ケータイのない恋愛を、あなたは想像できますか。
■監督 行定 勲
■脚本 伊藤ちひろ
■原作 三島由紀夫「春の雪」(豊穣の海第一巻)
■キャスト 妻夫木 聡、竹内結子、高岡蒼佑、榎木孝明、岸田今日子、大楠道代、若尾文子、及川光博、田口トモロウ、石丸謙二郎、宮崎美子、山本 圭、高畑淳子
□オフィシャルHP http://harunoyuki.jp/
大正時代の貴族社会。 公爵家の子息・松枝清顕と伯爵家・綾倉聡子。
やがて悲劇の結末をむかえる、二人の愛の逃避行。
すれ違う気持ち、大人たちの思惑、そして貴族社会の制約・・・愛し合う二人に訪れる数々の悲しき運命・・・
おススメ度 ⇒★★★☆ (5★満点、☆は0.5)
cyazの満足度⇒★★★★
好きなだけで自由な恋愛も許されなかった時代。 しかも公爵家・伯爵家と貴族の家に生を受け、それは命を受け自ずと制約をも架せられた人生。
幼馴染とはいえ、大きくなるにつれ、互いに男女の違い、世界の違い等で思うように心を伝えられない不安と葛藤。 そんな不自由な制限のある男と女の恋愛模様を妻夫木 聡と竹内結子は上手に演じている。 特に妻夫木 聡は今までにない硬派な演技を見せており、久しぶりに飄々とした今までの演技とは一線を画した演技を見せていた。
そういえば、少年時代を演じてた少年はあまり似ていなかったが、一番似ていたのはあの分厚い唇だった(笑)
松枝(妻夫木)の友人の本多役・高岡蒼佑も微妙に揺れる男への愛情と友情を上手く演じていた。 特に月修寺門跡(若尾文子)に二人を合わせてやってくれと嘆願する姿は瞬き一つせず絶妙の演技をしていた。 『パッチギ』にも出ていた彼だが確実に役者として成長している跡が見てとれる。
「君は僕の友だ」
松枝(妻夫木)に対して放つ言葉は実は、
「君のことが好きだ」
と言っているに違いない。
この映画は主役の二人ももちろん上手いのだが、いつも僕が映画を観る時に楽しみにしていることの一つに、脇役の配置とその演技である。
清顕の祖母を演じる岸田今日子、清顕と聡子の密会を手助けする綾倉家の侍女蓼科役の大楠道代、そして月修寺門跡役の若尾文子。 この映画でこの三婆(失礼)の存在は欠かすことの出来ないものであり、ニクいキャステキングだと思う。 特に若尾文子は映画出演が18年ぶりというが、そのキャリアゆえにギャップを感じさせない素晴らしい存在感を見せている。
これから観られる方々には、是非この三婆の演技に注目して御覧戴きたいと思います。 男優の脇役の素晴らしさを語る映画は多いのですが、女優陣の脇役の素晴らしさを久しぶりに感じた作品でした。
そして、この映画はその時代背景こそ違いますが、過日に観た『蝉しぐれ』に共通する“愛”と感動があると思います。
主題歌である宇多田ヒカルの「Be My Last」は、このこの映画にふさわしいとエンドロールを観ながら思いました。
劇中の絵札と読み札、幼い頃の淡い恋心と将来への誓い、心に新たに染み入る歌だったと思います。
瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
崇徳院
崇徳院(すとくいん)⇒第75代(1119-1164,在位1124-1141)。 鳥羽天皇の第一皇子、母は待賢門院璋子。 父と美福門院得子に疎まれ 22歳で廃位。 藤原頼長の養女呈子を中宮とし、鳥羽院崩御を機に頼長と組んで保元の乱を興したが、後白河に敗れ、讃岐に流された。
制約があるからこそ、熱くなる愛があるのでしょうね!
自由に恋愛できる今の時代は幸せなんでしょうか? それとも・・・
是非御覧になって感想を聞かせて下さいね^^
あら~?
私はヒッキーの英語の歌詞がなんだか浮いているような気がしてしまいましたー(汗)
有名歌手の歌をエンドロールに流すこと自体イマイチ賛成派ではないんですよね・・・。
この映画、主役も頑張っていましたが、なにより脇がよかったと思います。
私も三婆(失礼!)がすごくよかった!!
男性では田口トモロヲがワンシーンだけでさらっていきましたね~。
>男性では田口トモロヲがワンシーンだけでさらっていきましたね
原作は読んでいないのでよくわからないですが、彼もやはり清様ファンなのですかねぇ(笑) ?!
最近すごく気になっている大楠道代さんが出ていたので、すごく楽しみにしていましたが、期待を大きく上回る存在でしたね。
岸田今日子さんもあの毒を含んだ奥ゆかしさと、
若尾文子さんの菩薩の様な微笑みが印象的です。
こちらもTBさせて頂きます。
>大楠道代さんが出ていたので、すごく楽しみにしていましたが
若い頃の彼女はもっと凛として、妖艶で男気質なところもありましたが、今は燻し銀のような魅力ですね!
>岸田今日子さんもあの毒を含んだ奥ゆかしさ
彼女を見てると「おさむちゃ~ん」というショーケン主演のTVを思い出してしまいます(笑)
>若尾文子さんの菩薩の様な微笑みが印象的
本当の尼さんのようなある種オーラを発していましたね!
良い三婆を見せていただきました^^
物足りないところがあるものの,
見終わっての満足度は高かったですね。
儚い大正時代の映像を堪能。
学生時代,古典が苦手だったのを思い出して反省。。
百人一首・・・
>見終わっての満足度は高かったですね
仰るとおりだと思います。
>儚い大正時代の映像を堪能
大正ロマンといえば、竹久夢二の世界ですかねぇ(笑)
>古典が苦手だったのを思い出して反省。
百人一首持っていますが、絵札あわせ(坊主めくり)しかやった記憶がありません><
私も、これは気になる作品です。
私は原作を読んでいますが、それに捉われず「別モノ」として楽しもうと思っています。
予告篇をみていても、映像がきれいですしね。
三婆(失礼・・)も楽しみです。
原作を読んだ私の感想としては、
清サマの「悲恋」は、自業自得では?と思ってしまったりする。
(変に駆け引きして、自分に酔ってたからやんーって思っちゃう)
でも人は、失って(失いそうになって)初めて、
その人(物)の大切さ、執着を思い知るのでしょうね。
主役の二人もさることながら、たしかに、大楠、岸田、若尾のトリオは迫力ありましたね(笑)。
二人が札を分け合った崇徳院の歌もさることながら、私は、その前に読まれた壬生忠見の歌にも深い意味がこめられているように思いました。