『やじきた道中 てれすこ』

□作品オフィシャルサイトページ「やじきた道中　てれすこ」
□監督　平山秀幸
□脚本　安倍照雄
□キャスト　中村勘三郎、柄本明、小泉今日子、ラサール石井、間寛平、笑福亭松之助、淡路恵子、松重豊、山本浩司

■鑑賞日　１１月１８日（日）
■劇場　チネチッタ
■cyazの満足度　★★★☆（５★満点、☆は０．５）

＜感想＞

　二人の個性的な役者のやり取りが、そして野次喜多珍道中にふさわしい内容だった。　いかつい二人の男の間にキョンキョンが割ってはいっていて、なかなかいい潤滑油のような味を出していた。

　これは、恐らくちゃんと台本はあるものの芸達者な勘三郎と柄本明の間髪入れずの経験から来るやり取りの妙だろう。　それは二人のアドリブにレフェリーである平山監督が、多少台本からそれていっても、ずっと我慢してアドバンテージを見ていたのだろう。　「カット～」がかかった後の二人の会話と監督のやり取りを聞いてみたい（笑）　しかもキョンキョンは随所でこの二人の笑いの誘惑に負けそうになっていたんだろうなぁ。　本編でもそれは見受けることが出来たし。

　予告にもあった喜多さんの首吊りシーンは、柄本さんが腰痛で入院していて退院した直後にに撮影されたらしい。　流石にきつかっただろうが見事に演技をこなしていたところは役者魂だなぁとつくづく思う。　どこかの舞台挨拶でキレてしまう女優につめの垢でも煎じて飲ませたいくらいだ（笑）　
　節々でなんとなく腰をかばいつつ演技していることがわかって痛々しかったけど、それがまた可笑しもあった。

　平山監督は前作『しゃべれども しゃべれども』でも“笑い”を前面に持ってきていたが、前作は本質的に笑いのセンスがある役者はいなかったが、この勘三郎と柄本明はセンスありだと思う。　勘三郎は歌舞伎の大看板ではあるものの、その彼のキャラクターと語り口は本物の噺家よりも面白いかもしれない。　それが年季の入った柄本明とタッグを組んだわけだから、面白いわけがない。

　結構、関西お笑い系の方々が多く登場していたが、狙いどころがわからないわけでもないが、もっとスパイシーに使ってほしかったなぁ（笑）

　しかも吉川クン、君は何故（笑）　蘭々ちゃんもオヒサな感じ。

　若手の台頭を尻目に、売れっ子花魁（おいらん）だったのお喜乃が足抜けするために、新粉細工職人の弥次さんに、本物そっくりの指を粉で作らせて、お客に「想いの深さを表す切り指」と偽って渡し、金をせしめる件はなんとも滑稽で面白かった。
　あの偽指を観て、先日『自虐の誌』の中で落とした指を阿部チャンがテープでくっつけていたことを思い出した。　そうそう阿部チャン、結婚オメデトウ～

　　・・・“てれすこ”一度食してみたい（笑）