中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

虎の穴

2008-01-10 17:23:24 | Weblog
 今夏の北京五輪を目指す水泳界の第一人者・北島康介が先日、懐かしい四字熟語で今年の抱負を語っているのを見た。「一意専心」。語源は中国の古典『管子』で、文字通り、一つのことに心から専念する、集中するという意味。かつて、大相撲の横綱・若乃花(通称おにいちゃん)が、横綱か大関かに昇進する際、伝達式での口上でこの熟語を使って話題になった。100%自分自身のボキャブラリーにはなかったと思うが、この熟語はいい。このおっさん記者も好きな言葉の1つとして胸に収めてある。

 阪神のルーキーたちにも、この言葉を贈りたい。昨年のドラフトで入団した若虎たちが、思い思いに入寮した。それぞれの決意を秘めて「虎の穴」と言われる虎風荘にやってきたことと思う。プロとしての第一歩。白仁田や高浜がどんな表情で門をくぐったのか、実際に見れなかったのは残念だが、これからゆっくりとチェックさせてもらうことにしよう。その前に、彼らに言いたいのは、一意専心で練習に取り組むだけではいけない、ということ。プロなら誰だってそう。その中で頭角を現すには、さらに上を追求しないとダメ。寮を最大限に利用し尽くし、飛躍を遂げてほしい。老婆心ながら、そう思う。

 阪神を何年か取材してきた中で、一番寮を利用したと思われるのが、先日の年賀会にも姿を見せていた井川。前寮長の梅本さんも話していたが「まあよく食べた」とか。よく動き、よく食べた。そうやって土台を作った。 ただ、井川でもスッと1軍で活躍できたわけじゃない。今年のルーキーたちも、個々の事情はあるだろうが、焦る必要はない。

 しばらく経ったら、彼らの資質を山本晴三寮長に聞いてみよう。厳しさで知られる寮長の目に、誰が止まるか。個人的には、あの日本ハム・中田よりモノが上と言われる高浜に注目しているが…。ま、焦ることもあるまい。