明日へのヒント by シキシマ博士

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「ライフ・イズ・ビューティフル」 人生は、たからもの。

2006年05月29日 12時58分35秒 | 明日のための映画
久しぶりに、「ライフ・イズ・ビューティフル」をDVDで観ました。
1997年制作のイタリア映画。
監督/脚本/主演:ロベルト・ベニーニ
私が今まで観てきた全ての映画の中で、たぶん最も好きな作品です。

1937年、イタリア。
ユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、本屋を開く為にトスカーナ地方の小さな町にやって来た。
そこで、美しい小学校教師ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)と運命的な出会いをする。
当面の生活の為、叔父の紹介でホテルのボーイになったグイドは、何度も突拍子もない方法でドーラの前に現れ、気を引こうとする。
ドーラは町の役人と婚約していたが、グイドの陽気で屈託の無い一途さに忽ち心を奪われていく。
グイドはホテルの婚約パーティ会場からドーラを連れ去り、そしてそのまま2人は結ばれる。
やがて息子ジョズエ(ジョルジオ・カンタリーニ)が生まれ、幸せな日々が始まった。
しかし…、その幸せは長く続かない。
ムッソリーニのファシズム政権下。
ユダヤ人迫害の嵐はこの小さな町にも起こり、ある日、グイドとジョズエは強制収容所に連行されていく。
ドーラも迷わず後を追い、ユダヤ人ではないのに、自ら収容所行きの列車に乗り込む。
死への恐怖と緊張感に満ちた収容所で、グイドはジョズエを怖がらせまいと、命がけの嘘をつく…。

〝人生は、たからもの。〟
これは劇場公開時のキャッチコピーです。
以来、私の座右の銘みたいにしている言葉です。

コメディータッチの前半はちょっと軽薄っぽくも見えて、観る人によっては受け付け難いかも知れません。
でも、好きな人の気を引くために一生懸命なグイドに、私は大いに共感します。
そして、そんなグイドのキャラに最初はビックリしたドーラも、すぐに彼の本質を見抜き、心引かれていく。とても聡明な女性です。
この2人の気持ちの近づき方に、私はいつもとても心地良いものを感じます。
(じつはこの2人、実生活でもご夫婦なんですね。素晴らしい!)
ジョズエが生まれてからの3人の暮らしは、絵に書いたように素敵です。
この小さな家族の幸せが、ずっと続いてくれることを願わずにいられません。
(ジョズエ役は、無名の子を抜擢したらしいですが、とても表情が良いですね)
ですから、グイドとジョズエが強制収容所に連行されていくところは、言いようのない不安に苛まれます。
この映画に対する批評で「収容所内の描き方が甘い、現実はあんなんじゃない」というのがあります。
それはそうでしょうが、この映画で着目すべきは、そこではないと思います。
批評の方向性がズレている気がします。
丹念に積み上げられたささやかな幸せが、ファシズムのもとに、いとも容易く壊されてしまう恐ろしさと不安が、この収容所へ向かうシーンにリアルに描かれています。
大切なことは、収容所の中がどうとかこうとかじゃなくて、その前の段階で、〝今〟がどれほど価値ある〝たからもの〟かを知ること。
かけがえの無い大切なものが壊されてからじゃなくて、壊されない為にどうするのか。
ベニー二が伝えたいことの一つは、ここにあると思います。
だからこそ、愛が育まれ家族が築かれていく様子が、丁寧に描かれているのだと思います。
しかし、それでも食い止められず強制収容された場合。
たとえそういう展開になっても、収容所内の現実がどうとかこうとかを、僅か117分の映画に求めようとするのは如何なものか?
収容所のことをもっと知りたければ、この映画を観る前でも後でも、調べる方法は幾らでもあります。
そういった作業を何らせずに、この映画だけですべてを理解した気になる人がいるとは考え難いです。
もしいるとしたら「収容所内の描き方が甘い、現実はあんなんじゃない」という以前の段階で、既に甘い気がします。
大切なことは、どんな状況下にあっても守るべき〝たからもの〟があるということ。
それこそが、生き続ける意味になるということ。
そして、どんな状況下にいても、その最愛の〝たからもの〟を守るために、最善を尽くすのを止めない気持ちこそが、なによりも重要なのだということ。
ベニーニは、そう言ってるんだと思います。
それを普段からイメージできていれば、それを壊そうとする土壌など育つ筈はないのですから。

私事ですが、最近、良い人や良い出来事にばかり出会います。
まさに、人生はたからもの。
ありがたいことです。

………と、大好きな映画なので、熱く語ってしまいました。
でも、最後にもう一言。

      めぐり逢うすべてが、
                  たからもの。





ライフ・イズ・ビューティフル

角川エンタテインメント

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2 コメント

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トラバありがとうございました (おかみ)
2006-06-19 16:00:03
この映画は色んな事を気付かせてくれました。

生きていればこそ・・・

巡り会えることも出来るし、

次に託すことも出来ますね。
>おかみさん (で良いんですよね) (シキシマ博士)
2006-06-20 23:54:06
コメントありがとうございます。

何度観ても、考えさせられる映画ですね。

グイドが命を懸けて残した願いは、ジョズエに、そしてこの映画を観た私たち自身に託されて行くんですね。

平和こそ、何よりの宝物です。

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