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70日、止まらない「ロウソク」一代記

2008年07月20日 22時33分09秒 | 08年ロウソク集会
70日、止まらない「ロウソク」一代記
米牛肉、イミョンバクそして民主主義

イコンマム記者/チャムセサン2008年7月16日付

「市民の頭数が権力だ」

 5月3日、街角で出会ったある市民が残した言葉だ。一旦票を入れたのだから、すべての権力を渡せというイミョンバク大統領に対して市民は、「われわれの声が権力であり、すべての権力は国民から生じるのだ」というスローガンとロウソクを掲げて街頭に出た。ふっと吹けば消えてしまうロウソク。市民はこのロウソクを、放水と警察の暴力、保守言論の悪意に満ちた扇動にも消すことなく、暑い夏を真正面から通過している。70日余りの市民の行進を振り返ってみる。

ロウソク、生きるために街頭に出る

 4月18日、韓国政府が米国産牛肉輸入衛生条件の改正協議において米国と妥結したと公式発表した日、市民の怒りはインターネットからふつふつとわきあがりはじめた。韓米首脳会談を翌日にひかえ、交渉を開始してから9日目に終わった米国との牛肉開放交渉は、誰が見ても十分な期間をとってしっかりと行われたものには見えなかった。その後、メディアを通して韓国政府の交渉の問題が一つ一つ明らかになるや、市民の怒りは単純にオンラインにはとどまらなかった。

 5月2日、初めてのロウソク集会がチョンゲ(清渓)広場で開かれた。初めてのロウソク集会には2万名の市民が集まった。市民のロウソクは、はじめから米国産牛肉反対にだけあったのではなかった。市民は、イミョンバク政府によってごり押しされようとしていた大運河事業や医療民営化、上水道民営化など各種民営化政策、4・15学校自律化措置に代表される教育政策に対する反対の声を上げ、こうした政策を推進するイミョンバク大統領は「弾劾」されるべきだと声を高めた。また、数ヶ月後に正反対の立場に転じ、米国産牛肉は安全だと、イミョンバク政府を持ち上げるのに余念がない保守メディアに対する批判の声も上がりはじめた。

「イミョンバク大統領が背後」…インターネットで武装した市民

 市民の怒りは、健康かつ安全に生きる権利、誰もが享受すべき基本的な権利を侵害するなという要求、権力は国民から生じると記された憲法1条を守れという声だった。

 だが、これに対するイミョンバク政府の対応は、市民の声を真摯に聞くどころか、「再交渉不可」の立場を固守し、ロウソク文化祭を「不法」規定し、ロウソク集会のために集会申告を出した高校生を捜すために学校にまでおしかけて処罰を云々したり、背後探しに熱をあげたのだった。

 こうした政府の対応に市民は、「私の背後は米国産牛肉を輸入すると言ったイミョンバク大統領だ」と叫んだ。そして5月24日、「道路を占拠しなければこれ以上変わらない」と、市民はチョンゲ広場を飛び出し、道路に出て行進を開始した。道路に出た市民を警察は力で阻んだ。そして市民を強制連行しはじめた。ロウソク市民に対する警察の強制連行は翌日も続いた。2日後に70名の市民が暴力的に連行された。こうした警察の過剰対応に市民らは、80年代以降消えたと言われる「独裁打倒」というスローガンを再び持ち出し、掲げた。

 警察は、ご多聞にもれず、取材のために見守っていた記者がいなくなる夜中に市民を強制連行したが、インターネットという武器を持った市民は、自ら現場を中継し、警察の暴力鎮圧の模様をそのままに知らせた。2MBよりも上の2GBのメモリーで武装した市民が登場したのだ〔※〕。これにあわてたイミョンバク政府は、生中継のホームページ「アフリカ」を運営していたムンヨンシク代表を拘束したが、これで市民の素早い現場中継を防げるわけがなかった。
〔※ 2MBはイミョンバクの頭文字をとった略語。容量が2メガバイトしかないという揶揄の意味が込められている〕

 道路に出た市民は毎晩、警察に連行され釈放され、を繰り返した。政府は「ロウソクデモが次第に過激化し不法化している」と言い、「公安対策会議」まで開いて市民を圧迫した。だが市民は逆に「マル機バスツアー」をやろうという奇抜なアイデアで対抗した。

「国民を見捨てたイミョンバク政府、今度は国民が見捨てる」

 毎晩市民は睡眠時間を削ってイミョンバク政府に対話を求め、韓国国民の健康に全く責任を負わない米国との牛肉交渉を今一度行うよう叫んだが、イミョンバク政府は耳をふさいだまま5月29日、新たな輸入衛生条件についての長官告示を強行した。

 ロウソク市民の進路は市民自身が決定した。市民は誰の統制も受けようとしなかった。デモ隊列の一番前では論争も行われ、この過程で、スパイだと詰め寄られた者もいたし、また、これを整理してゆきながら方向を決定した。いわゆる「運動圏」のしるしである旗も自然に混ざってデモが行われた。市民の歩みが戦闘警察のバスに阻まれれば、そこが公演の場となり、論争の場となり、休息の空間となり、闘争の空間となった。ある人が言った「人々は街頭で自由と幸福に出会う」という言葉が実現した瞬間だ。

 だが、2メガバイトのいじられキャラに転落してしまったイミョンバク大統領は、「1万人のロウソクは誰の金で買ったのか調べてこい」という言葉で、事態把握ができないことを自ら証明した。

ロウソク、民主主義を叫ぶ

 市民は青瓦台に押しかけた。31日の夜だった。10万人の市民が集まった。青瓦台は10万本のロウソクで包囲された。市民は「イミョンバクは出てこい」を連呼した。だがイミョンバク大統領の対話とは、市民に向かって冷たい放水を浴びせることだった。市民は「温水! 温水!」と叫んで一歩も引かなかった。

 そして夜が明けた。警察は棍棒と盾を市民を無惨に振り下ろした。女子大生が軍靴で頭を踏まれる事件も発生した。こうした中、市民は自らに向かって叫んでいた「非暴力」というスローガンをイミョンバク政府に向かって叫んだ。そして市民は「民主主義」を叫びはじめた。自らを大韓民国CEOと称し、国民をすべて従業員にしてしまったイミョンバク大統領。「ロウソクはどこの金で買ったのか」と言って市民の声を絶えず疑うイミョンバク大統領。市民はこの事態を、明確に「民主主義の危機」と規定していた。

 そして20年前、民主主義へと一歩踏み出した6月10日がふたたびやってきた。大学生は同盟休業で、労働者はゼネストでイミョンバク政府を圧迫したが、イミョンバク政府はびくともしなかった。歴史に長く残る「ミョンバク山城」〔※〕を築いただけだった。
〔※ 青瓦台(大統領府)の前に積まれたコンテナの防御壁〕

 ともにロウソクをともしていた故イビョンニョル氏〔※〕を失った市民の怒りは極に達した。主催者側推定70万人の市民が街頭にあふれた。そして巨大なコンテナに突き当たった市民は「イミョンバク式の交流とはこういうことか」と怒りを爆発させた。
〔※ 5月25日に米国産牛肉輸入阻止を叫んで焼身自殺した40代の労働者〕

 コンテナに阻まれた市民は、コンテナをどう乗り越えるかをめぐって、何が暴力で何が非暴力かについて真剣な討論を続けた。警察に立ち向かって闘った市民に対する保守メディアの逆風が続いている中でのことだった。コンテナの前で行われた討論は「(コンテナを越えて青瓦台に行こうとする)われわれの意志を表現したなら、まさに翌日の朝中東(※)は「ロウソクデモ隊が暴徒に変わった」と書くだろう」という意見と、「朝中東に口実を与えることよりも大きな問題は、ここに集まった市民が、何もできずに無力感を持ち帰ることになってしまうことだ」という意見が真正面から対立した。
(※ 3大保守新聞である朝鮮日報、中央日報、東亜日報)

 こうして街頭に出た市民は、絶えず、何が民主主義で、真の民主主義を実現するためには何が必要か、毎晩街頭で真剣な論争を行っていた一方、イミョンバク政府は、鉄パイプを使用したとして市民を拘束し、市庁前のテントを強制撤去するなど、ロウソクの火消しに躍起となった。常軌を逸して突っ走るイミョンバク政府の政策が中断されなければロウソクは消えないということを、実にイミョンバク政府だけが知らないようだった。

痛苦の反省の結果、市民から広場を奪う

 イミョンバク大統領は6月19日、特別記者会見を行い、「10日、青瓦台の裏山に登って、切れ目なく続くロウソクを見た」とし、「痛苦の反省を行っている」と語ったが、「再交渉不可」というそれまでの立場から一歩も引かなかった。米国と追加交渉を行うと言い、米国に飛んだキムジョンフン外交通商部・通商交渉本部長の手みやげは、民間企業が自主的に品質を評価するQSAプログラムを導入するということだけだった。そして6月26日、長官告示は官報に掲載された。チョンウンチョン前農林水産食品部長官は、長官告示の官報掲載を発表し、「追加交渉を通して国益と国民の皆さんの意向が反映された対応が講じられ、幸いに思う」と評価した。

 「痛苦の反省をした」と語ったイミョンバク大統領の態度は、長官告示の官報掲載を強行したあと180度豹変した。これ以上対話の意志はないことを、全身で、街頭で確認した市民が「イミョンバク政権退陣」のスローガンを明確にするや、青瓦台は「反政府を目標とした不法暴力デモは自制されるべき」と、強硬対応方針を今一度確認した。イミョンバク大統領のこうした立場に警察は、「催涙液と蛍光物質を混ぜた放水を噴射する」とし、「激烈暴力行為者は最後まで追跡し、無条件で拘束する」と応じた。

 集会のための音響車両を押収し、景福宮駅に地下鉄を止まらせないようにし、歩道に立っていても無理やり連行することでもってイミョンバク政府は市民が街頭に出ることを阻んだが、市民は「反民主主義政権を審判する」と再び街頭に出た。6月28日だ。長官告示の官報掲載を強行し、あとはロウソクさえ消せばよいと判断したイミョンバク政府は、放水と盾、棍棒を動員して再び市民を暴行し、連行した。そして民主主義に対する市民の熱望に満ちたソウル市庁前広場は封鎖された。理由は、広場の芝生を復元する、だった。イミョンバク政府は芝生を復元するために市民を広場から追い出したのだ。

平和でいたい。けれども平和であり得ない

 市民は広場を奪われたが、止まらなかった。市民が広場を奪われるや、イエスが、お釈迦様が街頭に出た。市民はカトリックの司祭とキリスト教の牧師と仏教の僧侶とともに行進を開始した。市民は「光に勝つ闇はない」というスローガンを前面に掲げた。宗教家の中で最初にソウル市庁前広場に来たカトリック正義具現司祭団は、「非暴力」精神を強調し、「ロウソクは平和の象徴であり、祈祷の武器であり、非暴力の花」だと市民に非暴力平和行進を呼びかけた。

 これを受けて市民は、それまで抗議の行動として行ってきた戦闘警察バスを押すなどの行為を中止し、平和行進を続けた。そして7月6日、市民は「勝利」を宣言した。市民の「勝利」宣言は、何かを獲得したから宣言した「勝利」ではなく、まだ終わっていないことを互いに確認したことに対する「勝利」だった。この日も市民は平和的な行進と文化祭を開き、解散した。

 だが、イミョンバク政府の攻撃は止まらなかった。使用者であるイミョンバク大統領に国政遂行能力がないことを、組合員の意見で示そうとした全国公務員労働組合の代議員大会を源泉封鎖し、ソウル市庁前の広場を源泉封鎖し、すべての集会を不許可とし、すべての経済問題をロウソクのせいにするのが、現在のイミョンバク政府が行っていることのすべてだ。10日には、歩道を平和的に行進していた市民6名を強制的に連行した。

「われわれは赤い薬を飲んで真実を見た」

市民は、来たる17日をもう一つのDデーとしている。憲法が作られたという制憲節。憲法を守るべき義務を負うイミョンバク大統領が、憲法1条すら守っていないということを示すために街頭に出る。

 市民はこの2ヶ月間、憲法1条がいかに徹底的に踏みにじられたかを全身で経験した。市民はみずから、どのように集まり、何を要求すべきかを全身で体得している。そして、経済を立て直すと言って登場したイミョンバク大統領の言う経済とは、たった1%のためだけのものであることを、イミョンバク大統領が登場して100日目に気づいた。5月末のロウソク集会で自由発言に立ったある市民は、「ここに集まった人々は、マトリックス〔※〕に出てくる赤い薬を飲んで真実を知ってしまった」と言った。真実の赤い薬を飲んだ市民の行進は続く。
〔※ アメリカ映画〕

韓国政府、非正規職法改悪を推進

2008年07月20日 12時18分04秒 | 非正規職
非正規職をもっと長く使えれば解雇が減る?
政府、非正規職の雇用期間は3年、派遣業務は大幅拡大を推進

チャムセサン2008年7月18日付

 政府が、非正規職の雇用期間を現行の2年から3年へと増やすばかりか、派遣業務を大幅に拡大する方向で非正規法改正を本格的に推進していることがわかった。
 「中央日報」は18日、企画財政部と財政経済部の関係者の言葉を引用し、「法的に契約期間を増やし、派遣業種を拡大することにより契約期間満了を前に生ずる非正規職解雇が減るよう誘導するということ」だと報じた。こうした政府の立場は、このかん使用者が要求してきたことをそのまま受け入れたもので、労働界の強い反発を招くものと見られる。大韓商工会議所は6日、労働部などに「非正規職保護法に対する業界意見建議」を提出し、非正規職の使用期間を4年に増やすよう要求している。
 非正規法は7月1日で施行1年を迎えた。非正規職を保護するためにつくったという非正規法が、逆に非正規職労働者の大量解雇を招いているということを政府も認めている。
 企画財政部は16日、統計庁の「6月の雇用動向」を分析し、「非正規職保護法の施行以降、雇用地位が不安定な臨時、日雇い職および非正規職が大きく減少」したとし、特に今年7月1日から非正規職保護法の適用対象となった100~299人の事業場を中心に非正規職が減少している」と明らかにした。
 こうした分析にもかかわらず政府は、非正規職の不安な雇用地位を解消する根本的な対策ではなく、非正規職の雇用期間を増やし、使用者がさらに多くの非正規職を、もっと長く使用できるようにするやり方を採択しようというのだ。
 これに対しウムンスク民主労総広報担当は「傷に塩をまく行為」と一蹴した。
 ウムンスク広報担当は「政府のやり方は、非正規職が置かれている雇用不安と低賃金を固定化するということであり、今まだ最低限開かれている正規職化の出口さえも封鎖するということ」だとし、「非正規職が正規職化するあらゆる道を遮断し、非正規職として永遠に暮らさせるということだ」と批判した。さらに、「現在の経済危機によって発生する苦痛を、非正規職労働者だけに負わせようとする徹底的に財閥寄りの政策」だとし、「政府がこのようなやり方で挑発するのであれば、民主労総は戦争を準備せざるを得ない」と付け加えた。(イコンマム記者)

労働界も「日本の独島領有権明記」反発

2008年07月18日 12時34分22秒 | 日韓関係
労働界も「日本の独島領有権明記」反発
韓国労総・民主労総、イミョンバク政府の実用外交批判、「国民とともに独島守護に立つ」

毎日労働ニュース08年7月16日付

 独島領有権を主張する日本政府の蛮行に対し労働界も批判の声を上げている。
 民主労総は16日、日本大使館前で記者会見を行い、「日本とイミョンバク政府の妄動を許さない」と警告した。イソッケン委員長は、「日本政府が中高生に露骨に歴史歪曲を洗脳しようとしている」とし、「明白な領土主権侵害であり、虎視眈々と韓半島支配の野望を燃やしている日本の軍国主義者の挑発」と批判した。イ委員長はまた、「イミョンバク政府の対米屈辱牛肉交渉で健康主権を売り飛ばしたのに続き、対日屈辱外交で領土主権まで脅かされている」とし、「結局、実用外交、事大屈従が売国として現れた」と主張した。

 韓国労総もこの日、声明を発表し、日本の独島領有権明記に対し強く批判した。韓国労総は、「今回の事態は過去の日本の少数右翼勢力や一介の政治家の暴言の水準を超えて日本政府のレベルで行われた点で、その深刻性は大きい」とし、「日本政府は、未来の世代である青少年に侵略と貪欲の歴史を教え、韓日関係を硬直させ、東北アジア地域の平和を脅かしている」と指摘した。韓国労総はさらに、「日本政府は、墓の中に入っている覇権的妄想の夢を捨て、独島領有権明記を削除し、韓国政府と国民に謝罪すべき」と求めた。
 韓国労総は特に、政府の対日外交に対し深刻な憂慮を示した。韓国労総は、「日本が独島問題に対し着実に準備する間、韓国政府は日本や中国などの歴史歪曲に対応するためにつくった『東北アジア歴史対策チーム』を3月に廃止した」とし、「政府の安易な外交認識がこうした災いを招いた」と批判した。
 韓国労総は特に「米国に牛肉を譲歩して国民的抵抗を受け、日本からは回し蹴りを食らっているのが現政府の言う実用外交か」とし、「政府は現事態に対する明確な判断と断固たる対処を行ってゆく一方、国民とともに独島主権守護に立つべき」と強調した。

全教組「李明博の『実用外交』が独島明記問題招く」

2008年07月15日 11時22分41秒 | 日韓関係
全教組、「李明博『実用外交』が独島明記問題招く」
日本政府、新学習指導要領解説書に「独島は日本領土」

チャムセサン08年7月14日

 日本政府が14日、日本の中学校社会科教科書の新学習指導要領解説書に「独島は日本の領土であることを明記する」と韓国政府に通報した。
 これに対し与野党と政府が一斉に日本政府を非難している中、全国教職員労働組合が声明を出し、今回の事態の根本的な問題は「イミョンバク政府の低姿勢対日屈辱外交」にあると指摘した。
 全教組は「イミョンバク政府のいわゆる『実用外交』が日本の新学習指導要領の独島明記問題を自ら招いた」と指摘した。イミョンバク大統領が4月21日、韓日首脳会談の共同記者会見で「過去に縛られ未来に向かう支障となってはならない」と述べ、クォンチョルヒョン駐日大使は「独島と過去の歴史の問題を議論しない」と述べるなど韓日関係において低姿勢をとったことが今回の事態を招いたというもの。
 全教組は「日本の一方的な独島領有権主張は、韓日関係のみならず東北アジア全体の平和を深刻に損ねる行為」だと今回の日本政府の決定を批判したのに続き、「イミョンバク政府は米国との牛肉交渉において検疫主権を放棄したが、今度は独島の領土主権さえも放棄する低姿勢屈辱外交を行っている」とし、「日本政府が再びこうした非道徳的かつ反平和的な主張を行わないよう政府は強力に対応せよ」と求めた。(イコンマム記者)

【非正規職法施行1年】正規―非正規職「単一労組」の試み

2008年07月14日 17時12分35秒 | 非正規職
正規-非正規職の壁越え「単一労組」に向かうべき
【非正規職法施行1年】法あざ笑う雇用不安・差別

現代車など雇用不安おそれ「非正規統合」そっぽ
「雇用奪う」虚構の論理が手足縛る
ニューコアなど美しい連帯…希望の道示す

「来月、非正規職労働者の労組加入可否を決定する賛否投票を行います」

 先月(6月)30日、ヒョンデ自動車ウルサン工場前のヒョンデ自動車文化会館の講堂に集まった全国金属労働組合ヒョンデ自動車支部の代議員400名は、チョチャンミン事務局長(43)の言葉に耳をそばだてた。社内下請け労働者、食堂・警備など外注労働者に労組の門戸を開こうという案件だ。そうするためには代議員大会参加者の3分の2以上の賛成が必要だ。今回で3度目のチャレンジだ。昨年1月には圧倒的な反対で、6月には賛成211票対反対210票で否決された。2003年に成立した非正規職労組に、正規職労組が「壁」を設けたのだ。
 「全ての労働者はひとつの労組に加入する」という労組の「1社1組織」規約に基づき、ヒョンデ自動車支部は今年ふたたび壁を崩すことを試みる。今回も楽観することはできない。2004~2005年に労組幹部だったソドンシク氏は「非正規職に雇用を奪われかねないという現場の感情に代議員が逆らうのは容易ではないから」だという。
 ヒョンデ車の正規職労働者たちも、「非正規職を抱え込まなければならない」という大儀には首を縦に振る。手足を縛るのは「雇用不安」だ。1998年以降導入された整理解雇制が居座っており、「労働者雇用承継の負担がなくても社内下請け会社を取り替えることができる」今の請負契約方式では、下請け会社の非正規職労働者が潜在的競争者になりかねないからだ。去る5月、正規職労組は生産量の少ない工場の組合員250名を、生産量の多い工場に配置転換することで会社と合意し、非正規職は大量に職を失った。正規職労組が合意してきた非正規職の成果給は正規職の50~70%水準だ。

 非正規職労組が「組織統合」にすんなりと向かえないのもこうした事情からだ。非正規職の声が埋もれてしまいかねないという懸念だ。キア自動車支部は完成車4社のうちで最初に昨年4月、代議員大会で「非正規職の労組直接加入」を通過させ、今年5月に労組統合を実現させた。非正規職支会が「労組員直接加入」に反対し、別個にストを行って正規職労組との間に摩擦が生じたりもした。キムヨンソン前非正規職支会長は「非正規職の数が少ないからといって賃金・団体協約で非正規職の要求が埋もれてはならない」と警戒する。キア自動車支部は今年の非正規職団体協約交渉の要求案を別途設けて交渉を推進している。
 一部の正規職労組では、非正規職問題に「そっぽ」を向いたり「圧迫」したりということも。コスコム正規職労組は、「不法派遣」と「集団解雇」に抗議しストを行っている非正規職の闘争に反対し、上級団体である民主労総事務金融連盟の懲戒を受けたため、民主労総を脱退した。GMテウ自動車プピョン工場の非正規職労働者が昨年9月から断食・ろう城などで困難な闘いを行っているが、正規職労組の支援はほとんどなかった。

 非正規職問題の解決に乗り出し、「美しい連帯」を実践する正規職労組もある。ニューコア労組がその代表だ。ニューコア非正規職労働者のイギョンジャさんは「自分のことでなくても、解雇されたり無賃金で1年以上行動を共にしてくれた正規職の同僚を考えると、勝利せずに職場に戻ることはできない」と語った。金融労組韓国資産管理支部も、2003年、非正規職の労組加入を承認したのち、2006年、正規職-非正規職統合労組を発足させ、会社と協議し非正規職470名を正規職化させた。同労組国民銀行支部は来たる9月、組合員投票を行い、無期契約職5300名の労組加入を推進している。先月30日には全羅北道クンサンの金属労組タタテウ乗用車支部が代議員大会において満場一致で非正規職420名の加入を承認した。
 パクユギ前ヒョンデ自動車労組委員長(43)は、「非正規職が正規職の雇用を奪うという虚構の論理から醒め、正規職と非正規職が単一労組をつくって共同対応すべき」と語った。パクチョムギュ金属労組未組織非正規事業部長は、「正規職と非正規職が連帯し、共に立ち向かうことこそ第2の労組民主化運動」だと語った。

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産別次元の対応が連帯広げる糸口
10%台の組織率が障害

 民主労総・保健医療産業労働組合(120病院、4万人)は今年、産別団体協約の要求に「非正規職の正規職化および差別是正」を入れ、労使が100億ウォンずつ拠出する産別連帯基金をつくり、非正規職雇用安定などの問題を解決しようと提案した。保健医療労組は昨年、正規職の賃金引き上げ分の一部を非正規職の雇用安定に用いることで合意し、非正規職2079名を正規職に転換させている。
 民主労総・全国金融産業労働組合(37金融機関、8万5千人)も産別中央協約の要求に「非正規職賃金11.6%引上げ(正規職は5.8%)、非正規職差別撤廃および雇用安定」を掲げた。まだ非正規職として残っている労働者が少なくないからだ。
 非正規職問題に前向きに取り組む産別労組が増えている。企業別労組体制としては、金属労組ヒョンデ自動車支部で見られるように、個別企業で正規職と非正規職との間に生じる利害衝突を調整するのは容易ではないからだ。何年も産別レベルの労使交渉を行ってきた保健医療労組のイジュホ政策室長は、「産別次元では個別企業の人件費競争に伴う負担などを共同で論議することができ、労使協議がより円滑だ」と語る。イジュヒ梨花女子大教授(社会学)は、「産別次元では非正規職の組織化が相対的に容易で、個別企業で正規職と利害が対立する部分を脱し、マクロ的な対策を立てることができる」と語った。
 大きな障害は、低い労組組織率だ。現在韓国の正規職労働者の労組加入率は10.3%、非正規職の労組加入率は2.8%にとどまっている。イサンウ金属労組未組織非正規局長は「非正規職の組織化は、単労はもちろん産別労組全体が解決すべき重要な宿題」だと語った。

【非正規職法施行1年】ロウソク集会と非正規職

2008年07月14日 17時10分58秒 | 非正規職
ロウソクも「無関心」 非正規職「他人事」?

 2ヶ月を越えて「ロウソク」が全国を熱くしている中、非正規職法が施行1年を迎えた。ロウソク行列の中では教育、医療、公企業のようなテーマも出されたが、非正規職問題は目につかなかった。非正規職労働者もロウソクに大挙して参加し、「非正規職は労働のBSEです」というプラカードも登場したのにだ。
 去る7月1日夜、ソウル市庁前広場の時局ミサで出会ったイホウ氏(31・会社員)は、「非正規職問題はBSEや医療民営化ほど『自分の問題』として迫ってこない」と語った。30代のヤンソヨン氏は、「非正規職問題は重要だが、イミョンバク政府だけの失政と見るのは無理があるから、ロウソク集会の時に目につかないのではないか」と語った。
 「ロウソク集会に出ながらも、電気が切られて子供たちがロウソクで勉強していると言っていた非正規職組合員の言葉が浮かび、とてもロウソクをともせなかった」イーランド一般労組のキムギョンウク委員長の言葉には、非正規職労働者の現実を他人事のように考える人びとに対する失望感がにじみ出る。ロウソクと非正規職との間の「距離」は遠いのか。
 先月、公共運輸労組貨物連帯支部のストの際、「ロウソク民心」はそれまでとは異なった。物流が止まったとき、多くの市民は貨物車両の運転手に「支持」を送った。貨物連帯事務室には「皆さんのストを支持します」というファックスが相次いだ。貨物連帯は、ストを解いたあとにも警察のロウソク強硬鎮圧を糾弾する声明を出し、ロウソク市民の支持に答えた。貨物連帯のパクサンヒョン法規部長は、「貨物連帯が『米国産牛肉運送拒否』を宣言するや市民が関心を示してくれ、原油高で『運行するほど赤字』というわれわれの現実に共感したようだ」と語った。
 ロウソクの現場で出会った市民らは非正規職問題をよく知らないようでもあった。イホウ氏は「非正規職問題がどれだけ私たちの生活と密接につながっているかを知れば、私も積極的に取り組むと思う」と語った。非正規職労働者の雇用不安と差別、正規職労働者の苦悩を解くべき労働団体に、ロウソク市民が投げかけた宿題のように聞こえた。

【非正規職法施行1年】法改正か制度補完か

2008年07月14日 17時09分05秒 | 非正規職
労災保険拡大など「安全網構築が先」
【非正規職法施行1年】法あざ笑う雇用不安・差別

「雇用不安・差別に苦しむ…法改正前でも適用を」
労働界「外注規制」、経営界「派遣拡大」隔たり

 非正規職保護法が施行されて1年。ろくに効果がない中、法改正か制度補完をすべきとの指摘が広がっている。労働界、経営界、政府ともにその必要性に共感する。だが労働界と経営界の見方はかけ離れている。その間に非正規職労働者はさらに「切迫した」境遇に追いやられている。「社会の安全網」構築を急ぐべきとの声が高まっている理由だ。

■労働界「外注化規制」
 労働界の最大の要求は「抜け道的な外注化・請負いの乱用を防ぐべき」というもの。現行の非正規職法では外注・請負いといった「間接雇用」に何もできないからだ。常時必要な主な業務は「直接雇用」の原則を置き、外注化を阻もうという主張だ。漢陽大法学部のパクスグン教授は「外注化防止対策を講じなければ労働法全体が後退する」と指摘する。民主社会に向けた弁護士会は「社内下請け労働者保護特別法の制定」を提案した。労働界は、請負元業者も下請け業者と共に「使用者」と見るべきと主張する。 
 全国民主労働組合総連盟は、明確な理由があるときのみ非正規職を使用するようにする「使用事由制限」の導入を要求する。現行法は非正規職を2年だけ使用するよう「期間制限」規定を置くだけで、逆に非正規職を量産しているというのが理由だ。

■経営界「非正規職使用期間を3年に」
 経営界側の見方は180度異なる。経営界は期間制労働者を使う期間を2年から3年へと延長し、労働者派遣も、32の業務(197業種)に限定しているところから大幅に増やすべきだと主張する。間接雇用が不可避である以上、もっと派遣・外注を活性化させようという話だ。
 政府は経営界の要求を肯定的に検討している。労働部はこの3月、大統領業務報告において「経営界の要求と労働界の要求を一体で論議したのち、来年に立法を推進する」と明らかにした。イヨンヒ労働部長官は「期間制勤労者の使用期限を調整するなどの改正が不可避だ」と述べ、経営界側に傾いた発言をしている。

■法改正遅れる模様…「社会の安全網至急」
 政府の親(しん)企業政策基調にすがって法改正の声を高めていた経営界は最近、「ロウソク」で悪化した世論を意識してか、一歩後退した姿勢だ。韓国経営者総協会のチェジェファン理事は1日、韓国労働組合総連盟〔韓国労総〕が開いた非正規職法討論会の場で「今は性急に法を手直しするよりも非正規職法の定着に力を入れるべき時」と語った。
 民主労総側は「全面再改正」を求めつつも、優先順位を掲げてはいない。ハンナラ党の国会多数掌握などから見て、非正規職法が逆にもっと「改悪」されかねないという懸念からだ。イソッケン民主労総委員長は、「いま国会を通して改正を試みれば結果は明白。『非正規職法廃棄』が主要な要求事項から落ちている」と語った。
 労働部は、法改正を急ぐよりも、正規職転換奨励策を推進中だ。労使政委員会もまもなく非正規職後続対策委員会を再稼働させる予定だ。
 問題は、非正規職法がその役割を果たせず、雇用不安と差別に苦しむ非正規職労働者の「切迫した」現実がそれまで持ちこたえられるかだ。ある労働専門家は、「本格的な法改正論議は来年春の国会に持ち越される可能性が高まったが、非正規職を保護しうる労災保険の拡大適用など『社会安全網』の構築を急ぐべき」と指摘した。

【非正規職法施行1年】差別是正制度の適用拡大開始

2008年07月14日 17時07分24秒 | 非正規職
差別是正制の適用拡大開始
中小企業の77%が「対策なし」
100~299人の事業場、今月から適用

 7月1日から差別是正制度が100~299人の事業場8700か所の非正規職労働者39万6千名にも適用され、中小企業が本格的に非正規職法の影響を受けることになった。来年7月から5~99人の事業場49万3千か所の非正規職339万人に適用される。5人未満の零細企業89万7千か所の150万2千人は適用対象からはずれている。
 だが、大多数の中小企業が明確な対策を打ち出していない。中小企業中央会が最近300人未満の企業300か所を対象にアンケート調査を行った結果、77.3%が「法施行に伴う対策を立てていない」と答えた(2日発表)。韓国経営者総協会の最近の実態調査でも、300人未満の企業181か所のうち61.7%が「非正規職差別是正に関わる人員運用計画を立てていない」という。
 中小企業は、人員削減、すなわち解雇が容易でなくなるという理由で正規職への転換をためらっている。職員239人を置く大邱の製造業T社には、事務補助を行う契約職労働者7名がいる。これらの労働者は正規職と同じ仕事をしており給料も同じだが、正規職ではない。T社側は「経営条件が悪化した際の人員削減が難しく、正規職転換が負担」と語る。中小企業中央会のチョンインホ人力対策チーム長は、「処遇改善よりも、経営事情によって人員を調整できないのが負担」だと語る。
 対策を立てたという企業も、外注・請負業者に業務を預ける「外注化」(35.3%)、他の期間制労働者で「交替使用」(17.6%)などを検討しているという。法違反の危険も辞さないという態度だ。
 一部経営者らの主張のように「非正規職法によって雇用が減っている現状」は現れていない。中小企業中央会のアンケートで、正規職、非正規職の雇用を維持するという中小企業はそれぞれ91.7%、92.0%にもなる。
 中小企業は、期間制労働者の使用期間を3年に延長すること以外にも、差別是正制度の拡大適用を猶予することまで政府に要求する。政府は正規職転換の負担を軽減する対策を推進している。パクファジン労働部差別改善課長は「非正規職使用期間制限の効果が実質的に現れる来年7月には大量解雇事態が生じることもある」と語った。

【非正規職法施行1年】差別是正制度実効性なし

2008年07月14日 17時02分22秒 | 非正規職
すぐに切られるようになったのに「差別」耐えて暮らす
【非正規職法施行1年】法あざ笑う雇用不安・差別
会社側の懐柔・圧迫…同一労働・同一賃金「高い壁」
労働委の差別是正、10%のみ認定、大部分は棄却・却下
「当事者のみ申請」の手続も妨げ…待つ間に「解雇」

ハンギョレ08年6月30日付

 「非正規職労働者が一人で差別に立ち向かい、会社という『高い壁』を越えるのは本当に大変です」
 昨年7月、全国で初めて差別是正申請を出した農協中央会高齢畜産物公販場の非正規職労働者Nさん(32)の言葉だ。賭畜の仕事をするNさんは、同僚19名と共に「正規職と同じ仕事をしているのに賃金は正規職の半分にもならない」と慶尚北道地方労働委員会に是正申請書を出した。だが会社側の圧迫により10名が申請を取り下げ、10月からは「契約期間満了」を理由に、一緒に申請していた同僚5名が次々解雇された。労働委員会が同月、正規職との「差別」を一部認定し是正命令を行ったが、すでに解雇された人たちにとっては「遅い」措置は何の意味もなかった。結局Nさんらも雇用保障を条件に案件を取り下げざるを得なかった。しかしNさんらは契約職からも押し出され、この(7月)10日から、外注化された他の請負業者で働く。
 差別是正制度の「実効性」がほとんどないことを端的に示す例だ。「同一労働・同一賃金」原則に基づいて正規職と非正規職の差別をなくすとした差別是正制度は、非正規職法の核心に数えられる。
 中央労働委員会は、去る22日までに地方労働委会で受け付けた差別是正事件は816件(うち中央労働委員会まで行った事件は48件)だと30日、発表した。申請者は2818名。この制度が適用された300人以上の大企業の非正規職労働者35万人の内の1%にも満たない規模だ。それも韓国鉄道公社の事業場1か所だけで1400名で、事業場も鉄道・道路公社など数カ所に偏っている。また、申請案件のうち地方労働委員会で差別と認定されたのは約10%の73件(中央労働委員会16件)のみだ。残りは棄却または却下された。

 途中で事件を取り下げる労働者も多い。「契約を打ち切ると言うなど会社側の圧迫と懐柔に耐えきれず、自ら取り下げる事例が多い」とパクユヨン労務士は指摘する。「雇用不安」状態に置かれるよりは「差別」を我慢してしまおうということだ。差別是正申請の資格を「非正規職当事者」と制限しているためだ。
 
 申請手続も複雑だ。労働委員会は、差別を比較する正規職労働者が誰なのか、賃金格差がどの程度なのか、などを申請書に示すよう要求する。Nさんは「正規職の月給明細表を、盗むようにして出した」と語った。

 最終的な差別判定まで行くのも「山また山」だ。会社が不服の場合、中央労働委から裁判所での訴訟まで2~3年かかることもある。成果金差別で中央労働委が是正命令を行った韓国鉄道公社の案件は、裁判所にかけられている最中だ。1~2年ごとに契約を更新する期間制労働者がこの期間を耐え抜くのは容易ではない。
 実益も特にない。差別是正命令に基づいて補償される額は、申請日から3ヶ月内に差別を受けた賃金のみだ。
 7月1日から差別是正制度の適用対象が100~299人の中小企業にまで拡大される。だが労働部と中央労働委員会はまだまともな評価も出していない。法で置くよう定めた中央労働委の差別是正専門委員も、予算確保の困難性を理由に、この4月になってようやく採用された。
 キムソンヒ韓国非正規労働センター所長は、「様々な理由で、差別是正命令が出された案件は珍しく、男女雇用平等法のような差別予防効果も大きくないようだ」とし、「差別是正申請権を労働組合にも認めるなど補完策を講じる必要がある」と語った。