落書き帳

著作権なし 引用盗用コピペ、全てフリー
あまり触れられないことをつつく
内容随時改変あり

エンジン技術_6 燃費の目玉(4)

2016年10月30日 | エンジン・自動車

容量オーバーのため記事分割。

エンジン技術_6 燃費の目玉(2)からの「お遊び」の続き。

EPAの元資料の(ヲタ用途に対する)記載不足を潰すのがメンドクサイ。延々と自分用memoになった。

結論は↓↓↓でず~っと下の方で。

 

 

***お遊びの続き***

5年も続く「高負荷BSFC」ネタ。ネタが切れればあっという間に「あの人は今?」の芸人と比べれば異例の長寿。関心を引っ張り続けるのは芸人=経営層のお仕事。

 

【資料1】 

Air Flow Optimization and Calibration in High-Compression-
Ratio Naturally Aspirated SI Engines with Cooled-EGR https://www3.epa.gov/otaq/climate/documents/mte/2016-01-0565-air-flow-optim-calib-nat-asp-eng.pdf

161030現在アクセス不可の模様だが(EPAの別ページにリダイレクト)

$26ナリの販売サイトで、

http://papers.sae.org/2016-01-0565/

P5まで読める。残りはε=14 RON96 E0のBSFCが読めない位で、cooled EGR、気筒休止の効果推定、Knock Induction Time(ノッキングの起きやすさの指標?)のsimulation(GT-Power)計算ぐらい。

 

【資料2】 (資料1で引用されている)

Benchmarking and Hardware-in-the-Loop Operation of a 2014 MAZDA SkyActiv 2.0L 13:1 Compression Ratio Engine 

http://papers.sae.org/2016-01-1007/

P5まで読める。

 

資料1、資料2に共通だが、ε=13、要求RON91のエンジンに対し、ガソリンはRON91(E10)と、RON96(E0)のどちらかが使われているようだが、明示されていない箇所がある。「明示」とは、グラフの周辺に重要条件は一目でわかるように明記することを意味する。「本文を読め」は「明示」とは言わない。

全負荷は関心の外で、あくまでも部分負荷がメイン。高圧縮比直噴NA(M社エンジンがベース)にcooled-EGR、気筒休止を入れたらどうなるか?がEPAの関心事のようで、メーカーが勝手にやればいい話と思える。いろいろな業者がいろいろな事を言うから、EPAとして「真実」を把握したいのかもしれない。それよりもむかしむかしウヤムヤになった高負荷高回転増量を禁止!使用ガソリンについては推定を含む事を書く。

 

 

【資料2】から  お題は、2014 MAZDA SkyActiv 2.0L 13:1 Compression Ratio

p2  ガソリンの表に追記 含アルコール(エタノール)ガソリン E0(エタノール無し) E10(エタノール10%)

米国レギュラーはE10でこれがフツウの模様。ハイオクはE0でエタノール無し。日本はE3が上限。E10はMJ/kgが低いことに注意。Net Heating Valueの欄に、D240なる注記があるので、ググるとASTM D240のことで、米国の工業規格。これによる測定値なのか一般的推奨値なのかは不明。ここでは全てこの数字を採用する。【資料1】【資料2】共この数字を使っていると判断する。以前書いたが、石油系燃料の低位発熱量は【真値】が捕まえにくい値のようで、国により一般的に使う値は異なるが自動車屋がコソコソいじるべき数字ではない。

「熱効率%」は、計算上採用した低位発熱量の数字を故意に伏せて、熱効率%の数字だけばらまくT社の存在があり、共通のモノサシにはならない。使用燃料と熱効率%の計算上使った低位発熱量が不明なものは疑うべし。直接的に計測できるのはg/kWhだけ。燃料流量が体積流量計測ならば燃料比重も必要だがこれは必要ならば簡単に計測できる。低位発熱量の計測はエラク面倒な模様。

含エタノール燃料はg/kWhが悪くなるのは事実で、炭化水素のみの石油系液体燃料に対してg/kWhが良くなることはない。

p2  熱効率ベンチマーク@2000rpm 

各エンジンのデータの出典は不明だが、データについて気が付いたこと。

①mazda 2.0L Skyactiv 2014年型 ε=13 要求RON91

 EPA取得の生データそのものをプロット。全負荷までプロットされている。スムージング一切無しでヲタ的に価値が高い。凸凹があるのは生データだからで、このぐらいはあって当たり前。【資料1】【資料2】のデータをいろいろ突き合わせると、

・使用ガソリンはRON91 E10 でg/kWh(元データ)→熱効率%換算は41.76MJ/kgを使用している。

・【資料1】のg/kWhは、「生値」そのもので、E10でもE10の生データをそのまま使用。

技術的には当然な扱いだが、こっそり変な「換算」をやられるとワケがわからなくなるので、ヲタ的に重要な話。

②RICARD 2020 1.04L Standard Car

simulation結果なのでやけにプロットが細かくて凹凸が全くない。

③VW 2.0L E888 GenⅢB

例の「メーカー発表のドヤ顔BSFCmapエンジン」のようだが、アレ?BEMP=24barもあったっけ?と思うとこれも何らかのsimulationのようである。実機はこんなに細かくとらないし(←妙な特異点を故意に作りこまない限り無意味だから)、無理やりとったところで凹凸だらけになる。「このspecでは実力ここまでしか出ません アレは盛り過ぎです」と誰かが何かの売り込み用に作ったの?

④グラフに格子状に線を入れて離れて眺めると、

熱効率33%(低位発熱量42.89MJ/kg換算254g/kWh)~37%(同227g/Kwh)あたり、BSFCの10%の差を問題にしている。エンジン的には大差だが、これだけでは10km/L→11km/Lになるだけで、手っ取り早い「ハイギヤード化による目玉攻め込み」に走るのは当然だが既に織り込み済み。アイドル、極低負荷の切り捨てはアイドルストップで織り込み済み。程度に差はあるが、減速時エレキ回生は大なり小なり織り込み済み。禁断の「走行中Nレンジ相当でエンジン~タイヤ間結合フリー」は織り込み済み。100m走の0.1秒と同じで、BSFCは1%(熱効率%の数字の「1」の差ではない)を争う世界でデータの扱いは慎重を要する。何がしかのアイテムの実験結果でBSFCが1%も儲かれば「有意に効果あり」。

 

p2(RON91 E10)、p4(RON96 E0) 熱効率マップ

ハイオクを使うと2000rpm以下の高負荷熱効率が儲かる。ノック判定→リタード分が減る。もともとこの領域は点火時期、VVTの設定がカツカツの模様。

 

 

【資料1】から

当方はタダでダウンロードした(EPAサイトでフリーアクセス状態だった)ので、最低限のグラフは貼ることにする。

p1 ε=13 BSFCマップ 【資料2】からの引用となっている

 

p5 ε=13 BSFCマップ 

二者を比較すると、全域後者がBSFCの数字(g/kWh)が良い。マップの水色面の上端がWOTのように見えるが(フツウはWOTに明確に線を入れる)WOTのBSFCは不明。エンジン回転は250rpm毎にデーターを採っている模様。マップの水色面の上端は、トルク10Nm、BEMP0.5barで端数処理がなされている。どのような処理がなされているのか不明だが(例えば切り捨てか四捨五入か)、結論に影響しないように扱う。

資料を読み進めると、後者はRON96 E0を使用しているように読める記述がある。

前者がRON91 E10(レギュラー)後者はRON96 E0(ハイオク)と推定されるので、BSFCの数字を比較する。

3000rpm(等高線が込み入っていない、目玉に近い安定した領域で低回転ほどはノッキングはきつくない)でBSFCの数字を比較すると↓

 

中負荷で比較すると、後者は3%程BSFCの数字が小さい。低位発熱量で説明がつく。この辺ではノッキング云々は関係ないはずである。

これが妥当な判断か?1000rpm~4500rpmで500rpm毎に全部拾ってみる。等高線の存在するポイントしか拾えないので、右端は「全負荷」を必ずしも意味しない。

 

目玉の底の手前までの差は低位発熱量の差、高負荷で大きく差がつくものがあるのはノックリタードによる差と決めつける。極低負荷で差がつかないのはなぜか?とかいろいろきりがないが、

p1 ε=13 BSFCマップは、RON91 E10

p5 ε=13 BSFCマップは、RON96 E0

と判断して話を進める。

 

【資料1】p4 ε=13のWOTデータは、BEMP&BSFCがはっきり読み取れるがガソリン仕様が不明。

①【資料2】p2(RON91 E10と明記) の熱効率マップから全負荷BEMP、熱効率%を読み取りBSFC(g/kWh)換算 ガソリンはE10を使っているが、熱効率%→g/kWhはE0の低位発熱量を使う 大元の生データg/kWhより小さい数字になる

②【資料2】p4(RON96 E0と明記) の熱効率マップから全負荷BEMP、熱効率%を読み取りBSFC(g/kWh)換算

①②のマップデータは全負荷包絡線がアバウト、熱効率%はアバウトにしか読み取れないので多少おかしな数字も出てくるが、3者のBEMP、BSFC(g/kWh 数値は全てE0相当に統一)を突き合わせて、離れて眺めて雰囲気で判断すると、

【資料1】P4のWOTデータは、RON91 E10使用と判断。数字は勝手に記入。g/kWhの数字は、「E10の生データg/kWh」のまま。

 

E10生データg/kWh→E0相当にg/kWhを換算する。これがε=13 RON91のWOT BSFC実力と言いたくなるが、

【資料1】p1 ε=13 BSFCマップ (↑でRON91 E10使用と判断)

【資料1】p5 ε=13 BSFCマップ (↑でRON96 E0使用と判断) 

と矛盾する。WOT BSFCはWOT寸前より良くなることはない。高負荷の「BSFC等高線最大値」より良くなることはありえない。「掃気マジック」でそうなるのならばM社がドヤ顔でとっくに発表しているはずである。

 

ε=13 RON91のWOT実力推定は、↓

考え方は、「性能は中央値保証」「性能は中央値で表現する」。「中央値」の脳内定義は、

「所定の条件を固定すれば、平均的に実現されるであろう値」

「平均的に実現するであろう」の判断は、感覚による。

 

ε=13のマップBSFCマップ2枚にWOTトルク(↑の表の数字)を重ね書き。データーをツギハギしているから、飛び出したり届かなかったりする場所がある。

 

p6 ε=14のマップを引用 RON96使用と「WOTはノッキングでデータ取得できず」は明記されている。

 

ε=14 RON96 BSFCマップ(実線)をAudi 【メーカー発表ドヤ顔マップ】(点線)と比較したのが↓。

高負荷増量域は正確にはわからないが想像で記入。WOTはRON100でも入れたと思って想像で記入。どのrpmが「ノッキングでWOTデータ取得不可」なのか不明だが、4500rpm以下は全て不可とする。これではWOTトルクを盛り過ぎの可能性があるが詳細はわからないのでこうしておく。↓はアバウトな絵だが、細部をガン見せずに、離れてプロポーションを眺めるだけなら十分。

Sky-Gは4500rpmでバッサリ増量開始。昔はたまに見かけたが、最近は排気温度限界に沿って等パワー的に切るのがフツウ。

λ=1限界は、11.5bar/4500rpmで、43kW/L。DI+NAならフツウの数字。

軽負荷はε=14の勝ちだが高負荷になると?

ε=11.7にしてはAudiは高負荷を盛り過ぎじゃねえか?目玉が広すぎだとか疑い出しても「真実」(環境条件、試験条件を揃えた量産品の平均値)はわからないので止めておく。わずかにBSFCの値が変わっても目玉の広さは目に見えて変わる。

「勝ち負け」の話は置いておき、ヲタ的注目ポイントは、λ=1、4000rpm以下の最大BEMPのBSFCがNA、TCIにかかわらず250g/kWh前後で、似たような値になっていること。目玉を深く→圧縮比アップ→BEMPダウン、BEMPアップ→圧縮比ダウン→目玉は浅く のせめぎ合いの結果、現状技術では同じようなg/kWhに落ち着いている。せめぎ合いの行きつく先は、熱負荷=プレイグ限界で、程度の差はあれどTCIもNAも同じ。λ<1の領域のことを書かないのは燃費排気技術的にはとりあげる価値がないからで、EPAがデータ取得を5000rpmで打ち切っているのも同じ理由。

 

まとめ

・USA2014年型生産車 ε=13 RON91 WOTのBSFCは、

低回転は従来常識程度を確保、中回転は従来常識以下に抑えた。従来常識=1988 Opel C20XE 詳細は↑の表。WOTの空燃比は不明だがA/FセンサーでA/F=13程度に抑えたものと思われる。センサー技術の成果。

・USA2014年型生産車 ε=13 RON91 WOTの空燃比は、

当然のλ<1だがノッキングの苦しい2000rpm以下も含めてメチャ濃くはしていない。メチャ濃くすると↑の表の水準のBSFCにはならない。

・USA2014年型生産車 ε=13 RON91 1500rpmトルク (BEMP)

公称値が10barなら盛り過ぎ。1750rpmで10barなら納得。ノッキングの壁が越えられず、実力WOTトルクは1750rpmでないと出ないM社発表の1500rpmのBSFC曲線だが、一度グラフを出してしまったので後に引けなくなった? 過去に何度かM社が出している1500rpmのBSFC曲線は、EPAデータを使って1750rpmで引くとWOTトルクを含めて言い値と合いそう。担当者が盛り過ぎたと仮定すれば、表に立つべきは上司→上司→上司→上司ときて最後は某氏、序列のどこかが盛ったと仮定しても表に立つべきは某氏で、1500rpmはなかったことにして2000rpmに乗り換えればよい。アレも瞬間風速期間限定の大盛りでは?と疑っても始まらないので、離れて眺めてネタとして楽しめばよい。

・USA2014年型生産車 ε=13 RON91 1000rpmトルク

公称値はmazda3でググるとそれらしきモノがあり8.6bar。EPA実測値は8.0bar。高圧縮比による背反項目のうち、1500rpm以下のトルク落ちは克服できていない。公称値は「それらしきモノ」しか見当たらないので1000rpm以外の数字は書かないが、EPA実測値に対して特に乖離が大きいのが1500rpm。出ないなら出ないなりの公称値にするだけと言えばそれまでだが、「誰も見ていない真実」がこれ?

・USA2014年型生産車 ε=13 RON91 2000rpm以下はノックマージン小。ノックコントロール込で「これで良し」と判断?最近は知らないが、むかしむかしはかようなセコイやり方はタブーで、誰もがやりたい誘惑に駆られたがやった例は知らない。フツウのガソリンでフツウの環境条件でフツウに乗るだけでリタードが高頻度で入りそう。ノック音がないのは「ノック制御改良」に戦力投入して制御性能を上げたからで、「耐ノック性」を劇的に改善した結果ではない。

・【資料1】p1 ε=13 BSFCマップはRON91 E10ガソリン使用なので、E0相当のg/kWhにするには数字を×0.974する。

 

161211追記 低回転ノッキング、1500rpmトルク落ちについては、EPA実験時の排気系に問題無しとは言い切れないので↓↓に追記 

 

「誰も見ていない真実」に対してマコトシヤカにいろいろな話が流れる理由は簡単で、一度大盛りを世に流してしまうと盛りを減らせないのだ。大盛りをしているのが自分か他人かは横に置いて、である。仮に大盛りが瞬間風速で記録されてもROMの小変更程度で盛りは大変更になる。

2015年4代目40%のT社も40%の数字自体は玉虫色の大盛りで実態はピンポント214g/kWh@E0。2009年3代目の1.5L→1.8Lの機には過去の盛りをこっそり減らしている。この時点では1.5Lはどうでもよくなっていて、1.8Lも正直な数字を出せたようである。2009年3代目の量産開始前にSAE paperは世に流れて結果的には期間限定大盛りで、現在は42.14MJ/kgの隠れ蓑を着用中だが破れている模様。

「盛りが違うじゃねえか!」とは言ってもBSFCで5g/kWh(≒2%)程度の話で、BSFCヲタの尺度ではこの差でも大盛りと並の違いになるわけで、フツウの人は気にしないのが吉。掛け値も言い逃れもできないのが↑のλ=1領域でここだけは眺めてもいいかも。

 

オマケ

むかし某社で、1週間ぶっ通しでトルクカーブをいじくりまわしている方がいた。Excelをいじくりまわしても「実力」は1Nmたりとも変わらないが「政治判断」でお悩みだった模様。「それで何か変わるの?」とからかうと「うるせー!」で一蹴された。

 

オマケ コマゴマした話

赤実線 【資料2】p2 2000rpm熱効率グラフの各点を、熱効率→g/kWh (E10の生データ)換算

黒実線 【資料1】p2  RON91 E10 BSFCマップの等高線読み取り

赤点線 赤実線のg/kWhを×0.974倍 E0に換算

黒点線 黒実線のg/kWhを×0.974倍 E0に換算

水色 【資料1】p5 RON96 E0 BSFCマップの等高線読み取り

生データには凹凸があること、当たり前だが等高線だけから読み取ると元情報が失われていることがわかる。

凸凹が避けられない以上、BSFCはマップの等高線で面的に捉えるのが最も合理的と思われ、追い風参考瞬間風速記録用にピンポイント極小値だけ強調するのは、プロポーションを見せずにパーツ1点だけ強調するようなもの。

 

オマケ Priusと比較

SKY-G 2L EUR ε=14 とPrius(2009年の3代目)と比較する。排気量換算は一切しない「素のまま」比較。

SKY-Gに最適燃費線、等出力線を記入。

2009年3代目登場時の「正直ベース」「量産実力値」と思われるkW~BSFCグラフに記入。元は広報資料か?拾い元は、ヲタに国境はないらしく、海外BSFCヲタスレと記憶。

DI/PFI、ハイオク/レギュラー、EGR無/EGR有、排気VVT有/排気VVT無、の違いはある。

「誰も見ていない真実」ではなく「ばらまかれた真実」だが、アレ???広告にぴったりだったじゃん。

2015年4代目は最小214g/kWhらしいので、残りは想像する。

 

 

***お遊びの続き終わり****

 

 

161211 お遊び追加

161206付 T社プレスリリース 2.5L新型エンジン DI+PFI

熱効率マップを切り取って貼る。一部だけのチラ見せだが、ドヤ顔が透けて見えるので遊ぶことにする。ドヤ顔できないようではお遊びネタにならない。

コンベ用とHV用が同時発表されているが、熱効率マップはコンベ用。最大熱効率40%は、三河ないし東富士のガソリン低位発熱量42.14MJ/kgによるので、40%=214g/kWh。フシギなことに、三河ないし東富士の軽油の低位発熱量も、全く同じで42.14MJ/kgの模様。三河産原油も挙母製油所も存在せず、近在の油槽所から吊るし品をタンクローリーで納入しているだけ。特殊燃料はドラム缶購入だがBSFCマップ測定ごときには使わない。

熱効率40%を強調したいので、BSFCの悪い高負荷は切り捨て。トルクカーブは、公表資料は1600rpm迄しか記載がないが、1200rpmを想像で記入。

従来型(AR系 PFI)は35%=244g/kWhで、フツウはこんなもの。過去は踏み台に活かすので、正直な数字を出している。

 

目玉の中心が高い気がするので、SKY-G 2.0L (ε=13、RON91)と比較する。T社エンジンの対応RONは不明だがRON91としておく。

SKY-GのBSFCマップは↓。RON91 E10ガソリン使用なので、BSFCの数字を×0.974倍してE0相当のg/kWhに換算する。

こう書くと簡単だが、最小等高線になる230g/kWh等高線の扱いが厄介で、↓の2000rpmデータを見ると、生データからはRON91 E10→E0換算で、230g/kWhにかろうじて引っかかるが、等高線間隔の都合と、1500rpmトルクガタ落ちによる「等高線の滝」の影響で、↑のマップの等間隔比例配分では、2000rpmに230hg/kWhは逆立ちしても引っかからない。235g/kWh→229g/kWh、240g/kWh→234g/kWhに読み替えて、等間隔比例配分で内挿しても、230g/kWhは2000rpmの遥か右側で終わりになる。等高線による地形表現で、「高度」「勾配」が急変する場所なので、生データ→マップ等高線にする際の「情報落ち」が大きすぎる。5g/kWh間隔では地形が表現できない場所なのだ。生データをE10→E0換算して等高線を引いたマップの230g/kWhの等高線は再現できない。

やむなく230g/kWhは、ε=13 RON96(E0)のBSFCマップを参考にする。

高負荷ノックの影響があるので、丸写しはできない、下半分を写して上半分はテキトーにお絵かきする。

SKY-Gの等高線と最適燃費線、T社最適燃費線を描くと↓

T社の最適燃費線は高負荷側にある。M社の最適燃費線が2段折れ線になるのは、原因はともかく結果的に1500rpmトルクがガタ落ちで、共連れでBSFC等高線も滝壺に落ちるから。

差異の要因はCooled-EGRと決めつける。最適燃費線周辺のBSFCをCooled-EGRで下げたことにして、T社未発表領域を妄想で延長したBSFC等高線をお絵かきする。タンブル云々は、大大量EGRを実現する手段の1つ。↓はお絵かきで、お絵かきに説明は不要で、脳内イメージ+脳内演算で好きなように描くだけ。相手はキカイなので好き嫌いの感情は抜きで。

オマケ

レーザークラッドバルブシートもノッキング改善に効いているはず。むかしむかしの某社のお試し結果は、脳内資料によると吸気ポート形状はそのままで、点火時期0.8°進角相当トルクアップ。ノッキングはそれなりに厳しい条件。こんな物効くのか?の疑問があったので、劣化が進行するメモリーでも揮発しないのだ。点火時期の出力分解能は1°だが、点火時期絶対値はどうでもよく、等吸入空気量でのトルク&BSFCの儲け代の問題だから「0.8°」と書く。「ノッキングはそれなりに厳しい条件」から、トルク&BSFCの儲け代は想像されたし。

「ノッキング改善」する理由は、バルブシートの部分が極薄になり熱伝導が良くなるから。ポート形状だけでなくウオータージャケットの形状も自由度が増えるが↑は型変更一切無しの結果と記憶。

お試しはどこでもやっていたはずで、踏み切れない理由は「投資対効果ガー」「耐久性信頼性ガー」。量販エンジンに入れたということは、設備更新、エンジン更新の機会を見て入れてくるものと思われる。

 

T社のλ=1限界は不明だが、以前妄想したDI+RON91+NAのベンチマーク水準45kW/Lとする。この線が必要なのは、ここを跨ぐとBSFCはメチャ悪になるから。λ<1領域の等高線は描かない。メチャ悪は分かり切っていて、ヲタ的には描く意味がない。気筒容積がデカイから45kW/Lは無理ダーとかは中の人がやればいい話で、傍観者の落書きにはここではカンケーない。

 

不要な線を消して、M社(EPA測定データ)、T社(T社公表値+妄想延長)のBSFC等高線を重ね書きすると↓

排気量その他spec違いはあるが(両社吸排VVT付、T社はEGR有)、結果を眺めると、

 

①低負荷はBSFCに差がなく高負荷で差がつく。1500rpmを除きWOTトルクも大同小異で「データを取得したときのエンジン作動状態」ではこれが実力と判断できる。

②M社1500rpmトルクのガタ落ち

①のデータ比較から、「EPAの設備精度、環境条件が正しくない」のモノ言いは却下。1つ懸念点を書くと、FF横置きエンジンの排気系の取り回し。フツウの(古い)実験室は縦長で縦方向にエンジンーダイナモとつなげるので実車そのままでは排気系は置けずどこかを曲げる事が多い。FR車が多かった名残に過ぎず、こうしなければならないこと自体が欠陥設備だが、フツウは騙し騙し使う。隣の壁をぶち抜けばいいだけの話だが、フツウは前例を踏襲する。【資料2】p2の写真を見ると排気系は実車通りに取り回しているように見えるが、吸気側からの写真で排気系が写っていない。排気系の形状&寸法変更が伴う加工の有無はわからない。

排気直下に大容量触媒どっか~んとか、ターボ仕様ではこれ以降の多少の取り回しの差異は無視できそうだが(フツウは「急激な曲げを加えないこと」位しか気にしない)、凝った排気系のSKY-Gでは?【資料1】p3に排圧データがあるが、1500rpm同調を狙った排気系なら平均排圧だけ見れば済む問題でもなさそう。この辺の影響の可能性については、掃気ヲタ(1500rpm WOTで吸気VVT大進角+排気VVT大遅角でO/L=90°)のM社にお任せする。FF横置きのT/Mごと載せて、ドライブシャフト2本で受けるタイプのダイナモも世には存在して、排気系は実車のままで取り回し変更は不要だが、T/M伝達効率(デフ分込み)が掛かってしまうのでエンジン軸トルク、BSFCを気にする場合は使わない。

 

③M社1500rpmトルクガタ落ちとEPAのsimulation結果

WOT 1500rpm 10bar+α がM社公称値らしい。↓はEPAの【資料1】p4。

 

simulationと実機データは概略一致する。simulationの中身は知らないが、実機作動状態(バルタイ等)+spec(吸排気管長等を含む)を使った計算結果と思われる。RON91はノッキングによる点火時期リタードがあるが、RON96を入れても1500rpmのBEMPはガタ落ち水準。ガタ落ちしなければBSFC等高線の急落下はないはずで、ガタ落ちの主因は「シリンダ内新気量が少ない」になる。simulationが吸排気の動的効果をどこまで再現できるのか知らないが、1500rpmではこの程度しか空気(新気)は入らずこの程度のトルクと主張しているように読める。「実機の点火時期」をsimulationに織り込んでいるか、これによってリタードロスがどうなるかをsimulatorが計算しているかどうかは不明。焦点は②で書いた掃気状態、次点は「ノック特性」に集約されそう。技術ヲタとしては「誰も見ていない真実」を見たい→MT車をシャシーダイナモに載せれば真実は丸裸となる。シャシーダイナモは定速度制御で定常駆動力を測定。1000~2000rpmは100rpm飛びで執拗に念入りに。絶対値はある意味どうでもよく、1500rpmだけ相対的に公称値に対してガタ落ちしていないか?を眺めればよい。1500rpm WOTは、フツウは通過するだけだから・・・は堕落の始まりで、存在しない運転点(BEMP点)は通過しようがない。一瞬だけ運転点が現れる幽霊のような魔法は存在せず、JIS規格上は20秒以上継続的平均的に存在しない運転点は運転点として認められず公称トルクとは認められない。

ノック判定→吸気VVTリタードロジックなるものが存在するが、【資料2】を眺める限りは作動していない模様。ε=13の低回転高負荷で、RON91とRON96で点火時期絶対値が5°違うと書かれているが吸気VVTリタードまで突入せずノックコントロールで頑張っている模様。「RON91 ε=13で全域ノック音無し」は明記されている。

「5°リタード」は小さくはない数字。むかしの、「圧縮比それなりにage仕様のレギュラー仕様」に、ノックリタード量モニタープログラム(最大値をJob周期で常時上書き更新して記憶)を仕込んだ結果では「2°ぐらい」で、「まあE~か」。CVTなので低回転高負荷は通過するだけだが、常時最大値を上書きするので「一瞬のリタード」でも記憶されるから↑のように「常時」レギュラーで5°(瞬間的にはそれ以上)リタードしているわけではない。↑はCPU直モニターではなくSAE J1962コネクタ経由のCAN BUSモニターと思われ1点火毎の点火時期はモニター不可能で信号抜けがある。

フツウのROM/RAM内蔵ワンチップマイコンではフツウは何らかの改造(サブ基板)を付けないとCPU直モニターは不可能。内部バスが外に出ていないから+外部シリアル通信は遅すぎる。最初期のDIPパッケージマイコン(ROM/RAM外付け)ならデータバス&アドレスバスが出ているので無改造でCPU直モニター可能なはずだが見たこともさわったこともない。

ハイオク入れてもRON91の公称トルクには達しない。ε=13 RON96の1500rpmトルクのデジタル値は見つからずBSFCマップ、【資料2】のアバウトな熱効率マップが頼りで、2000rpm以下の高負荷リタード域で熱効率はRON96=32%、RON91=30%程度。アバウトなマップなので、面的にアバウトに眺めないと判断を誤る。ハイオク入れても、1500rpm 8.8bar(RON91) → 9.4bar=8.8×32/30(RON96)迄しか説明できない。↑に書いたように焦点は「空気が入っていない」「掃気状態」で、次点で「ノック特性(VVT、点火時期設定)」。

エンジンダイナモの室温条件は20℃か25℃のはずで、ノッキングに対して特に厳しい条件ではない。

④低回転高負荷の大差は、原因はともかく結果的には1500rpmトルクガタ落ちによる。T社の熱効率マップの160Nm以上、2000→1500rpmを意地悪な眼でガン見すると、「等高線の滝」は存在する。垂直落下ではないが45°落下の39%線と38%線で、滝の下で左にエラを張るのがcooled-EGR効果。ここは妄想等高線延長領域ではなく、T社公表領域で、これが量産実力(=「誰も見ていない真実」)となるかは???関心事は1500rpm実力トルクの一点。

⑤WOT BSFCは、T社が明確な差をつける要素は特に無しで、M社と同一水準と推定。

 

説明が長くなるのは、生データデジタル値(イマドキはCSV形式で出力)がないからで、全点全項目のデジタル値があれば話は短くなる。グラフには「情報落ち」の欠点がついて回る。脳内デジタル変換はワケない話だが、デフォルメ等があれば妄想が要る。当たり外れは娯楽の一部。

 

客目線で気になるのは、大大量EGRのロバスト性。仮にEGR流量落ちが適切に検出できていない、なんらかの手段手法で流量低下検出をやっていないとする。「診断」をやっているかどうかの話ではない。「診断」は、フツウは「死亡に近い状態」にならないとNGと判定しない。EGR流量が半端に落ちただけで点火時期は過進角になりノッキング→リタードでネンピはEGR無しよりメチャ悪になる。汚れガー詰まりガーは大古からの話で、決定打を打った話は知らない。

電スロの詰まりガー話題になったのが随分と昔の話で、お決まりの「学習」を持ち出しているのを小耳にしたことがある。開度~流量特性の変化が完全ワンパターンなら有効だが、そうならず個々にランダムになる気がする。開度~流量がランダム凸凹に変わると、開度毎に「学習値」を細かく持たねばならずその値は凹凸になる。これをやるには凹凸が時間的に急変しない前提で・・・となるとここで話はオシマイ。ガーガーが落ち着いたのかくすぶっているのか知らないが、決定打がないなら定期清掃推奨、清掃前提の設計をするのが誠実確実。

 

オマケ 2.5L HV用 DI+PFI

熱効率マップの発表はなしだが、ピンポイント熱効率=41%=208g/kWh(@42.14MJ/kg)。

コンベに対する仕様変更は、ε=14(←13)位で、他は共通の模様。圧縮比だけで40/41=0.976掛けのBSFCにするのは困難。「盛り」をやっていないと仮定すると、最高回転ダウン分(6800→5700rpm)主運動系、動弁系の仕様を分けているはず。ゴミでも拾わないことには0.976掛けのBSFCまで落とせない。

130kW/5700rpm (52.3kW/L)  220Nm(3600-5200rpm) 11.1bar   ε=14  DI+PFI 最小208g/kWh

Prius (2015年 4代目)

72kW/5200rpm (40.1kW/L)  142Nm(3600rpm) 9.9bar    ε=13 PFI  全域λ=1 最小214g/kWh

無過給なのに3600~5200rpm迄220Nm一定なのは、発電機定格トルクが回転によらず一定だから。フツウの動力用用電動機の定格トルク(定トルク→定パワー)とは異なる。発電機回転数とエンジン回転数の関係は任意に取り得るので必然的にこうなる。エンジントルクの一部を持ち上げると発電機定格トルクは全回転域上げなければならない。¥がからむお仕事なので、「何ができるか」「どっちがお得か」の上決めた話。出せるだけ~♪のコンベ用とは背景が異なる。

コンベ用の全域BSFC妄想マップにHV用最大トルクを重ねてみると、全域λ=1はよほどの飛躍がない限り無理で、5000rpmあたりまではWOT λ=1か?と想像できる。「よほどの飛躍」があるのなら、コンベ用含めて全域ドヤ顔BSFCマップを公表されたし。

DIにしたのは、目玉を深くする前提で、トルクを上げて上げた領域のBSFCを抑えるため。DIにしただけで目玉が深くなるわけではない。BEMPを下げて、目玉の位置が下がっても構わないのなら、PFIでも目玉の深さは変わらない。無過給に限った話で、過給するとイマドキPFIではガラクタ水準BSFC+BEMPになるので直噴一択。

 

HV(2モーター式)の、【クルマは見ている真実】 

以下、全て定常走行中(定アクセル開度、定速度)、エンジン走行中に限定する。

THSの場合、エンジントルク(キャリア)は、常時一定比率で発電機(サン)、リング(タイヤ駆動軸、モーター軸)に分割される。初代プリウスは0.278 : 0.722。発電機トルク/0.278で、エンジントルクは丸分かり。発電機トルクが汎用ツールでモニターできる(法規上のモニター義務化項目になっている)とは思えないが、中の人は部門の壁もなくモニターできるはず。エンジンダイナモに載せる必要はないが、エンジン運転領域は最適燃費線周辺に限定される。 最低エンジン回転数を上げたければSレンジとかを使う。シリーズHVの発電機(エンジン~タイヤ軸直結無しのフリー状態)でも話の筋は同じで、エンジントルク分割比が0.278→1.000になるだけ。当たり前だが、どちらも「エンジンrpmが一定」の条件が付く。エンジン、発電機のrpmが変化中は、慣性モーメントの影響が乗ってくる。BSFCも燃料流量計を付ければ丸分かりで、面倒ならばメーター表示ネンピ計算用の噴射パルス幅積算値を使う。精度はソコソコだが、ヘボ計測器よりは良いはず。遊星ギヤの伝達効率ガー気になればテキトーに数字を掛ける。

こう考えると、「BSFCモニター」「BSFC診断」は、最適燃費線周辺に限ればそれなりにはできそうである。目玉BSFCの10%超の悪化の判断には使えるかもしれない。発電機のトルク精度ガーを言い出すとキリがないが、電流センサの電流F/Bで武装済で、トルクと効率マップ(エンジンのBSFCマップ相当)がデタラメになるとバッテリー電力(電流)収支がデタラメになるはずで、発電機トルクは信じてオシマイ。2モーターが電気的にパワーを発生、消費する。過不足分はバッテリーからの出し入れとなる。「出し入れ」は直接的には「制御」不可能で、系の状態に従って「成り行きで」動くだけ。モータートルク&効率がデタラメでは根本がデタラメになって破綻する。ここで言う「モーター効率」はインバーター込みの効率、DC側で見た効率で、三相AC側で見たモーター単独の効率ではない。「BSFCモニター」を作ってみてもすぐ飽きるのは明らかだが、10年20年後には役立ちそうである。そこまで車両が存命していればの話だが。

 

オマケmemo

2モーターHVで、「バッテリーの出し入れなく走行」なる記述を見かけるが、不正確。正確に書くとフツウの人にはかえって分かりづらくなるが、

「2モーターへのトルク指令値はバッテリーの出し入れが計算上ゼロとなる値を指令するが、実際に出し入れが発生するかは成り行き」が正確。「電流の通り道」「電流の向き」をアクティブに(強制的に)切り替える、選択する機構・機能は(フツウは)どこにもない。付けるメリットがないから。「モニター」は「現在の状態」あるいは「指令値ベースの状態(実行値・現在値が指令値通りになるかは別の話)」をデフォルメして表示しているだけで、例えば1Aの電流をそのまま表示すると誤解を招くケースがあれば表示しない。「バッテリーの出し入れなく走行」は、文学的には誤りとは言えないが、技術的に時間軸でリアルタイムの系の挙動を表しているつもりなら誤り。

バッテリー電流=0を正確に(時間平均ではなくリアルタイムで)実現するには、高電圧リレーをOFFしてバッテリーを遮断する、昇圧コンバーター付ならスイッチングを停止してバッテリーを回路上切り離した状態にする、以外の方法はないはず。2モーターバッテリーレスの回路状態にしない限り、バッテリー電流=0にはならない。

理由は、(簡略化した)回路図、回路各部の機能、回路各部の動作、電流電圧挙動、等価回路、リアルタイムパワーバランス等々を脳内でこねくり回した結果による。バッテリーは、定電圧電源(出し入れ可逆)+R+Cの等価回路となるらしい。ツナギは全直列ではなく、各々容量の異なるCとRの並列を複数直列。解釈に100%の自信・確信はない+書くと長くなるのでコマゴマした話は省略。

「バッテリー等価回路の一例」を眺めると、超超大容量のCが入っている。2モーター+バッテリーレスシリーズ運転ではこのCが抜ける。インバーター内蔵のCは残るが、少なくとも「2同期電動機+2インバーター」+エンジンの【バッテリーレス】シリーズ運転では、定常運転は問題がなくても、過渡的には「DC電圧の安定性」が問題になり、エンジン直結運転(コンベ)並の駆動力応答性は難しいのでは?と想像される。

シリーズ電気伝達運転の歴史が長いディーゼル機関車の例を引用する。歴史自体は長くても、完全にインバーター+交流機に移行したのは前世紀も終盤。東芝レビュー、Vol.58 No.9 (2003) p27で「電圧の不安定性問題」に触れている。発電機は同期発電機、駆動用に誘導電動機。

 

自技会20164508 「新型プリウスのハイブリッド技術」から引用。

【定常走行などでバッテリからの電力授受を要しない場合に昇圧コンバータのスイッチングを停止】

フツウの構成ならば、昇圧コンバーターのスイッチングを停止すると、バッテリーは電気的に切れた状態になる。

「定常走行など」以外の条件、通常のアクセル操作条件下では、まず「DC電圧の安定性」が問題になり、実施は困難では?と想像する。アクセルレスポンスを悪化させれば、実施可能と思われる。DC電圧が急変しないように常時監視しながら、エンジン、2モーターへのトルク指令値を「ゆっくり」動かす。

インバーターは

【DC側は定電圧】でパワー入力(出力) 

【三相AC側は可変電圧(フツウは実効値で表現)】でパワー出力(入力)

()付は、力行回生で動作が逆になることを表現。DC側で短周期、振幅大の電圧変動があることを、動作の前提にしていない。DCラインにCが入ったインバーターを「電圧型」、Lが入ったインバーターを「電流型」と称するようだが、自動車用は100%「電圧型」。

 「モーターのトルク応答は、エンジンより2桁速い」は、

「安定電源 定電圧電源」が前提で、2モーターをバッテリーレス・シリーズで運転したときの特性は、「発電機・モーターの形式、特性次第」、無制御ではなく何らかの「制御」が必要な場合、介入させる場合は、「制御」の要素が加わる。

バッテリーは定電圧電源ではない、内部抵抗ガーとかのここでは本質的でない話は即スルー。「内部抵抗」も引っかかる電気屋方言だが、電池を定電圧電源(現実にはありえないが、入出力可能な電流&パワーは無限大)+定容量抵抗(電池の「状態」で変わる)で近似した場合(等価回路)、電流電圧挙動がソコソコ定量的に表現できるというお話が前提での表現。

小難しい話は抜きで、フツウに考える。例えば、DC発電機+DCモーター(制御無しの「ぶら下がり」)なら応答性は?だがそれなりに動く。手回し発電機にモーターをつなげたと思えばいい。2インバーター+2交流電動機+バッテリーの系からバッテリーを外せばバッテリー有と同等のトルク応答を期待するのはおかしい。拘束条件が増える+エネルギーバッファーが減るから。当然だが、「モーターアシスト」はバッテリー付でも無しとして書いている。ここでの「モーターアシスト無し」は、「制御目標値」としては=0 の意味で、「制御目標値」=0としても実際にはミクロに観察すれば2モーターの力行、回生によるバッテリーへの電流の出入りがある(はず)。

もっとごくフツウに考える。エネルギーバッファーが無い限り、エンジンパワー応答以上の駆動輪パワー応答はない。電気的パワー伝達では制約条件、拘束条件が増えるのでエンジンパワー応答未満の駆動輪パワーになる。エンジン慣性モーメントはエネルギーバッファーとなるので、エンジン回転数が上下する場面では、業界方言の「イナーシャトルク」は「イナーシャパワー」に置き換えて考える。「電気だから高応答」はある面では真実だが永久機関もどきのイカサマは成立しない。

長々と書いた動機は、むかしむかしの妄想「高電圧バッテリーレスTHSで、CVTに伝達効率で勝てるか?」バッテリーは¥と寿命の問題がつきまとうので、避けて通りたいのがケチの本能。

2モーターシリーズでも本質的には同じだが、エンジンパワーと同等の電機系容量が必要で、THSの方が容量がケチれる。リングギヤ=0rpm以外では、必ず機械的パワー伝達がある。一応書いておくと「パワー伝達」であって「トルク伝達」ではない。

動かすことが可能と仮定しても、商品としては全くオイシイところがないが(12Vスターター追加、アイドルストップ無し、回生回収無し、他にも難点あり)、その種の話はスルー。高圧DCラインに大容量C追加とかは無しで、現行コンポーネントをそのまま使う前提。

結論は、

「駆動力レスポンスが悪くなる。レスポンス無視で、ダラダラ走るだけなら可能。伝達効率は?だが、それ以前のシロモノにしかならない。」

バッテリーレスシリーズ運転の超大型建機、機関車、船舶の類は、図体がデカイ=慣性が大きいから自動車程度の小慣性に比べればレスポンス要求は・・・位のことは言えるが実情は知らないのでここまで。

 

オマケmemo 追加 バッテリーの「SOC」

空気のごとく、「SOC」なる用語がどこでも登場する。これは「未定義用語」と文学的に割り切ることはできるが、技術ヲタはゲスの勘ぐりを入れる。

これは2つの意味があり、文脈により使い分けている。マトモな論文は、どちらの意味なのか、最初に断りを入れるが、断りがある方が珍しい。知る限りは、某電池メーカーの一例のみ。同メーカーは別論文で皮肉を込めて「いわゆるSOC」と記している。

「電池 SOC 定義」でググると、まともな説明が最初にhitする。「これは慣用句のようなもので、実際の意味は、充電率の域を出ません」。「慣用句のようなもの」「域を出ません」が、語句の実態を的確に表現している。

以下電池温度は一定(フツウは20℃ないし25℃にとることが多い模様)とする。低温で、バッテリーの入出力可能パワー(kW)が下がるのは明らかだが、このとき「SOC」をどう扱っているか、扱うべきかは知らないから。バッテリー温度コントロールは当たり前だが、よくあるシーンとして、常温で充電→バッテリーが冷えた場合が問題になる。EVをお持ちの方は、メーター&「スパイさん」を観察してみるがよろし。

「相対SOC」「絶対SOC」は、【俺命名】で権威はゼロ。

①「相対SOC」 その時の電池劣化状態での、相対的充電率%。Ah、kWhの物理的意味はない。

物理的意味(Ah、kWh)を持たせるには「SOH」(新品状態、新品specからの(推定、仮想) 容量残存割合)を掛ける。某EVの「SOH」はこれで、新品のAh、kWhを掛ければ、現在の容量になる。「スパイさん」は「SOC」も表示するようだが、これは「相対SOC」。

②「絶対SOC」 新品のAhに対する現在劣化状態での蓄電量Ahを%で表す。Ah、kWhの意味がある。

絶対SOC=相対SOC×SOH

某EVのメーターセグメント表示は②「絶対SOC」と断定。セグメントがリニアに表示するかは関知しない。知りたいのは走行可能距離で、相対SOCを表示しても意味がない。劣化するとフル充電でもセグ欠けするのはSOHが掛かるから。

小型電子機器の表示は①「相対SOC」と断定。表示の算出方法は、電圧検出のみ(携帯電話等)、電流積分併用(ノートPCはこれが主流らしい)等いろいろだが、「劣化してフル充電後の使用可能時間が短くなってもフル充電時は満タン表示」は共通で例外は知らない。EVがこれでは意味がない。

バッテリー劣化を考慮しない新品性能を論じる場合は、①の定義でも②の定義でも同じ。

この辺の資料を見返してみると、傍観者には回りくどい分かりにくいものばかりである。こうなるのは理由がある。

・検出できるのは、電圧、電流、温度のみ。「化学反応ガー」「物質移動ガー」と言ったところで直接検出する手段はない。

・これから、「バッテリーの現在の状態」を推定する。あえて分かりやすくイヤミな言い方をすると「推定したつもりになる」。「つもり」でも何がしかをやらない限りコトが進まない。

・バッテリーの充電上限状態(相対SOC=100%)、放電下限状態(相対SOC=0%)はメーカーが決める。新品は当然だが、劣化進行中に対してもメーカーが決める。歴史の長い四輪車用12Vバッテリー(開放型のみ)は、

「5時間率で放電したとき、10.5Vを放電終止電圧とする」

とJISで規定されているが、規定があるのはこれが唯一のはず。新品には当然適用されるが、劣化品に対して適用されるか、適用することが妥当かは知らない。

EVの「SOH」が上がったとかで喜ぶのはホドホドに。ロングスパンで見れば、上がることはありえず下がる一方。こうなるのは「現在の状態推定」が難しいからで、2016年現在でも論文がいろいろ出ている模様。

 自技会20164584より図を引用する。

「SOC」の定義は何も書かれていないが、全て「相対SOC」と解釈できる。劣化に対応する概念は「SOH」で、Ah、kWhはSOHを掛けて、下方向に縮小される。

HV(図ではHEV)の表現は注釈が必要で、フツウは上限80%、下限20%程度を使用範囲とする。これから電気が入ってくるか出ていくかは(車両は)予測できないので、積極的な出し入れ(エンジン始動・アシスト・回生等)要求がないときは「ゆっくりと真ん中あたりにもっていく」充放電を行うように2モーターを制御する。「積極的な出し入れ要求」が連続すれば、どんどん絞っていくだけ。1kWh程度の公称容量で、実質使える容量は半分(20~80%)だから、必然的にこうなる。時間頻度を掛ければこんなもので、真ん中に集まった分布になる。

 

 

ジャンル:
その他
この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« エンジン技術_11 過給エンジ... | トップ | エンジン技術_6 燃費の目玉... »