明日へのヒント by シキシマ博士

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「不都合な真実」 私たち自身への課題だ

2007年04月02日 17時55分08秒 | 明日のための映画
過ぎてしまった歴史の分岐点に戻り、もう一度、別の選択肢を選び直せたら…?
そんな不可能なことを、この映画「不都合な真実」を観ると考えたくなります。
もし、現在の米大統領がブッシュではなくゴアであったなら…。
9・11以降の、アメリカの行動は別の形をとり、イラクの泥沼の現状とは違ったものを導き出せていたんじゃないかと…。

〝不都合な真実〟というのが誰にとっての不都合なのかというと、京都議定書の受け入れを拒否しているアメリカにとってです。
CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスの増加により、地球の平均気温が上昇する〝地球温暖化現象〟。
これを「問題は無い」と言い張るブッシュ政権ですが、実際には世界各地で様々な異常気象と、それによると思われる災害が頻発しています。
このままでは海水面は上昇し、生態系のバランスは崩れ、遠くない未来に人類を含む生命たちが地球に生存できなくなるかも知れないのです。

アメリカ政府が触れたがらないこうした事実を、多くの人に知ってもらおうと、精力的に講演活動を行っているのが元米副大統領のアル・ゴア
人々の意識改革を促すべく、環境問題に関する講演を世界各地で開催しているのです。
これは映画と言うより、そんなゴア氏の講演をそのまま見ているような印象です。

これをゴア氏の選挙活動だという穿った見かたをする人もいるようです。
が、彼の「環境問題」への取り組みが最近始めたものでなく、60年代から地道に積み重ねてきた筋金入りのものであることは映画を見れば分かります。
にわか仕込みの説ではないからこそ、彼の話には説得力があり、判り易いのでしょう。

こういう考えの人が大統領になっていたならば、ブッシュ政権のように安易にイラクに攻め入り、環境破壊のかぎりを尽くすようなことは無かったんじゃないだろうか?
そんなふうに思ってしまうのです。

異論・反論もあるようです。
人の意見に異を唱え、揚げ足を取るのは簡単ですからね。
例えば、
ゴア氏の示すデータは、彼にとって都合の良いものだけに偏っていて、それに合わないデータもあるのに意図的に示さないではないかという意見。
確かにそういう面はあるのでしょう。
でも、それを言って何になる? そんなことは大して重要ではないでしょう。
この場合のデータは、持論にリアリティを持たせるための道具立てに過ぎず、それが多少は不正確だとしても、現在の地球環境が良くない状態に向かっていることは紛れも無い事実なのですから。

また、ゴア氏が「地球温暖化問題は最優先課題だ」と言うのに異を唱える人もいます。
発展途上国の環境改善、衛生問題、貧富の差の問題、教育…
それらのほうが優先課題だろうと言う意見です。
果たして本当にそうなのでしょうか?
衛生や貧困を改善しているうちに、地球そのものが生命の住めない星になっているかも知れないのですよ。
(他のことを疎かにして良いと言ってるんじゃないです)

他人の説の些細な弱点を見つけては、自分が行動を起こさない理由にしてしまう人たち。
そういう人たちって、結局は何もしないんでしょう?

大事なことは、重箱の隅を突つくことではない。
この映画が提唱する〝私たちにできること〟のとおりにやってみるか。
あるいは自分で創意工夫して、もっと有効な方法を見つけて実践するか。
そのどちらか、2つに1つだと思います。
先送りするという選択肢はありえないのです。

けれど、言うは易し行うは難し。
映画の中で引用されているマーク・トゥエインの言葉
「問題なのは無知ではない。知っているという思い込みだ」
これは、私自身も耳の痛い言葉です。
この映画を観たことで表面的には解かったつもりでも、それが行動に生かされなければ何の意味も無い。
でも実際の私は、絶対に必要ではないものでも買ってしまい、飽きてしまえば捨てる。エネルギーの無駄遣いをしてCO2増加に貢献してしまっている日々です。
思えば、携帯電話だって数年前までは持っていなくても不便を感じたことは無かったわけだし…。
今いきなり携帯を手放すのは無理でも、必要と思い込んでいる物の中に、本当はいらない物がけっこう有るはず。

本当に必要かを見極める力。
本当に最優先すべきことを見極める力。
そして実行力。
それこそが、これからの時代を生き抜くための、何よりも不可欠なことなのでしょう。

これは他人ではなく、私自身の課題です。


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4 コメント

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TBありがとうございます。 (moriyuh)
2007-04-05 09:46:46
シキシマ博士さま

TBありがとうございます。
こちらもTB返しさせていただきました。

この問題、これだけイロイロな所でいいはじめても、まだ他人事なんですよね?みんな「カエル」なんですよ。

次世代を生きる子供たちのことを考えたら、他人事ではなくなるはずなんですけれどね?気づいた人から始めていく、広げていく、それが今重要なことだと思います。

私はこの映画を見る機会を、できるだけ多く長く続けることも、必要だと思うのですよ。レッドカーペットのエコ車だけでなく…。


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こんばんは。 (ジョー)
2007-04-05 21:04:47
TBありがとうございます。
歴史に「もしも」は禁物ですが、もしゴアが大統領になっていたら、とついつい考えてしまいますよね。でも、腰の重いアメリカもようやく動き出してきたような。
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>moriyuhさん (シキシマ博士)
2007-04-06 01:10:46
こちらこそ、コメントまで返してくださりありがとうございます。

確かに、こういう事って頭でわかっただけで満足してしまう人が多いですね。
でも行動に反映させて行かないと、何も変わりませんよね。
一人ひとりが当事者だという自覚を持って、少し意識的に行動を起こして行くべきなんだと思います。
明るく安心できる未来のために。
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>ジョーさん (シキシマ博士)
2007-04-06 01:21:21
こちらこそ、ありがとうございます。

>もしゴアが大統領になっていたら
本物の大統領がアレですから、どうしても考えてしまいますよね。
アメリカさん、ようやく動き出しはしたものの、イラク派兵が継続しているうちは、絵に描いた餅でしかないような気がしますね。

とりあえず、やれることからやっていきましょう。
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