
補完機構シリーズ唯一の長編。
あの短編は、こんなところとつながっていたんだ・・・と思うこと必至の一冊です。
私の場合、まだ短編集「鼠と竜のゲーム」しか読んでいませんので、これを読むのはもったいなかったかなとちょっと思ったりしてます。
ノーストリリアは、「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」の舞台となった、長命薬ストルーンの生産惑星であり、オールド・ノース・オーストラリアをつづめた呼び名なのです。
確かに前身はオーストラリアなのですが、女王陛下の臣民という記述があることからも分かるとおり、英国的な雰囲気がちょっとだけあります。
ノーストリリア特有のユーモア感覚(つまり皮肉)に火をつける、とか。
このストルーンのおかげで、ノーストリリアは大変なお金持ちなんだけど、住民は昔かたぎの農耕生活を続けている、堅実な人々なのです。
ストルーンでどれだけ長命かといえば、ノーストリリアの人々はざっと1000年生きるらしい。
なにやら副作用があるらしいけど、はっきりしたことは書いていないです。
どっかの短編にあるのかな。
1000年も寿命があれば、問題になるのは人口問題。
ノーストリリアでは、16歳になったとき審問を受け、合格すればよし、不合格なら<死の庭>で笑いながら死んでいくという過酷な運命が待っています。
主人公、ロデリック・フレドリック・ロナルド・アーノルド・ウィリアム・マッカーサー・マクバン151世は、テレパシー能力の障害のおかげで4回目の16歳をむかえ、何とか審問をクリアできたと思ったら、幼年時代にいじめた友達、今はノーストリリアの重要人物になっているオンセックに睨まれるという厄介ごとに見舞われます。
22代前の曾祖父が残してくれたコンピューター(こいつもなかなかユニークなやつです)に相談すると、ノーストリリアを一時的に破産させ、地球を買い取りましょうと持ちかけられ、スイート・ウィリアム(羊)を抵当に入れた取引を開始し、地球買取作戦は成功します。
が、その後オンセックに命を狙われたロッド・マクバンは、地球に行くことを決意します。
そのころの地球は、<人類の再発見>の時代で、
「アルファ・ラルファ通り」のすぐ後くらいですね。
下級民という、人間に奉仕するために動物から造られたヒューマノイドがいるんですが、その猫人に身をやつしたロッド・マクバンは、猫人のもてなし嬢、ク・メルと行動をともにします。
地球でのロッド・マクバンは、故郷から出ることで、知りえなかったものを知り、無邪気で実直な気質と勇敢な行動力で、いろいろな経験をします。
まあ、一人の少年が(といっても4×16だから64歳だね)自分が誰であるか発見する物語なんですが、そんな簡単なものではありません。
保護されてきた人類を支えていた下級民は、補完機構と手を組んでいるというよりは、人類を導いているようですし、<人類の再発見>を迎えたばかりの人間より、下級民のほうがよっぽど人間らしいです。
ロッド・マクバンの運命も、ロッド・マクバンの莫大なお金も収まるところに収まって、ああ、よかったとなるわけですが、単純なハッピー・エンドになるわけが無いのが補完機構シリーズです。
それでも、読後は、何故か幸福感に満たされるんだから不思議だなぁ~。
ノーストリリア―人類補完機構
あの短編は、こんなところとつながっていたんだ・・・と思うこと必至の一冊です。
私の場合、まだ短編集「鼠と竜のゲーム」しか読んでいませんので、これを読むのはもったいなかったかなとちょっと思ったりしてます。
ノーストリリアは、「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」の舞台となった、長命薬ストルーンの生産惑星であり、オールド・ノース・オーストラリアをつづめた呼び名なのです。
確かに前身はオーストラリアなのですが、女王陛下の臣民という記述があることからも分かるとおり、英国的な雰囲気がちょっとだけあります。
ノーストリリア特有のユーモア感覚(つまり皮肉)に火をつける、とか。
このストルーンのおかげで、ノーストリリアは大変なお金持ちなんだけど、住民は昔かたぎの農耕生活を続けている、堅実な人々なのです。
ストルーンでどれだけ長命かといえば、ノーストリリアの人々はざっと1000年生きるらしい。
なにやら副作用があるらしいけど、はっきりしたことは書いていないです。
どっかの短編にあるのかな。
1000年も寿命があれば、問題になるのは人口問題。
ノーストリリアでは、16歳になったとき審問を受け、合格すればよし、不合格なら<死の庭>で笑いながら死んでいくという過酷な運命が待っています。
主人公、ロデリック・フレドリック・ロナルド・アーノルド・ウィリアム・マッカーサー・マクバン151世は、テレパシー能力の障害のおかげで4回目の16歳をむかえ、何とか審問をクリアできたと思ったら、幼年時代にいじめた友達、今はノーストリリアの重要人物になっているオンセックに睨まれるという厄介ごとに見舞われます。
22代前の曾祖父が残してくれたコンピューター(こいつもなかなかユニークなやつです)に相談すると、ノーストリリアを一時的に破産させ、地球を買い取りましょうと持ちかけられ、スイート・ウィリアム(羊)を抵当に入れた取引を開始し、地球買取作戦は成功します。
が、その後オンセックに命を狙われたロッド・マクバンは、地球に行くことを決意します。
そのころの地球は、<人類の再発見>の時代で、
「アルファ・ラルファ通り」のすぐ後くらいですね。
下級民という、人間に奉仕するために動物から造られたヒューマノイドがいるんですが、その猫人に身をやつしたロッド・マクバンは、猫人のもてなし嬢、ク・メルと行動をともにします。
地球でのロッド・マクバンは、故郷から出ることで、知りえなかったものを知り、無邪気で実直な気質と勇敢な行動力で、いろいろな経験をします。
まあ、一人の少年が(といっても4×16だから64歳だね)自分が誰であるか発見する物語なんですが、そんな簡単なものではありません。
保護されてきた人類を支えていた下級民は、補完機構と手を組んでいるというよりは、人類を導いているようですし、<人類の再発見>を迎えたばかりの人間より、下級民のほうがよっぽど人間らしいです。
ロッド・マクバンの運命も、ロッド・マクバンの莫大なお金も収まるところに収まって、ああ、よかったとなるわけですが、単純なハッピー・エンドになるわけが無いのが補完機構シリーズです。
それでも、読後は、何故か幸福感に満たされるんだから不思議だなぁ~。
ノーストリリア―人類補完機構
『第81Q戦争』→『鼠と竜のゲーム』
→『シェイヨルという名の星』→『ノーストリリア』
の順で読みました。
『第81Q戦争』を読むと、〈補完機構〉のそもそもの成り立ちが分かります。実は、〈補完機構〉の起源は第二次世界大戦までさかのぼるのでした(笑)。
『シェイヨルという名の星』も結構おすすめです。この短編集には、『ノーストリリア』にも出てくるク・メルが登場する、「帰らぬク・メルのバラッド」という短編がおさめられています。
表題作は、スミス作品のなかでたびたび言及される、〈シェイヨル〉とよばれる恐ろしい監獄惑星を舞台にした作品で、これはなかなかの傑作です。
けれど、個人的に一番好きな本はやっぱり『鼠と竜のゲーム』かなぁ。この短編集はかなりバラエティに富んでいて、〈補完機構〉シリーズの世界観がよく表現されているように思います。
羨ましいなぁ。
なぬ、第二次世界大戦までさかのぼる!
いったいどんななのかしら。
興味は尽きないですねぇ。
ジェイヨルに関しては『鼠と竜のゲーム』にもチラッと出てきましたよね。
あ~、後2冊、ますます読みたくなってきました・・・
『鼠と竜のゲーム』は良いですよね!
この世界のあらゆる面を見せてくれるし、奇妙で、きらびやかで。
東欧的な雰囲気の中にアメリカ的な華やかさが同居している、稀有なSFですよね。
傑作なのはよくわかっていますが
私はどうしてもこの作品の持つ暗く禍々しい側面が好きになれませんでした
このシリーズは、なにか暗く禍々しい。
アメリカ的な明るさがある反面、その奥に毒気が潜んでいる。
そこのところが好きなんですが、こればっかりは好みの問題ですからね~。
もしかして、ハーラン・エリスンもダメだったりしますか?
はい。読んでません。
…てか意外とSF読んでないということに気付きました。
まともに読んだのはレムとストルガツキーとディックくらいか!?
アメリカSFではラリー・ニーブン(「リングワールド」シリーズ)とか、ジャック・ヴァンスとか軽いものの方が好きなんです。
暗かったりややこしいのは上のお三方だけで言いや、って所かな~
読んでいない作家、作品は数知れず。
ちなみにジャック・ヴァンスは未読、ディックは「電気羊は~」しか読んでないです。
「電気羊は~」はもう一回読みたいなぁ。
先日、やっとテッド・チャン「あなたの人生の物語」を手に入れたんですよ。
SF好きと公言しているわりには、最先端から乗り遅れてます。
ダメじゃん、自分。