大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

特定郵便局は,脱税の温床だった―亀井静香が復活を狙うもの

2009年09月17日 21時33分03秒 | Weblog

 自民党の小泉純一郎氏が断行した郵政改革の前,全国には特定郵便局のネットワークが張り巡らされていました。そして,通常の郵便業務に加えて郵便貯金,簡易保険などの金融業務も行っていました。
 これらの金融業務で動く巨額の金を,どこが管理していたのかご存知ですか。以下は,ささやかな経験に基づいた実話です。
 ある人物の妻の遠縁に,関東近辺のある県のある町の特定郵便局長がいました。この特定郵便局長は,その人物とは別の県に居住していました。この特定郵便局長が,しきりに郵便局の金融商品を利用するように勧めていたのだそうです。その人物を通じて私も幾度か勧められました。
 なぜ,特定郵便局長が熱心に勧めたのか,不思議に思って私が確かめたところでは,特定郵便局長によると,郵便局の金融商品は税務署の追求を受けない,税務署の管轄外だと云うのです。言外に,脱税あるいは財産隠しのための勧誘の可能性を示唆していたのです。
 この世に税務署,つまり国税庁が把握できない部分があるものだろうか,と半信半疑のまま,私はこの特定郵便局長の勧めには乗りませんでした。
 ところが,十年,いや数十年を経た後に,ある問題が起き,否応なくこの問題を思い起こさせられたのです。上記の人物に税金問題が生じ,税務署が調査を始めたのです。その人物との関係で,私のところにも税務署員がやってきて,いろいろと質問を受けました。
 その税務署員は,私を信用したのでしょう。調査結果の資料を見せてくれました。その緻密なこと,金の流れは完全に把握されており,何年何月何日の何時何分に○○銀行本店に現金を持って訪れ,額面××円の割引債券を△△枚,合計いくらいくら購入した。と云う具合で,フローチャートよろしく金の流れが一目瞭然に図示されていたのです。ところどころで金の流れを示す線が途切れていました。
 ところが,その人物がかねてから自慢していた特定郵便局長とのつながりを示すはずの流れは全く描かれていなかったのです。「こことここが不明なんですよ」と税務署員が説明してくれました。
 「そう云えば郵便局の関係は分からないのですか」,と税務署員に訊いてみたのです。その時税務署員は,「調べてみますが,お時間を下さい」と答えました。
 それからひと月かふた月ほど経ってから,税務署員がやってきました。そして云うことに,「残念ながら手が出せませんでした。国税庁とは管轄が違うので駄目でした,申し訳ありません」,と税務署員から謝られたのです。終始,実に丁寧な対応でした。
 これでかつての特定郵便局長の言が間違いなかったことを知ったのです。例えば,東京在住の人が東北の特定郵便局を利用したような場合には,なおのこと「治外法権」だそうでした。
 小泉純一郎氏が郵政改革を強行した理由のうちに,特定郵便局を利用した脱税問題があったのかどうかは分かりませんが,郵政改革に反撥して自民党を離党した亀井静香が,なぜ党を割ってまで反対し続けたのか,思い当たった気がします。
 全国にどれだけの特定郵便局があったのか分かりませんが,数万いや数十万に達していたのではないかと思います。少なくとも,当時の町村の数以上であったはずです。そして,特定郵便局長は,地方であればあるほど土地の名士でもありますから,選挙の時には票田,あるいは票のとりまとめに大きな力を発揮していたのではないかと思います。
 それが証拠に,郵政改革当時の自民党に,コウモリのように平気で変節を繰り返す荒井弘幸という議員がいましたが,この人の父親は特定郵便局長で,父親の影響力で選挙を勝てたのだそうです。そして,この男も郵政改革に反撥して自民党を飛び出しました。今は何処にいるのでしょう。知る気にもなりませんが。
 国民新党を作った亀井静香と綿貫民輔は,この点で利害が一致したのでしょう。
そして,今回の民主政権に連立参加することで,かつての特定郵便局の旨みを再現しようと狙っているのではないでしょうか。そうでなければ,昨日発足したばかりの鳩山内閣で,早々と郵政グループの組織変更を図り,しかも金融2部門に最優先で手を付けるのは不自然です。
 おそらく,亀井静香は鳩山政権が長くは続かないことを承知の上で,自分の分だけさっさと「よいとこ取り」をして,あとは野となれ山となれ,と逃げ出すつもりでしょう。
 小沢・鳩山側にしても,今は参議院で単独過半数を取っていないので,厄介者の社民党や国民新党の横暴に目をつむっていますが,来年の参院選で単独過半数を取ってしまえば,こんなゴミのような連中さっさと追い出してしまえ,と云うことになるでしょう。
 まさに同床異夢,呉越同舟とはよく云ったものです。



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