ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

シリアナ

2007年02月27日 23時56分57秒 | 観る/聴く
昨日に続き、映画の話をしよう。

シリアナという映画について、以前少しだけ書いた。もともとは、日本にいる頃、アラビア語を学ぶ一環として、アラビア語が使われている映画をビデオショップで探していて、この映画に出会った。今日では、韓国語を勉強するために、韓流ドラマという教材が豊富にある。韓国語の勉強と称して、私も何百時間観たことだろう。残念ながら、日本で手に入るアラブ映画のソフトはほとんどない。イランは映画産業が盛んなのか日本でもある程度紹介されているが、ペルシャ語だ。この映画のジャケットに、言語として英語と並んでアラビア語と書いてあるのを見て、借りたというわけ。

土曜日に、シティー・センターのカルフールのDVDの安売コーナーに、この映画のDVDがあるのを発見した。36.9ディルハム(約1200円)だった。日本で「アラビアのロレンス」と「ラスト・サムライ」を衝動買いした時に一緒に買おうかどうか迷ったのだが、2000円以上はしていたので、約半額だ。即購入する。

その日の内に、ノートパソコンで鑑賞する。この映画、ストーリーが複雑な上に中東についてのある程度の基礎知識が必要なようで、2回観た今でも完全に理解できた自信はない。私なりに主なストーリーをかいつまんで言えば、中東のある国が持つ石油に関する利権をめぐって、二人の王子の内、良い条件で入札した中国と契約しようとした理想家の兄を、米国の政府と企業が無能で何の理想ももたない弟の王子と手を結んで謀略に陥れ、ついには暗殺してしまうというもの。これに、CIAに雇われたジョージ・クルーニーやら、エコノミストで兄の王子に雇われることになるマット・ディモンやらがからむ。

この他、建設現場で働いていた若い労働者(パキスタン人だろうか)がある日突然解雇を言い渡され、イスラム教の学校で学ぶ内に、いわゆるテロリストに変わっていく過程も描かれている。(彼が雇い主に仕事をくれるように頼む場面は、ドバイのアブラ乗り場が使われていた。)

上記のような政治的に難しいテーマを扱っているので、アラブ人はどうみるのだろうかと思っていたが、この映画、ドバイでも上映されたそうだ。DVDがカルフールでも売られているくらいだから、少なくともアラブ人やイスラム教に対する偏見を助長する映画とはみられていないのだろう。(「マーシャル・ロー」や「アラジン」は探したがなかった。)もしかすると、アラブ人達の米国に対する感情をこの映画は代弁しているのかもしれないとすら思うのは、うがちすぎだろうか。

こういう映画が、米国資本によって製作され、中東で上映される不思議を想う。製作にも関与したジョージ・クルーニーはこの映画でアカデミー助演男優賞までもらったと言うから、少なくとも米国ではまだ表現の自由が保たれていると感じる。

この映画、モロッコなどとともに、ドバイでロケが行われたようだ。エンドタイトルにも、The Government and Municipalities of Dubaiとしっかりクレジットされている。写真の鷹狩りのシーンは砂漠の高級リゾートホテル、アル・マハで撮られたらしい。ここで、マット・ディモンのアテンドをした女性と話をしたが、彼は気取らないきさくな青年だったと絶賛していた。この他、エミレーツ・タワーズやエミレーツ・ゴルフ・クラブも使われているとのこと。エミレーツタワーズ以外はまだ行ったことがないので、映画の舞台を探してみるのも楽しそうだ。

ドバイをこれから訪れる人、訪れたことがある人に、一見をすすめたい映画だ。

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