オステオパシーの創始者・スティル博士は、人間の肉体と精神は、切り離せないものだと考えていました。
肉体を離れた精神はなく、身体を離れた心などない、と。
そして身体・肉体を調整する事は、精神・心を整える事なのだと考えていたようです。
精神について
「精神の活動の全ては、神経を通じてもたらされる五感からの情報に依存している。人間の精神、意識は、五感からもたらされる情報を基礎に、次の振る舞いを決めるのである。もし精神が正常であるならば、人体を健康に保つために、秩序ある振る舞いが選択されるであろう。しかし、もしそこに何らかの障害、例えば病気や怪我や神経機能の欠損があったならば、精神の望む通りに体を動かすことはできないだろう。例えば、栄養を供給するシステムは体のある部位への栄養供給をスムーズに行うことができなくなり、その部分の衰弱、さらには体全体の疲弊をもたらすだろう。神経系における障害は、その規模に応じて、必ず健康を損ない、精神と肉体の機能を阻害する。」
「我々は自然の真実と共に在り、共に生きなければならない。この偉大な機械である人体が、その活動を全てとめた時、つまり、私たちが死と呼ぶものが訪れた時、肉体からは全ての運動、そして魂が、失われる。生きている体を動かしていたモーターを見つけることはできないし、それを司っていた精神を見出だすこともできない。そこには体液が循環していた跡だけが残っており、体の各部分の位置関係だけを観察することができる。以前は動いていた機械の構造だけは、全て見て取ることができるのである。人体という機械が正常に運用されるためには、肉体とは別次元の、それを動かすための原理が必要とされる。しかし、動くだけでは、正常な機能は果たせない。さらにもう一つ、機械の運動を司る精神の原理も必要である。精神の原理を踏めることによって、人体という機械は人間としての機能するようになる。これらの全てがそろって初めて、望むべき完璧さが得られるのである。」