先月から通い出した南阿佐ヶ谷のバー『ハーヴェスト』の店名は、言うまでもなくニール・ヤングの名盤に由来しているわけですが、いつも黒いキャップを目深に被っているマスターのタカシさんによれば、殊更にそんなことを訊いてくるお客はこの街にはいないのだそうです(惜しまれつつ約10年の歴史に幕を閉じた阿佐ヶ谷駅前の『ストロベリーフィールズ』にも、ビートルズファンと呼べるお客は数えるほどでしたから、そんな土地柄なのでしょう)。カウンター8席だけの小じんまりとした店構えと寡黙なマスター、そして、いつ訪れても空いているところ(大事)が気に入って寄らせてもらうようになりました。
で、昨夜。
「女子高の保健体育の補助教員」兼「歌舞伎町のキャバ嬢」である、常連のヒトミさん(20代後半)と初めて同席。挨拶もそこそこに、まず何よりも、その二つの職業の掛け持ちは問題ではないのか、という当然の疑問を投げかけました。が、飲み屋特有の浮ついた雰囲気のなか「私立だし、別にいんじゃないの」という結論で終了。その後、最近の 女子高生に関するトーク。
「確かに、みんな体育は嫌がりますねー。 適当に生理とか言って休みますから。 こっちはそれだと仕事になんないので、うまいことノセますけど」
「僕なんか女子高生が集団でいるだけで怖いっすけど。 ノセるってのも大変でしょ」
「言葉が通じない子もいますけど、基本的に考えてることは単純なんです。 こっちはそれを利用すればいいんです」
「そんなもんですか」
「ええ。 例えば、『私も日焼けは嫌だから、バーっと走って終わっちゃおう』とか、『これやると、何キロカロリー消費するんだよ』とか、『二の腕を引き締める動きを教えてあげるからね』とか、です。 体育館の時には倖田來未のCDをかけたりね」
こちらとしては女子高生の操縦術を学んでも活かしようがないのですが。と言いますか、10歳下の世代と話す機会なんてあんまり無いですしね。先生は色々と気を遣っていて偉いなぁ。
「うーん、頑張ってますけどね。 でも、ギャップは感じますよ。 一回、オザケンを流したんですけど、本当に、誰ひとり知りませんでしたから」
「えー!」
「よく考えたら『LIFE』が出た頃(94年)、この子らまだ幼稚園児だっのかぁ、って」
「あー、そうか」
「オザケンが『いとしのエリー』なんて聴いてたのは20年以上前のことなんですよ」
「ハハハ。 なるほど」
「逆に、サザンのことはあの子達も知ってるんです。 桑田は憑かれたようにCMに出まくっますけど、今の子等に認知されてるだけでも凄い」
ふてくされてばかりの10代には、小沢健二も効くと思うんですけどね。