どんぴ帳

チョモランマな内容

はくりんちゅ371

2009-01-19 02:54:10 | 剥離人
 二日後、我々ウォータージェットチームの援軍となる、ハツリ屋がやって来た。

 彼らは最初沈殿池の躯体の横に、4tトラックを乗り着け、ワラワラと作業の準備を開始した。
 トラックの荷台には、我々R社と同じ仕様のエンジンコンプレッサー『PDS175S』が搭載されている。違うのは、ボディがボックスタイプ(箱型)か、スキッドタイプ(そり型:ボディ下部に脚付き)かと言う事だ。
 そこからエアホースを延ばして槽内に入れると、チッパーやハンマーと呼ばれる、圧縮空気で作動する工具を繋ぎ、準備完了となる。

「タタタタタ!ダンダンダン!」
「ギゴゴゴゴゴゴ、タンタン!」
 けたたましい音と振動を立てながら、彼らは最初沈殿池のコンクリート壁をハツリ始めた。
「あれでかなり楽になるかなぁ?」
 意外にもハルは、彼らを歓迎するようなことを言い出した。
「そうだとイイですけどね」
「木田さんは気に入らないの?」
「ええ、めちゃめちゃ気に入りませんね」
「そう?だってさ、ここまで遅れてるんなら、手伝ってもらってでも早く終わらせた方がいい気がするけど…」
「そう思います?」
 私はハルの考え方が意外に合理的なのに驚いた。
「でもね、ハルさん。彼らの工事費、僕らのお金なんですよ」
「え?何?どういう意味?」
「つまり、彼らに支払われる日当は、僕らが受注した工事金額の中から引かれるらしいですよ」
「何でそんな話なの?」
「所長の命令ですよ」
「またあの人?で、いくら払うの?」
「一日16万円です…」
「…本当によぉ!?」
 ハルは驚いて、仰け反る。
「それじゃあウチは赤字なんじゃないの?」
「元々赤字ですけど、さらに傷口が拡がった感じですかね」
「・・・」
「・・・」
 二人で一瞬沈黙する。
「うひゃひゃひゃひゃ!お金を払ってやってもらっても、全然意味が無かったりしてね!」
「それは…、地獄だなぁ…」

 だが、ハルのろくでもない妄想は、すぐに現実となって襲い掛かって来るのだった。


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2 コメント

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援軍なら (カミヤミ)
2009-01-22 09:51:35
援軍なら、この仕事無理(^o^)=bとか言いやすいんですかね?
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敵軍? (どんぴ)
2009-01-23 01:59:22
とっても言いやすいです、はい(笑)
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