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生産性向上運動に断固抵抗しよう!

2010年10月01日 16時48分41秒 | その他
生産性向上運動に断固抵抗しよう!
[ヤンハンスンの情勢の話](3)ストライキとストライキの間の日常闘争

ヤン・ハンスン(社会変革運動家)
民衆の声 2010.09.30 10:17

 2008年から続いた大不況が、単純に恐慌を通って好況にのぼる景気循環周期の一地点に過ぎないものではないならば、今日の時代は、どんな政府政策も効力がない資本主義世界体制の危機を迎えているわけだ。
 すでに“使うことのできるすべての手段が枯渇した”というブルジョアジーの告白書が、G20など世界首脳たちの多忙な会議テーブルに提出された状態だ。
 この文は、1968年フランス5月革命以降現れた“生活を変革しよう”というスローガンを思い出しながら書く非常に軽い提案だ。今や歴史的階級であるプロレタリアのゆったりとした第一歩を始める番だ。

 生産性向上運動に断固抵抗しよう!

 * 生産性向上運動のいくつかの事例

 生産性向上運動(productivity drive)は、資本が労働に対する搾取強度を高め、より多い利潤を得ようとする目的で資本主義の発展史に寄り添いながら、運動の形態は第2次世界大戦以降ヨーロッパ経済協力機構(OEEC)によって初めて現れた。1950年にはこの運動を推進するためのヨーロッパ生産性センターがパリに設立された。
 目的達成のためには労働組合の参加が前提になる。ソ連のスタハノフ運動もやはり労働者主導の生産性向上運動だ。
 韓国では国際競争力の強化と付加価値増大のために1981年を生産性向上運動の年と設定しながら本格化した。現在は韓国生産性本部が引き続き推進している。
 最近の韓国生産性本部は、当面する経済的危機状況を突破し、新しい跳躍のために国家生産性向上運動を要請している。
 産業と社会全分野を結びつける生産性向上は、生産性政策の提言、生産性戦略の樹立、生産性動向の調査、生産性と労使・賃金関係の研究、生産性水準の認証を主要事業に設定している。費用を節減して利潤を極大化する資本の戦略に基づいているのはもちろんだ。
 昨年77日間のストライキ闘争を終わらせ操業再開に入った双龍(サンヨン)自動車・平沢(ピョンテク)工場の労働者は、“回復の道に不良車はない”と、生産ラインを忙しく回した。資本に対する労働者ストライキの打撃は業務日常で急速に回復するということが私たちの経験だ。

1) 千里馬運動: 朝鮮戦争以降、北朝鮮労働党は経済復旧のために‘革命的群衆路線’ ‘革命的事業方法’ ‘人民的事業作風’を強調して大衆の創意性を動員した。これを土台に1958年から始まった千里馬運動は、北朝鮮式国家資本主義の総路線だった。
 だが、この労働競争運動の包装は“経済と文化、思想と道徳のあらゆる分野であらゆる遅れたものをはき捨てて、絶えず革新を起こして社会主義建設を非常に促進させる我が国数百万勤労者たちの一大革命運動”であり、この路線の本質は“すべての勤労者たちを共産主義思想で教育・改造し、党周囲に、より一層強固に縛り止め、彼らの革命的熱意と創造的才能を高く発揚させ、社会主義をよりよく、より早く建設するところにある”というものとして美化されていた。
 “すべての力量を総動員して事業を最大限に速く押し進めながら、その質を最も高い水準で保障するための社会主義建設の基本戦闘形式であり、革命的な事業展開原則”である1970年代の速度戦は、北朝鮮の経済辞典によれば、映画製作の過程でキム・ジョンイルによってその典型が創造され、“いったん始めたことを低めず抜け目なくしがみつき、火を起こしてやりぬき、休みなく新しい革命課題の遂行に突進していく電撃戦の原則と事業において中心環に力を集中し、問題を一つ一つ解決していく殲滅戦の方法によって担保される”と説明する。

2) セマウル運動: 農家所得倍加という美名のもと出発したセマウル運動は、都市と工場にまで広がった韓国の代表的な生産性向上運動だ。
 経済先進国の隊列に進入しなければならないという政府の国民総動員意志は、事実上維新独裁の登場と密接な関連を結んでいる。
 南北赤十字社を通した板門店(パンムンジョム)での秘密接触、南側情報部長の平壌(ピョンヤン)訪問と北側副首相のソウル訪問、そして相互中傷・誹謗・武力挑発の禁止、南北間諸般交流の実施、南北直通電話の開設などからなる7・4南北共同声明、これらすべては、26年ぶりに初めて南北対話の通路が開かれたという意味よりも、南北の権力が各自の体制を強化しながら内部の生産階級を崖っぷちまで追い込んだという点に注目しなければならない。
 国家改革を引き続き推進しなければならないという名分のもと、パク・チョンヒの3選改憲の根拠を用意し、非常措置統治に利用した。150年かかったドイツ経済成長の象徴を意味する‘ライン川の奇跡’をわずか15年に圧縮して成長させようとした維新体制は、輸出ドライブ政策で1961年1,000万ドル、60年代に1億ドル、70年代10億ドル、80年代100億ドルの幻想的な成長数値を統計紙に着々と打ち付け、労働者階級を徹頭徹尾収奪した。それは90年代に1,000億ドル輸出につながり、こうした労力動員方式は、幾度かの政権交替があったにもかかわらず今まで資本蓄積に用いられている。

3) 生産性賃金制度: 生産性増加にともなう利益分配を労使間に相互保障する制度: これは第2次世界大戦直後、皮肉にも国際労働機構(ILO)が提案したもので、今日世界各国の労使協力運動の基盤になっている制度だ。労働者階級の革命運動を反革命に転じようとする改良主義労働運動陣営の資本主義成長運動であることは言うまでもない。趣旨は、労働者の生産性寄与と利益分配の透明性を労使間に相互保障するというもっともらしい出発のもと、労働者が先に企業の生産性向上運動に積極的に寄与しなければならないものと結論付けている。
 この足かせは、労働者の権益保護のための集団行動を避けようとするところから発明された。第1次世界大戦以降ヨーロッパの生産性向上運動、すなわち工場自動化によって大量生産体制が導入され、労働者の雇用を大きく脅かした産業合理化運動が、爆発的な労働者のストライキで反発され、資本主義の根幹を揺るがしたブルジョアジーの苦い経験に基づいている。したがって、労働者に直接賦課する生産性向上運動であり、資本のイデオロギー的攻撃と労働の抵抗が伴わない、労働階級と資本階級との間の物質的な協力モデルだ。
 二つの勢力の敵対関係を隠蔽しているため、我々にとっては全く驚くべき制度ではないが、衝突を望まない労働組合官僚らは、あたかも共生のモデルであるかのように大げさに騒いで強固に定着させた。

* 職場―地域評議会の連結網としての反生産性運動の有効性

 ある社会の支配思想は、その社会の支配階級の思想だ。今日、生産性向上運動はあらゆる名目で労働者階級を動員する。だがその基本発想は、“より速く”労働力を回して剰余価値を創り出そうとするところにある。この戦闘の勝利者が支配階級だという点は再考する余地のない確証だ。
 変革期のストライキとストライキの間の空白を埋める問題! 職場に垣根を張り巡らした資本の形式的な支配空間においては、個人的・集団的な怠業〔サボタージュ〕を遂行することによって資本主義の生産性向上運動に打撃を与えることができるはずだ。怠業はストライキの延長であり、ストライキは怠業の圧縮された表現だ。
 であるなら、労働者に対する実在的支配を表現する職場の、その外ではどのように闘うべきか? 競争的な生活テンポを非競争的な生活テンポに転換させること! 労働する階級の熟練した経験を土台に、成長主義に対抗する想像力を発揮しよう。資本にとりこまれた企業労組など現存する改良組織を打ち倒して私たちにできる策略は無尽蔵に開いている。
 この闘争の要旨は、職場と住居地、そして国家と世界において成り立っているブルジョアジーの生産性向上運動をズタズタにして形骸化することだ。とても小さい活動の例としては、家で居間の主人づらをしている財テク広告を庭のごみ箱に押しこみ火をつけてしまうのも立派な手本になる。こうした日常の抵抗が、職場―地域評議会とインターナショナルの目標のもとに収集され、資本主義崩壊の環境を作ることは間違いない。■

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