さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

Nr.1の小道具~cappelloとは?

2020-12-26 | オペラ研究
さて。
スザンナはNr.1の2重唱で
“ un cappellino ornato di fiori ”を試しています。



~ capello ~

“ cappellino ”は“ cappello ”に縮小辞がついたものです。

“ cappello ”は帽子の他に、以下のように訳されます。
・帽子の形をしたもの
・傘の形をしたもの、または笠
・ニュースなどの見出し
・⦅古い言い方ですが⦆花冠、かぶと、桂冠など

このうち、3番目は、頭につけるものですが、
頭に被るものではないので、除外します。




~帽子~

帽子といえば…
麦わら帽子、山高帽子、ハンチング、ニット帽…
いろいろ想像できます。
野球帽、ヘルメット…
これらの中で、女性が身に着けるもの,
しかも、結婚式で身に着けるものは
礼装であり、ファッション性があるものでしょう。
つば広帽子やつば無帽子で、カジュアルではないものです。


帽子のつばに関しては、舞台では注意する必要があります。
つばは日光や光を遮る働きをします。
つばが広いと…舞台上では照明まで遮ってしまいます。
舞台で着用するということを忘れてはいけません。


では、どんなものにする?


この想像をする時に参考にするのは、
皇室やイギリス王室。

トーク帽やカクテルハット、ヘッドドレスと呼ばれているものが、
一番良いと思います。


花嫁が身に着ける頭飾り…。

頭の上にちょこんと乗せるものなら、
“ cappellino ”として最適でしょう。




~笠~

富士山の上にかかっている、あの雲。
笠雲または傘雲。

あれもcappelloでしょう。

和装の結婚式で花嫁が身に着ける角隠しや綿帽子、
あれも“ cappello ”でいいと思います。

よって、演出によってはスザンナも
“素賛菜”などと表記されて、綿帽子を使うこともあります。



角隠しや綿帽子に、金糸や白糸で花の刺繍をいれ、
その位置や大きさや形を見て、「さあ、これで満足」と歌い出すのです。


…滅多にない演出ですが、
見たことがある演出です。

もちろん文金高島田は、髪結の“夫意ヶ路”が結ってくれます。




~花冠・かぶと・桂冠~

この花冠とは、花の器官(複数の花びらから成るもの)ではなく、
花で作った冠のことです。
花と花を組み合わせて冠を作り、頭に被るものです。
小さい頃に、シロツメクサでよく作ったなぁ~。

オペラ『ヘンゼルとグレーテル』でも、
グレーテルが作っています。
…あ、この彼らの名前にも縮小辞“ el ”がついています。


桂冠は、月桂樹の葉や枝で作った冠のこと。
神話などでお馴染みのあれです。


“ cappello ”にこの意味があることを知っておくのは、
スザンナがアリアを歌う上でとても重要だと思います。



さて。
どんな“ cappellino ”にしましょうか。
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Nr.1の小道具~縮小辞 cappellino

2020-12-24 | オペラ研究
さて。

Nr.1の2重唱でスザンナは
“ un cappellino ornato di fiori ”を試しています。



~ 縮小辞 ~

“ cappellino ”は“ capello ”に“-ino”の縮小辞がついたものです。

縮小辞とは、イタリア語では「 -ino / -ina 」や「 -etto / -etta 」などのことで、
語尾につきます。
これがつくと「可愛い」とか「小さい」とか、
そういうイメージが加わります。

「早苗」の場合は「さなえった Sanaetta 」になるでしょうか。
日本語の表現としては「さなえっち」に近いです。
「~ちゃん」「~くん」と訳されることもあります。
「~ちん」とか「~っぺ」とか「~ぽよ」とも訳せますねぇ。


イタリア語の“ spago ”には“ひも”という意味があります。
これに縮小辞“ -etto ”の複数形“ -etti ”がついて“spagetti スパゲッティ ”、
“細いひも”というのが元々の意味です。
さらにこれに縮小辞“ -ino ”の複数形“ -ini ”がつくと、“ spagetthini スパゲッティーニ”
“細いスパゲッティ”を意味し、茹で時間が短めです。
この場合、縮小辞は“細い”と訳されます。


そうめん・ひやむぎ・うどん…の違いと似ているようですが…。




~人名の縮小辞~

話がそれますが、フランス語の縮小辞の代表は“ -ette ”
家を意味する“ maison メゾン”について“メゾネット”になったりします。
“小さな家”という意味です。
(※“メゾネットタイプの家”とフランスで言っても通じません)

アントワーヌという女性の名前についてアントワネットになったりします。
ジュリアに縮小辞がついたのがジュリエット。
どちらも縮小辞がついている名前が正式名称なので、
「アントワーヌちゃん」「ジュリアっち」などと訳しません。
「小次郎」を「次郎ちゃん」と訳さないのと同じです。
「愛」や「笑」、「美」の字が使われているのと同じような感覚です。
愛らしい子に育ちますようにと願ってつけられたり、
二世の意味だったり、可愛くて仕方がなかったりする思いが反映されていたり…。



ところで。

マリオという男性の名前やマリアという女性の名前に縮小辞“ -ette ”がついて
“マリオネット”という単語ができました。
人形のことです。
小さいサイズのマリオ、手で動かすマリア、マリオやマリアの縮小サイズ…。
“人間を小さくしたもの”または“人間の形をしたもの”と訳せるでしょうか。



ドイツ語の縮小辞の代表は“ -chen ”
マルグレートという女性の名前についてマルが欠落してグレートヒェンになったりします。
戸籍上の名前はマルグレートで、普段はグレートヒェンと呼ばれているのです。
「グレートちゃん」「マルグレートちゃん」などと訳しません。
シューベルトの歌曲のグレートヒェンとグノーのオペラ「ファウスト」のマルグリートは
同一人物です。

ちなみにミュンヘンは、ミュンに縮小辞がついたものではなく、
モンク(僧侶)の意味のドイツ語の複数形から来ています…たしか。

話が逸れ過ぎましたが、
この縮小辞が表すイメージは後々大事になってきます。
お忘れなく。
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英雄マラドーナ:神の手

2020-12-19 | サッカー
サッカー好きとしては語らずにいられない...マラドーナのこと。
なぜ、神の手なのかってこと。




~国交断絶状態にあった両国~

1982年。
アルゼンチンの東にあるフォークランド諸島をめぐって
アルゼンチンとイギリスの間で紛争が勃発。
約3ケ月、戦闘が続き、
両国ともに多くの犠牲者を出しました。

スペイン語ではマルビナス戦争。
イギリスが勝利しましたが、
アルゼンチンはまだ領有権を主張。

…そんな状況下でのワールドカップでした。



~メキシコ大会~

1986年。
遺恨を残したままのアルゼンチンは、
準々決勝でイングランドと対決。

イギリスは、メキシコ大会本選に
イングランド・スコットランド・北アイルランドとして出場。
…ウェールズはラグビーの方が強いのかな…。

戦争で負けて、まだ領有権を主張しているアルゼンチン。
国交は断絶したまま、迎えた準々決勝。




~試合~

無得点で始まった後半、
あの“神の手ゴール”でアルゼンチンが先制します。
試合会場に流されたリプレー映像でも、
その後、私達が何度も見ることになる録画でも、
はっきりとハンドであることが、誰の目にも明らかですが、
当時はVR判定などもなく、ゴールが認められました。

その後すぐに、伝説の5人抜きゴール。
マラドーナの2得点で、イングランドは破れ、
準々決勝で去ることとなりました。



~レッドカード~

もし、ハンドの判定が出ていたら…
エリア内なので、間違いなくイエローです。
当然、得点は認められません。
しかも、あれは“意図せず当たったハンド”ではなく、
明らかに拳を突き上げてのハンド。
現代なら間違いなくレッドカードでしょう。
得点が認められなかっただけではなく、
マラドーナは退場。2点目の5人抜きゴールもなく、
イングランドが準決勝に進んでいたでしょう。

しかも、得点王となったリネカーがいました。
優勝していたかもしれません。

1966年、開催国として出場し、初優勝をしたイングランドですが、
ワールドカップでの優勝はその1回のみ。
あの神の手ゴールがなかったら…。

イングランドでは“悪魔の手”と呼ばれているそうです。



~英雄マラドーナ~

敗戦したアルゼンチンが勝利したイングランド戦。
勝利に導いたマラドーナ。
敗戦国にもたらした歓喜。

ワールドカップ優勝。

誰が見てもハンドである1点目。
…たぶん、口には出さなくても、誰もがハンドだと思っているでしょう。

大会MVPを受賞したマラドーナ。
英雄となったマラドーナ。



1989年、両国は戦争の終結を宣言し、
翌1990年に正式に国交が回復しています。



~1990年~

1990年のワールドカップはイタリアで開催。
イングランドは準決勝でPKで敗れ、
3位決定戦で開催国イタリアに敗れ、4位に。
アルゼンチンは準決勝をPKで勝ち、
決勝では前回と同じ西ドイツと対戦。
今回は敗れてしまい、準優勝。

優勝した西ドイツは、年末に東ドイツと再統一され、
西ドイツとしての有終の美を飾る結果に。


…って、ドラマですよね。



R.I.P.
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