ドワーフそふと

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BIOHAZARD REVELATIONS 2 - PS4初の新作バイオ、その出来はいかに

2015-04-23 18:56:47 | テレビゲーム
BIOHAZARD REVELATIONS 2(バイオハザード リベレーションズ2)は開発はトーセでカプコンが販売しているバイオ・シリーズの外伝的なタイトルだ。
前作は、もともと3DS用のゲームだったので、グラフィックが今一つだったものの「原点回帰」なゲーム・デザインが逆に新鮮な印象の良作だった。それもあって過去作のバイオ・ファンが、かなり期待していたと思うが、蓋を開けてみると、予想とはかなり違う出来だと思うのではないだろうか。前作では狭くて逃げ場の少ない船内に敵が配置されていて、そこに閉じ込められる恐怖を感じたが、今作では閉じ込められるといっても島なので、閉塞感からくる恐怖はかなり薄いものになっている。
ちなみにレイド・モードについては、未プレイなので感想は、またの機会という事にしたい。
音声が6ヶ国語も収録されており、さすがにブルーレイ・ディスクなだけは有ると思う。音声データは、かなりの容量を食うので、DVDでは、こうはいかない。XBOX360でパッケージ版が出ていないのは、このせいだろうか。

- ストーリーは少年ジャンプ的

「テラグリジア事件」以外、前作と、ほとんど関連が無く、気になっていた「ジェシカ」と「レイモンド」の、その後について語られる事は無かった。

アンブレラは崩壊し「ウェスカー」も死に、その息子もバイオ6で使った。じゃあ「妹がいたと言うことにしよう」という設定が、いかにも安直だ。「死んだはずが実は生きていた」とか、「シルエットのみの登場で、実は生き別れの兄弟がいた」とか、少年マンガの続編で、よく有るパターンだ。

「ウェスカー=黒幕」というのはバイオハザード・シリーズの暗黙の了解であり、わざわざ悪者のイメージを語る必要が無いくらい明快だ。ウェスカーは常に手下を主人公側に潜伏させるのだが、今回も「ニール」という裏切り者が登場する。

ウェスカーの妹である「アレックス」は、不老不死の体を手に入れる為、ウイルスに対する適応力の高い少女の体に、自らの精神を移し替えて目的を達成しようとする…。男性がラスボスの場合は「世界征服」、女性の場合は「永遠の美しい体」という、いかにも有り勝ちな野望だ。

クレアは所属不明の武装集団に連れ去られてしまう。気が付くと地図に無い孤島の監獄に居て、その島から脱出する事に…。この始まり方は「コード・ベロニカ」のクレアそのままだし、イカレた「アシュフォード兄妹」に対抗するところも類似している。

「カフカ」の小説から引用した一説を物語の節目節目に配置しているところは、犯罪の首謀者がインテリである事を匂わす演出だ。マンネリかも知れないが悪く無い。

「バリー」と「ナタリア」のコンビは、いかにもラスアス的だが、かつてバイオ2でもクレアと「シェリー」で似たようなシュチュエーションがあった。バリーが生きていたという事は、バイオ3で最後ヘリを操縦していたのは、やはりバリーだったのだろうか。

ウイルスの効果が恐怖によって発症する仕掛けは面白いアイデアだし、仲間の二人が犠牲になる事で実体験出来るが、もう一捻りあると良かったと思う。

「転生の儀」の具体的な方法が省略されている。例えば、アレックスからウイルスが飛び出し、ナタリアの脳に侵入し、ウイルスが支配すると言うような説明が欲しかった。

クレアがニールにちょっと気があったのかと思わせるシーンがあるが、変異しているとは言え、クレアはニールを何の躊躇もなく倒してしまう。クレアはこんなにもクールなのに、兄のクリスときたら今頃…。あと、バッド・エンディングは、変異したモイラとバリーが因縁の親子対決をした方が盛り上がったのではと思う。

舞台となる島は、何処なのか明らかにされないが、旧ソ連時代の食肉工場が出て来る事からロシア近海の何処かではないかと思われる。ということは、出て来るゾンビは、元はロシア人ではないだろうか。旧ソ連でスニーク・アクションといえばメタルギア・ソリッド3を連想する。モイラ専用のサブクエで体力回復する為に狩猟をするところなど、そっくりだ。

物語の組み立て方は、従来のバイオで多く使われている定型と言えるもので、特に奇をてらったものではない。こうなってしまったのは、制作時間の都合も考えられるが、脚本の依頼を受けた人が、自由に書き下ろす事の出来ない何か制約のようなものが、あったのかも知れない。しかし、個人的にゲームに張り付けるストーリーは、この程度の分かりやすいもので良いと思う。ゲームに重要なのはルールに相当するゲーム・デザインだからだ。

- 残された謎

アレックスが自殺した後、モンスターとして蘇生するシーンが種明かしの映像として無かった事や、最初にアレックスがナタリアを殺そうとした時、ナタリアの瞳の奥にオリジナルであるアレックスの存在を見て、恐れ逃げ出すシーンから、実際にはアレックスは蘇生せず、アレックスを名乗るモンスターが自分がアレックスだと思い込んでいるだけの被験者(失敗作)だったのではないだろうか?

結局、クレア、モイラ、ナタリアにはウイルスが投与されたキャリア状態のままエンディングとなってしまう。バイオ6のシェリー同様、三人の「スーパー・ガール」の誕生である。というか生存している主要人物は、これだけ感染の危険性が高い場所にいた連中ばかりなのだから、強い抗体を有していても何ら不思議はないが…。

- ゲーム・デザインはセオリー通り

ゲーム進行はクレア編とバリー編に分かれており、バイオ6に見られる「物語の複線を異なる主人公で楽しむ」といった構成を踏襲している。

マップ上の仕掛けは、比較的簡単で平凡だが丁寧に仕上がっている印象だ。「マップに行けない場所がある」>「先に進む為のカギを探す」もしくは「仕掛けの謎を解く」>「次のマップへ進む」という繰り返しだが十分面白いものだ。

クレア編とバリー編では同じマップを多く使用しているが半年の時間差がある。その事を利用して、クレア編で「お膳立て」をしないとバリー編で解けない「謎」が用意されているのだが、もう少し沢山あっても良いのではと思う。

ボス戦では、弱点を露出させて、そこにダメージを与えなければ永遠にクリア出来ない。ギミックを使ったり、特定のアクションをして露出させないと、弾切れになる恐れがある。マグナム弾は弱点専用に取っておくと良い。
クレアやバリーが援護射撃してくれる「スキル」を獲得しておくと、弾薬が無くても援護はされる為、クレアやバリーにマグナムを持たせた上モイラやナタリアで挑めば、時間は掛かるがクリア出来てしまう。

前作もそうだったがスナイパー・ライフルの使い所が少ない。使いにくいマグナムの代用品として対中ボス専用武器という扱いなのだ。ポンプ・アクションのスナイパー・ライフルが有るのに、それがハラハラする要素に生かされていない。採掘場は、かなりのスナイプ・ポイントがあるが、使うのは、やっぱり中ボス相手だった。

今作で初めて「索敵」や「不意打ち」、「しゃがみ状態」などのスニーク・アクションが可能となった。しかし、ホラー作品としては、敵がどこに居るか分かるという事は、そいつが倒せるかどうか自信が無い場合のみ効果的であり、不意打ち一発で仕留められる雑魚に、それが出来ても恐怖感が削がれてしまうだけだと思う。

サポート・パートナーは自動回復するので「守ってる感」が薄い。排水施設で仕掛けを解くナタリアを援護するステージがあるが、バイオ4の「アシュリー」の方がずっとハラハラする。二人いっしょにいる場合、敵は操作しているキャラクターを優先的に狙ってくるので、操作していないパートナーは比較的安全だ。

回復アイテムや手榴弾のクラフティング要素や、サポート・パートナーとのアイテム交換は、あまりゲームの駆け引きに貢献していないと感じた。バールやレンガ、懐中電灯が出て来る事からラスアスのリスペクトだと思われる。鍵開けのミニ・ゲームは、早解きが必要な場面が少々あるものの、やはりゲームの面白さに繋がる部分は少ない。単に製作者がベセスダ・ファンなのだろうが、キーピックのような消費アイテムが必要ではないだろうか。

- ”技術”は見た目のディティールよりもコストや移植性の高さに生かされた

1本のゲーム・ソフトを4分割して配信されたが、ダウンロード時間を短縮出来る為、ダウンロードしか購入方法が無い機種にとって重要な要素だ。

今時のゲームは人物や美術などの設定に凝る傾向にあるが、本作は、その点に関して余りコストを掛けない方針らしい。開発はカプコンではなくトーセが引き受けているが、その影響が少なからず有るのかも知れない。任天堂のゲーム作りも、このような傾向を感じる。
テクスチャにおいても、容量を少なくする事を優先した最低限の品質だ。テクスチャ容量が少ないのは、PCやPS4、XBoxOneよりメインメモリの少ない機種での再生を想定しているからだろう。売上の勢いによっては、WiiUの他にスマホ、タブレット端末、3DS、PS Vitaなどにも移植されるかも知れない。

- 前作の成功が重荷になってはいないだろうか

前作の時は、まだヒットするかどうか分からないし気負わず、のびのび開発出来たかもしれないが、それが商業的に成功した結果、今作では、最初から収益性の高さを求めて制作された感が有る。また、バイオ5以降の作品は、どこか趣味性とか拘りが無くなったアッサリした印象になる傾向にあるが、今作も、やはり同じ印象を受けた。しかし、マップ上の仕掛けや、二人協力しての謎解きも、一定水準以上の面白さを保証しているし、この事だけでも十分満足出来る仕上がりだと思う。


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