ブックオフに行くと、たまにお宝を発見する。
先日、文庫本をあさりに行ったとき見つけたのがこの本でした。
(ちなみにレム「宇宙創世記ロボットの旅」も見つけた。こちらはほんとにお宝だ)
しかも105円なんて。絶対に買いです。
フランシス・アイルズといえば、アントニイ・バークリーの別名義で、
犯罪心理をテーマにしている小説を書いている。
有名なのは「殺意」。
私は、フランシス・アイルズ名義は読んだことがなかったが、バークリーの作品、特にロジャー・シェリンガムシリーズは大好きで、大体読んでいる。
プロットがマンネリといわれようが好きなもんは好きなんです。
お勧めは、「最上階の殺人」。
ラブコメ入っててヒジョーに気に入ってます。
と、力説したところで「レディに捧げる殺人物語」。
裕福な家庭マックレイドロー家に生まれ育ってきたリナは28歳。
容姿に自信のないリナは高い教養を身につけているがやはりお嬢様気質だ。
そんな、彼女の前に、ハンサムではあるが没落貴族のジェニーが現れる。
ジェニーは、ボンボンらしく浪費家で、淑女たちの歓心を得るのに熱心だ。
しかも、自分の資産はなく親戚の家を渡り歩いているという、甲斐性のない男である。
ところが、ジョニーはリナに急接近。もちろん、資産目当て。
だが、リナは彼を愛してしまう。
周囲の反対を押し切って結婚するが、そんなジョニーがいい亭主であるわけがない。
しかし、リナは愛想を尽かすどころか、ジョニーを精神的に育てようと躍起になり、
さらに愛を深める。
一方、ジョニーは賭け事はする、女を作る、借金をするでリナを困らせてばかりだ。
悪いことに、ジョニーには罪悪感というものがない。常識的な罪の意識が欠落している。
とうとう我慢ができなくなったリナは家を飛び出すが、2ヶ月足らずで家に舞い戻ってしまう。
ジョニーには自分が必要だし、彼を愛しているのだと再確認したためだ。
ある日、服の整理をしている時、偶然、ジョニーの手帳を見つけてしまう。
そこには、リナの亡くなった父親の病気の詳細と彼のメモが残されていた。
それを見たリナは、ジョニーが間接的ではあるが、父親を殺したことを知る。
再び、家を後にしたリナだが、直ぐに家に舞い戻ってしまう。
あれは、殺人ではないと自分に言い聞かせながら。
ジョニーの殺人計画は最後のものを除いてはかなり消極的なものだし、犯罪より心理に重きを置いてある小説だ。しかも、犯人側の心理もさることながら、そばにいる家族が、犯罪と分かっているのにかかわらず、犯罪と認めたくないといった微妙な感情を上手くあらわしている。
犯罪を犯した人間を責めるより、それを止められなかった自分を責めるのだ。
愛しすぎ症候群という言葉をご存知だろうか。
暴力夫やアル中夫とい問題のある男を愛し、良かれと思ってした行動が、かえって助長することになったり、夫の愚行を世間から隠そうとする女たちの症状だ。
彼女たちは、自分がいなければ彼は生活していけないと思い込む。
興味のある方は「愛しすぎる女たち」という本が出ているので参照のこと。
リナは典型的な症状を見せている。
愛しすぎて、第三者的な視点から2人の関係を見つめることが出来ないのだ。
さらにそれが高じて、最後には悲劇的な結末を迎えてしまう。
ところで、ジョニーがリナを愛していなかったとは言い切れない。
ジョニーには彼女がやはり必要だったのだろう。
この本を読んだとき、リナに感情移入できて、尚且つ、ジョニーを憎めない貴方、
愛しすぎ症候群の素質大です。
そういう私も、素質十分でした。
レディに捧げる殺人物語創元推理文庫 124-2
殺意創元推理文庫 (124‐1)
最上階の殺人Shinjusha mystery
愛しすぎる女たち中公文庫
なんと、「レディ」はコミック化されていたんです。吃驚ですねぇ。
詳細はこちら。
レディに捧げる殺人物語
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先日、文庫本をあさりに行ったとき見つけたのがこの本でした。
(ちなみにレム「宇宙創世記ロボットの旅」も見つけた。こちらはほんとにお宝だ)
しかも105円なんて。絶対に買いです。
フランシス・アイルズといえば、アントニイ・バークリーの別名義で、
犯罪心理をテーマにしている小説を書いている。
有名なのは「殺意」。
私は、フランシス・アイルズ名義は読んだことがなかったが、バークリーの作品、特にロジャー・シェリンガムシリーズは大好きで、大体読んでいる。
プロットがマンネリといわれようが好きなもんは好きなんです。
お勧めは、「最上階の殺人」。
ラブコメ入っててヒジョーに気に入ってます。
と、力説したところで「レディに捧げる殺人物語」。
裕福な家庭マックレイドロー家に生まれ育ってきたリナは28歳。
容姿に自信のないリナは高い教養を身につけているがやはりお嬢様気質だ。
そんな、彼女の前に、ハンサムではあるが没落貴族のジェニーが現れる。
ジェニーは、ボンボンらしく浪費家で、淑女たちの歓心を得るのに熱心だ。
しかも、自分の資産はなく親戚の家を渡り歩いているという、甲斐性のない男である。
ところが、ジョニーはリナに急接近。もちろん、資産目当て。
だが、リナは彼を愛してしまう。
周囲の反対を押し切って結婚するが、そんなジョニーがいい亭主であるわけがない。
しかし、リナは愛想を尽かすどころか、ジョニーを精神的に育てようと躍起になり、
さらに愛を深める。
一方、ジョニーは賭け事はする、女を作る、借金をするでリナを困らせてばかりだ。
悪いことに、ジョニーには罪悪感というものがない。常識的な罪の意識が欠落している。
とうとう我慢ができなくなったリナは家を飛び出すが、2ヶ月足らずで家に舞い戻ってしまう。
ジョニーには自分が必要だし、彼を愛しているのだと再確認したためだ。
ある日、服の整理をしている時、偶然、ジョニーの手帳を見つけてしまう。
そこには、リナの亡くなった父親の病気の詳細と彼のメモが残されていた。
それを見たリナは、ジョニーが間接的ではあるが、父親を殺したことを知る。
再び、家を後にしたリナだが、直ぐに家に舞い戻ってしまう。
あれは、殺人ではないと自分に言い聞かせながら。
ジョニーの殺人計画は最後のものを除いてはかなり消極的なものだし、犯罪より心理に重きを置いてある小説だ。しかも、犯人側の心理もさることながら、そばにいる家族が、犯罪と分かっているのにかかわらず、犯罪と認めたくないといった微妙な感情を上手くあらわしている。
犯罪を犯した人間を責めるより、それを止められなかった自分を責めるのだ。
愛しすぎ症候群という言葉をご存知だろうか。
暴力夫やアル中夫とい問題のある男を愛し、良かれと思ってした行動が、かえって助長することになったり、夫の愚行を世間から隠そうとする女たちの症状だ。
彼女たちは、自分がいなければ彼は生活していけないと思い込む。
興味のある方は「愛しすぎる女たち」という本が出ているので参照のこと。
リナは典型的な症状を見せている。
愛しすぎて、第三者的な視点から2人の関係を見つめることが出来ないのだ。
さらにそれが高じて、最後には悲劇的な結末を迎えてしまう。
ところで、ジョニーがリナを愛していなかったとは言い切れない。
ジョニーには彼女がやはり必要だったのだろう。
この本を読んだとき、リナに感情移入できて、尚且つ、ジョニーを憎めない貴方、
愛しすぎ症候群の素質大です。
そういう私も、素質十分でした。
レディに捧げる殺人物語創元推理文庫 124-2
殺意創元推理文庫 (124‐1)
最上階の殺人Shinjusha mystery
愛しすぎる女たち中公文庫
なんと、「レディ」はコミック化されていたんです。吃驚ですねぇ。
詳細はこちら。
レディに捧げる殺人物語
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ブックオフでお宝を見つけたときは嬉しいです。私はアーサー・C・クラーク『楽園の泉』(文庫)の初版を105円で見つけたときは、宝くじにでも当たった気分でした。
あ、そういえばアシモフの『鋼鉄都市』をこの前ブックオフで買ったのでした。こんど読んでみます。ついでにそのとき、ホーガンの『星を継ぐもの』も買いました。
100円だとつい買ってしまうのです。
もちろんブックオフです。
今回は、キング「呪われた町」をゲット。
しか~し、上巻だけなのであります。
下巻出て来い!
100円だとついつい買ってしまいますよね。
本好きには悲しい性です。
初版本で100円はないでしょ~と思うんですが、買う自分はとてもラッキーな気分です。
現在「ディスクワールド騒動記」を読んでます。
この本は、すっごく読みたくてネットオークションで購入。
ネットオークションも本好きには罠かも
TBさせて頂きました。
私もこの小説読みましたが心理描写が巧みで面白かったです。
くろにゃんこさんの感想も興味深く拝見させて頂きました!
「愛しすぎ症候群」なるほどそういうのがあるのか、と勉強になりますますこの本が味わい深くなります~。
それにしても、くろにゃんこさんはたくさんの本を読んでらっしゃいますね。
今作を読んでフランシス・アイルズ(アントニイ・バークリー)に興味を持ったので作者の他の本の感想もあって読ませて頂きました~。
これから読む本の参考にさせて頂きますね。
それでは、またお邪魔させて下さいね。
よろしくお願いします
バークリー(アイルズ)同好の志がまた一人。
にやり。
いま、私は「ウィッチフォード毒殺事件」を読んでいます。
この1冊で、ロジャーシリーズはほとんど読破したことになります。
アイルズ名義はこの1冊しか読んだことが無いのが現状なのですよ。
もちろん、これから、もっと読んでいくつもりですよ!
こちらこそ、よろしくお願いします
私もTBさせて頂きました。
ブックオ○は、本職の古本屋さんも仕入れに来てるという話です。
ブック○フではないんですが、私は近所のジャ○コの古本祭で、ずっと欲しかったウィリアム・ヒョーツバーグの「堕ちる天使」(映画「エンゼル・ハート」の原作)を50円で手に入れたことがあります。
好きな映画で、何回か見ましたよ。
へぇ、原作があるとは知らなかったなぁ。
ロバート・デニーロ扮する悪魔(?)がゆで卵の殻を細かく割るシーンが印象的で、フラッシュバックの使い方が効果的でしたよね。
ミッキー・ロークもまだ若くて細かった。
50円ですか!
それはすごい。
私も読んでみたいなぁ。
そうか、愛しすぎる症候群か、と納得です。
しかし、リナにはもう腹が立ってしょうがなかったのに、何故かジョニーについては何の気持も抱かなかったという私はどうなんでしょうね。
ブックオフで分冊ものの片方だけゲットって私もありますよ!
というか、つい最近もやっちゃったばかりです。
いつか下巻が出てくるのでは…なんて思ってますけど、意外と出てこないものだったりするんですよねぇ。あう;;
どうしようもないバカですが、なぜか憎めないキャラなんですよね。
それにしても、バークリーの女性心理の的確さには驚かされます。
「レディ」の対極に位置する小説が「被告の女性に関しては」です。
こちらは、主役が青年の男性なんですが、皮肉の利いたラストには、バークリーらしさ、イギリスらしさを感じて、なかなか面白いですよ。