オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

北海道のニジマス遊魚の行方とは、机上の空論 燃えるか

2015-02-07 12:07:42 | ニジマスによる被害
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北海道のニジマス遊魚の行方とは、机上の空論 燃えるか

2014年12月13日、美幌博物館の町田善康さんから下記のフォーラムがあるから、是非参加してはとのメールが届いた。

第15回北海道淡水魚保護フォーラム
どうなる?どうする?ニジマス・ブラウントラウト
~「規制」と「利用」の両立を模索する~

北海道では、外来魚であるニジマスとブラウントラウトが河川の生物多様性を本来の姿から大きく変えてしまったことが分かってきました。 生物多様性を守るために法的な規制が急がれる一方で、両種とも釣り人に人気が高く、利用を継続したいという声もあります。そこで、市民・釣り人・研究者・行政関係者などの意見に耳を傾けつつ、外来魚と人間のかかわり方について考えてみませんか?

日  時:2015年1月25日(日) 13:00~16:30(開場12:00)
開催場所:札幌国際ビル8F国際ホール (札幌市中央区北4条西4丁目1)
内  容:
_基調講演
「我々は外来生物にどう向き合うべきか?」
五箇 公一(国立環境研究所)

_事例紹介
「北海道に生息するニジマスとブラウントラウトについて」
長谷川 功(北海道区水産研究所)
「北海道の外来種対策について」
武田 敏朗(北海道環境生活部)
「ニジマス釣り・ブラウントラウト釣りを科学する」
坪井 潤一(増養殖研究所)
「釣り人にとってのニジマス」
三浦 幸浩(ニジマス未来プロジェクト)
「子ども達に本物を伝えよう ~在来種は、おもしろい~」
町田 善康(美幌博物館)

パネルディスカッション
テーマ:外来種とどう付き合うべきか

定  員:180名 _定員を超えた場合は立ち見となります。
入 場 料:無料(申し込み不要)
問 合 先:長谷川功・坪井潤一/コーディネーター
〒062-0922 札幌市豊平区中の島2条2丁目4-1
  (独)水産総合研究センター 北海道区水産研究所
TEL 011-822-2131/ E-mail: hasekoh@affrc.go.jp
主催:北海道淡水魚保護ネットワーク・北海道生物多様性保全活動連携支援センター






そこで、ニジマスによるオショロコマ被害につき広く知ってもらうよい機会と思って、おおよそ下記のような内容で発表させていただけないだろうかと 2014-12-16 長谷川功氏にメールでお願いしてみた。今現在の深刻なオショロコマの現状は、おそらく誰も知らないに違いないと考えたからだ。





絶滅危惧種オショロコマに対する放流ニジマスの影響 抄録

絶滅危惧種オショロコマは2014年現在も種々の理由により急速に減少しつつあるが、その危機的状況の実態、全体像は明らかではなく、したがって保護対策はなにもとられていない。オショロコマ減少の理由は多々あるが、なかでも近年放流ニジマスの影響は無視できない。私は過去45年間にわたり、オショロコマに特に興味をもって渓流釣りを行ってきた。全道各地でオショロコマの棲息状態を念頭においた渓流釣りを行い種々記録もとってきた。今回、これまでほとんど話題にされることすらなかった放流ニジマスとオショロコマとの関係につき、私自身で経験した具体的な事例を参考例として提示しておきたい。ちなみに私はニジマス釣り愛好家でもある。

知床半島ウトロ側では2014年まで全渓流でニジマスは見られていない。しかし知床半島付け根にあるシマトッカリ川では顕著なニジマス汚染がみられた。

知床半島羅臼側では従来から知西別川に放流ニジマスが見られるが個体数は多くない。

最近では羅臼川(2013)、オルマップ川(2006)でもニジマスが記録されている。放流ニジマスでオショロコマが消えたとされる居痲布川ではニジマス駆除後、2003年に近隣の渓流からオショロコマが移植され、ごく少数が狭い水域に短期間確認されていたが繁殖は行われず終息した。近年大規模な魚道工事にともない川そのものと河畔林の大破壊が行われた。2014年の調査では渓流は完全に荒れ果てており、少数のヤマベがみられたに過ぎない。


このほか 知床のU川には秋に遡上・産卵するウミニジマス(スチールヘッド?)個体群(2006)が遡上する。

釧路川水系では在来魚がほぼ消えてニジマスに置換された渓流が少なくとも2本ある(2007)。積極的な放流活動もあり、このほか多くの渓流がニジマスに汚染され、在来魚類に影響を与えていると思われるがその全容は不明。

釧路川水系、別の2本の渓流ではニジマス汚染が進行しオショロコマが減少していたが早春、雪解け増水とともに源流域に遡上・産卵する大型ニジマスを積極的に駆除した結果、一本の渓流ではニジマス激減、オショロコマ増加のきざしがみられている(2014)。

十勝川水系K川ではニジマス汚染は深刻でかって無尽蔵にいたオショロコマは壊滅し完全にニジマスに置き換わった。在来のオショロコマは最源流域にかろうじて命脈を保っている(2014)。こうなるまでの時間は最初にニジマスが確認されてから、約6年という短期間である。

かってオショロコマが多かった無加川水系支流B川中流域では放流ニジマスが繁殖しオショロコマをほぼ駆逐した。上流域ではオショロコマは大繁殖したニジマスのため絶滅、最源流域に超小型の個体群が僅かに残存(2014)。

無加川水系支流S川では源流域の二基の砂防ダムの下流域はニジマスが繁殖している。二基のダムの上流約100mほどのごく狭い水域にのみオショロコマが見られる(2014)。このように既存のダムがニジマスの侵入を防いでいる例はほかにも多いと推定される。

阿寒川水系支流 S川では放流ニジマスが全水系にわたって大繁殖しており、あたかもウグイの群のように群泳している。ニジマス以外の渓流魚はみられない(2013)。

阿寒のヒョウタン沼とシュンクシタカラ湖に豊富に棲息していた大型湖沼型オショロコマは乱獲とそれに続くニジマス放流で絶滅した。


2014年夏の調査では渚滑川水系、特にサクルー川水系のニジマス汚染はとりわけ深刻で各支流でオショロコマは過去の記録(2006)と比較すると見る影もなく激減、ないし絶滅状態。一方、おびただしい数の放流ニジマスが繁殖している。渚滑川水系のオショロコマは特異な形態的特徴があり、致命的な結果を招く前に早急な対応が必要とおもわれる。


オショロコマ激減ないし消滅した上記渓流では居麻布川以外は開発行為等による自然環境の変化は、ほとんど無いことに注目すべきである。


このほか、オショロコマ以外の在来種と放流ニジマスの関係としてよく知られる事例は

北海道大学苫小牧演習林の渓流に貴重な陸封型ヤマベ(サクラマス)個体群が棲息していたが昭和40年代に放流されたニジマスにより絶滅した。このほか、道南の河川でも陸封型ヤマベ(サクラマス)個体群がニジマス放流後に絶滅しているという。陸封型ヤマベは一般的にニジマス放流に弱い。

道南の渓流や千歳川水系支流ではニジマスだけではなくブラウントラウトも同時に放流されていることがある。このような渓流では外来魚が在来のアメマスに置き換わっている。

道東の風連川では春産卵のニジマスが同じく春産卵のイトウの産卵床を破壊している。さらに孵化したニジマス稚魚が水生昆虫などをとる様子はイトウ稚魚より活発でイトウ稚魚は負けるという。


今現在、事態は深刻である。とりあえず、今回は比較的わかりやすい上記のオショロコマに関する自験例につき多数の画像情報、データとともに紹介する。これら以外にも今現在、放流ニジマスに関する負の事例は枚挙にいとまがないが、私はニジマス放流による北海道のニジマス釣り文化の継続は状況によってはまったく不可能ではないとも考えている。すなわち在来の生態系に大きな問題を起こさないようきめこまかな工夫をすることで対処可能な場合があると考える。具体的には私がこれまで主張し続けてきたニジマス放流ライセンス制とニジマス放流可能水域の設定がまずは現実的な対策とおもわれる。また米国での例のように放流外来魚が在来種棲息域に遡上するのを防ぐためのダム建設も緊急かつ現実的な方法として検討の余地があると思う。

しかし上述の方策等が現実問題として不可能ということになれば、いま奇跡的に北海道に残っている稀少・貴重な生態系を守るためには、生物多様性保全条例に基づく指定外来種に指定し、全道一律にニジマス放流を禁止するという流れは仕方がないと言わざるをえない。


折り返しメールがあり、組織内で検討のうえ 12月18日以降に連絡するとのことであった。

しかし、その後はまったくのナシのつぶてであった。準備の都合もあるので 12月31日に、ほんの10分の発表でも良いのでなんとかならないかと再度問い合わせてみると、何故か木で鼻をくくったような感じの返答があり、会場入り口にチラシなど置くスペースを用意するので、そこにチラシでもおいてはどうかとのことであった。何もしないよりはましかと思い、一応チラシを置かせていただく返事をした。




しかし、一方でこのフォーラムの性格が私が考えていたものとはかなりかけ離れたものではなかろうかと、ふと疑念がわいた。恐らく、あまり現場を知らない方々を中心にして、よくある学識経験者たちの机上の空論が行われるだけではないかと疑われたからだ。情報が限られる場合は、一般の方々はそれ以上に机上の空論に燃え上がるのが世の常である。こんな状況では、今回は、はるばる札幌まで出向いても私やオショロコマにとっては恐らくは時間の無駄、出席はよそうと決心したのであった。

                     次項へ続く。




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