どんぴ帳

チョモランマな内容

はくりんちゅ216(M資源公団水管橋・後編スタート!)

2008-06-20 09:28:27 | 剥離人
 TG工業から戻って来ると、またK建設A用水の工事の為に準備を進めることになった。

 ハスキーの防音カバーは、グラスウールとパンチングメタルを交換し、全パーツを白色で塗装する。
「木田君、マフラーはどうするの?」
 小磯が、ハスキーのマフラーを指差す。
「どうも元々は防音タイプのマフラーが装備されていたみたいですね」
 私は唯一、M社に残されていた一枚の図面を見ながら答えた。

 ハスキーには現在、円盤の形状をした消音型のマフラーが装備されているが、防音カバーを使用するにはこれを外さなければならない。それはインシュレーター(防火材)で包まれたマフラーが、あまりにも高温になるからだ。防音ボックス内がマフラーの熱により高温になれば、排熱効率は著しく低下する。
 従って、防音ボックスを使用する場合、マフラーは防音ボックスの天井の上に乗せて使用することになる。

 M社から引き取った防音カバーの天井部には、防音マフラーが付いていたであろうボルト穴が残っているのだが、なぜか防音マフラーはカバーには付いていなかったのだった。
「防音マフラーは造るの?」
「いえ、今回は造りませんよ」
 ハスキーの防音カバーの性能は未知数であり、実際に運転してその性能を確認出来なければ、それなりの値段がする防音マフラーなど、造る事は出来ない。しかも防音マフラーを使うには、ハスキー本体とマフラーを接続する、高価な耐熱ダクトも作成しなければならないのだ。
「じゃあどうするの?」
「建機用の直管マフラーがありますから」
「直管マフラー?」
「ええ、これですよ、これ!」
 私は三菱キャタピラー社の川野辺が持って来た、黒色の長いマフラーをコンテナの裏から持ち出した。
「がはははは!これ、ブルドーザーとかが付けてるマフラーそのものじゃん!」
「ええ、まだ金属パッキンが無いんですけど、マフラーの径は同じφ150ですから」
「このマフラー、カバーの穴に入るの?」
 マフラーは、入口と出口の管径はφ150なのだが、真ん中はφ250の太さになっていた。
「うははは、ぎりぎり行けますよ。ただし、カバーの穴はφ280なんで、余裕が前後左右で15ミリしかありませんからね」
「それってきっちりとハスキーの位置を決めないと、マフラーが入らないじゃん」
「ええ、今からその位置出しをやりましょう」

 ハスキーの正確な位置を出し、ラジエターのジョイント部との兼ね合いを調整し、固定用のアングルを溶接、さらに細かいマーキングを行うだけでも、三人がかりで三時間もの作業時間を必要としたのだった。


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