大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

船は急には止まれない―1000:1の運動量

2008年02月23日 09時36分04秒 | Weblog
 排水量7000トンのイージス艦に対するに,7トンの漁船。排水量(重量)比1000:1ですから,同速で航海していたとすれば運動量も1000倍と見ていいでしょう。
 とすると,危険を感じて停止するまでの距離も1000倍,舵を切るにも回転半径は数百倍以上になります。
 巡航速度で航行中の超大型オイルタンカーでは,舵が効いてくるまでに数㌔㍍走行するといいます。しかも,舵の効きは速度に比例するので,今回のように横須賀港に近づいて船舶の往来が頻繁な場所では,かなり減速していたと思われますから,舵の効きはさらに悪くなっているはずです。これはごく基本的な物理の原理に基づいており,たとえ転舵しても瞬間的な方向転換はできなかったはずです。こんなことは,大なり小なり船乗りであれば常識のはずです。
 しかし,それにしてもNHKをはじめとする日本のマスコミの平和ボケは救いがたいばかりです。この調子では,万が一有事が到来したときにはどうなるのでしょうか。
 もしも,どこかの国の支援を受けた北朝鮮が乾坤一擲の最後の勝負に出て,日本海に面した秋田県辺りに上陸してきたらどうでしょう(北海道を本州から分断できますし,北海道の自衛隊は直ちには駆けつけられません)。東北の人たちは先を争って南へと避難してきます。国道の橋という橋は避難民の自動車で一杯になってしまいます。このとき戦車を先頭とする陸上自衛隊は南から北へと移動しなければなりません。橋が渡れません。どうするつもりですか。
 これが杞憂だとは思えません。それだけの備えをして初めて平和国家が維持されるのです。そのときマスコミは自衛隊が避難民を排除した,あるいはもっと強烈に「轢き殺した」とでも騒ぐつもりでしょうか。しかし,そんなマスコミも北朝鮮軍に占領されれば一瞬にして消滅してしまうのです。NHKは真っ先に占拠され,マスコミの幹部は即座に銃殺されるかも知れません。
 民主党の鳩山幹事長は,石破防衛大臣の問責決議案を提出する,などといい出しましたが,参議院で多数(過半数ではありません)を占める民主党がこんなことを続けているのなら,いっそ一度民主党に政権を取らせたら,と思ってしまいます。今回のような事故が民主党政権下で起こったら,鳩山幹事長はどう対処するのでしょうか。「ネクスト内閣」などと政権ゴッコをするからには,そういった事故の対応策も持っているはずです。どうせ半年も保たないのは分かっていますから,一時の混乱を覚悟の上で政権を取らせ,そこで完膚無きまで打ち砕いてしまった方が後顧の憂いがないのかも知れません。

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2 コメント

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Unknown (oj1726)
2008-02-26 04:51:38
米島先生
> 巡航速度で航行中の超大型オイルタンカーでは,舵が効いてくるまでに数㌔㍍走行するといいます。しかも,舵の効きは速度に比例するので,今回のように横須賀港に近づいて船舶の往来が頻繁な場所では,かなり減速していたと思われますから,舵の効きはさらに悪くなっているはずです。これはごく基本的な物理の原理に基づいており,

事故当時「あたご」の速度は10ノット(18Km/h)だと分かっているそうですね。そうすると、舵は何百メートルできいてくるのですか? 計算の結果をお教えくだされば幸いです。
どれだけ走ったら舵が利くか (米島勉)
2008-02-26 18:42:55
私のブログをお読み頂きありがとうございます。

 イージス艦が時速18㎞で走行していたとしての,舵が利くまでの距離ですが,残念ながら,これは船型,推進力,舵の大きさ(面積)と操舵角(進行方向に対する投影面積と角度),波の状態など,それぞれの船独自の特性と外部環境が影響しますので,そのデータがない限り計算できません。また,漁船もそうかも知れませんが,イージス艦ではスクリューの逆回転による制動操作も可能ですが,これとても利くまでにはかなりの時間がかかります。ですから,大きな船を岸壁に正確に着けるのは,昔から名人芸とされてきました。
 しかし,遊園地のボートですらオールを上げて自由航行に委せれば,かなりの距離でも自由走行することから(水面では摩擦係数が小さいためで,これが船舶による海運を有利にしているわけです)も分かるように,船は急には止まれません。これではお答えしたことになりませんので,「クライン孝子の日記」に掲載された船舶設計の専門家のメールを抜粋してご紹介します。

http://www2.diary.ne.jp/user/119209/

2008/02/24 (日) 今回の事故、双方に原因があるのでは?(2)

 小生、36年間の造船所勤務,その後海運会社に勤務して2年です。造船所時代の後半は艤装部長、品管部長を歴任し新造船の公式試運転時 には今回のあたごと漁船の事故のような現場を多数経験しております。

 メディア報道のなかには大型船が後進をかけて停止するのに500メートル程度かかる 等書かれていますが、そんな距離では停止しません。
試運転試験項目にはクラッシュ・アスタンというのがあります。衝突防止のために急制動(全速前進→前方に異常発見→全速後進→停船)この間の時間及び停止までの航走距離をGPSを使用して計測します。
 とても500や600メートル程度の距離では停止不可能です。同型艦を使用して確認すればすむことです。
 また操舵試験及び非常操舵試験も行います。舵を左舷または右舷に35度一杯に切って一回転する時間と旋回半径を計測します。とてもとても至近に迫った漁船群を避けきれるものではないでしょう。
 反対に数トン程度の漁船(旋回半径20から30メートル)がなぜぶっかったのか・・・・・
 考えればメディアに書けばパッシングされそうな理由があれこれ推測されます。[以下略]

これでよろしいでしょうか。

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