京の昼寝~♪

なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『フィクサー』

2008-04-23 | 洋画


□作品オフィシャルサイト 「フィクサー
□監督・脚本 トニー・ギルロイ
□キャスト ジョージ・クルーニー、トム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントン、
       シドニー・ポラック、マイケル・オキーフ、ケン・ハワード

■鑑賞日 4月19日(土)
■劇場 TOHOシネマズ川崎
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)

<感想>

 この作品お脚本を担当するのが、昨年公開された『
ボーン・アルティメイタム』をはじめ、
 このボーンシリーズ三部作の脚本を手掛けたトニー・ギルロイ。 本作でいよいよ監督デビューとなった。
 素晴らしい脚本化がイコールいい監督であるかどうかはわからないが、ボーンシリーズのハイクォリティな
 脚本センスに期待はおのずと盛り上がる。 そして『
ノーカントリー』がオスカーを受けたものの作品賞には
 ノミネート。 更にこの作品でティルダ・スウィントンが
助演女優賞に輝いている。
 
 フィクサーと言えば、アメリカの法曹界で依頼人のトラブルを裏で処理する「もみ消し屋」を意味する。
 信念をもって正義を追求する男とはやや程遠いし、サイドビジネスで借金を作っているやや
 アウトロー的 要素も持っている。 フィクサー(もみ消し屋)自身が実にかかる火の粉ももみ
 消さなければというそんなジャブが後々効いてくる結果をもたらす。

 裏切りと真実。 内容については過去も同じような映画があったから、特段秀でた評価が
 僕自身できるとは思えなかったが、それぞれの個性は、演じる役者たちが上手く演じていたと思える。

 派手な演出ではなく、地味ながらそれぞれの心理描写を的確に捉えていくところが
 この映画の見所であったことは間違いないところだ。

 そういう意味で、日本映画でもありがちなのだが、落ちるものと生きるもの、真実と嘘、
 それを比喩するようにラストで上り下りの交差するエスカレーター。

 タクシードライバーにどこまでと聞かれ、「50ドル分、とにかく走ってくれ」と返した彼に、
 “男の顔は履歴書”とばかりに様々な思いが交錯するジョージ・クルーニーの顔は今まで観た
 彼の映画の中でも、最高の“男の顔”だったかもしれないし、最もクールフェイスで愛嬌と色気も
 備わったその笑顔を封印して臨んだ作品だったかもしれない。

 そのタクシーの中でクルーニーが見せる表情こそ、事の一部始終と大切な友人を亡くしたことへの
 惜別との複雑な入り組んだ想いを、僅か時間の中で表現し切ったクルーニーは最高だった。
 靴屋職人の演技はまだこれからだけど、この作品を観た限りでは作品賞と言うより、クルーニーに
 主演男優賞をあげたてもいいと思った作品だ。 この映画で彼は本当の職人(役者)になったと評価できる。

 そして今作でアカデミー賞助演女優賞を受賞したティルダ・スウィントンも素晴らしい演技を見せてくれたと
 思うが、それ以上にアーサーを演じるトム・ウィルキンソンが、殺される前にクルーニーとの間でやり取りした
 会話の中に、まさに切れ者弁護士としての迫真の演技を垣間見れたことがとても印象に残った。
 少し古くなるが、1997年の『フル・モンティ』で彼が英国アカデミー賞助演男優賞を受賞していることは
 ご存知だっただろうか。

 余談ですが、このティルダ・スウィントン演じる女弁護士、ジョアン・アレンで観たかったなぁ(笑)


コメント (16)    この記事についてブログを書く
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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
確かに (miyu)
2008-04-23 09:30:41
ジョジクルの抑えた演技は評価に値しますね!
今年は男優さんは強烈なインパクトを与えたで賞
みたいになってますけど、
おっしゃるように職人芸が光ってましたね。
返信する
職人芸~ (cyaz)
2008-04-23 12:41:46
miyuさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>ジョジクルの抑えた演技は評価に値しますね!
なかなか渋いですよね~♪ 男の僕も惚れてしまいました(笑)

>今年は男優さんは強烈なインパクトを与えたで賞
みたいになってますけど、おっしゃるように職人芸が光ってましたね。
靴職人ならずとも光っていましたよ^^
返信する
TBありがとうございました (sakurai)
2008-04-23 21:29:33
役者が光る映画でしたね。
「シリアナ」のときに、眉間に深いしわが寄るような役柄がぴったりと思ったのですが、それに匹敵するようなジョジクルだったと思います。
でも、噂によると、さすがに靴職人さんの演技は、神ががっているとか・・・。
早くみたいもんです。
「フル・モンティ」のときも、光ってましたね。
トムさんには、助演あげてもよかったなあ。
返信する
メリハリ~ (cyaz)
2008-04-23 22:25:27
sakuraiさん、TB&コメントありがとうございますm(__)m

>「シリアナ」のときに、眉間に深いしわが寄るような役柄がぴったりと思ったのですが、それに匹敵するようなジョジクルだったと思います。
カッコいい親父になってきましたね~♪

>でも、噂によると、さすがに靴職人さんの演技は、神ががっているとか・・・。 早くみたいもんです。
らしいですよねぇ。 でもクルーニーもなかなか光っていましたよ^^

>「フル・モンティ」のときも、光ってましたね。
トムさんには、助演あげてもよかったなあ。
もう少し強弱・硬軟のメリハリが強調されれば間違いなかったんですけどね~
返信する
TBありがとうございました。 (マダムよう)
2008-04-24 10:06:43
アカデミー賞でも、ジョージは目立っていましたね。
いよいよ、重鎮の風格さえ感じました。

作品賞も取るのかと思いましたが、「ノーカントリー」に持って行かれてしまいましたね。

私には、この映画渋すぎました。
返信する
重鎮~ (cyaz)
2008-04-24 12:45:29
マダムようさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>アカデミー賞でも、ジョージは目立っていましたね。いよいよ、重鎮の風格さえ感じました。
そうですね~

>作品賞も取るのかと思いましたが、「ノーカントリー」に持って行かれてしまいましたね。
個人的には主演男優賞でも良かったかと^^
まだ靴職人の方のは観てないんですが(汗)
返信する
ども~ (GMN)
2008-04-24 18:38:28
私はどっちかつーと毎度毎度のクルーニーだなって感じちゃいました。ここ最近は社会派作品多いので。

逆にティルダ・スウィントンは天使とか魔女じゃない等身大の姿が結構新鮮で良かったです。
返信する
クルーニーの表現 (たまさん)
2008-04-24 23:48:01
やっぱり、あのタクシーでのクルーニーの表情が
一番印象に残ってます。

まさにおっしゃるとおりですね。

トム・ウィルキンソンも良かったです。
『フル・モンティ』は確か観ていない作品だったと思うので今度見てみます。
返信する
社会派~ (cyaz)
2008-04-25 08:12:46
GMNさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>私はどっちかつーと毎度毎度のクルーニーだなって感じちゃいました。ここ最近は社会派作品多いので。
なるほど、そういう部分もあるかもしれませんね^^

>逆にティルダ・スウィントンは天使とか魔女じゃない等身大の姿が結構新鮮で良かったです。
彼女は確かに上手でしたが、はたして助演女優賞というのはどうかなぁって(汗)
返信する
フル・モンティ~ (cyaz)
2008-04-25 08:14:22
たまさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>やっぱり、あのタクシーでのクルーニーの表情が
一番印象に残ってます。
結構インパクトというか、印象に残りますよね~

>トム・ウィルキンソンも良かったです。『フル・モンティ』は確か観ていない作品だったと思うので今度見てみます。
そうでしたか^^ 彼が出ているかどうかではなく、作品自体楽しんでくださいね!
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