加えて最近ではV・ヴィークルがクライナー・パーキンスによる投資、さらには元石油王で再生可能燃料の開発に資金提供をするT・ブーン・ピケンズ氏による投資で注目を集めました。
では、その「シリコンバレー・モデル」が情報通信技術やエレクトロニクスとは一見係わりの無い自動車関連ベンチャーなどグリーンテック分野で現在なぜここまで脚光を浴びるようになったのでしょうか?
それは、これまで長い年月を経てシリコンバレーで培われたエレクトロニクス、情報通信技術、材料技術、ナノテクノロジーなどの技術の多くが、実は太陽電池、蓄電池、燃料電池、バイオ燃料、先端的電池、電力制御技術など、グリーンテックの多くのアプリケーションの要素技術でもあるからです。これらの技術の発展、これらの技術を駆使して新しい企業を起こそうという起業家、これらの起業家に資金を提供するベンチャー・キャピタル、さらに、これらの活動を後押しする州政府および連邦政府の積極策が、イノベーションのネットワークを形成し、シリコンバレーでグリーンテックの地域クラスターの醸成を可能にしているのです。
このことは、シリコンバレーのサンカルロス市にあるテスラ・モーターズを始めとするシリコンバレーにおける自動車関連ベンチャーのビジネスモデルおよびそれを支えている技術構造を見ると、よくわかります。それは、半導体やコンピュータシステムのビジネスモデルと技術構造に非常に似ています。
つまり、キーテクノロジーあるいはコアーコンピテンスは自社でしっかり抑え、世界で最先端のポジションを維持しつつ、それ以外の技術、コンポーネントは外部から調達し、出来るだけ身軽な経営を行なっていこうとしています。例えば、テスラ・モーターズは03年に無名のベンチャー企業として創立され、ゼロから出発してほんの5年のうちに、世界で最先端とされる電気自動車を生み出しました。テスラ・モーターズは自動車産業にシリコンバレー・モデルを持ち込んだと言えます。プラグインハイブリッド車や電気自動車の伸長に伴って、自動車産業は伝統的な製造業からハイテクノロジー産業に近づいているのです。

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