「こめかみの白髪が目立って年寄り臭いから染めた方がいいんじゃないか」
「いいのよ、年寄りだから」
心にもない捨て台詞。
気がついたらヘアカラー売り場の前。
明日はよりによってヘアサロンは定休日。火曜日が待っていられなくて自分で染めることにした。
元来白髪にはなりにくい家系で、この年齢にして白髪が殆どないことがちょっとした自慢であった。生え際やこめかみに白髪が増えてきたことは自分ではわかってはいたが、目立って年寄り臭いとは何事か!
主人に言われて一目散にお店に来たものの、さてどんな色に染めたものか。
あれこれ手に取って迷っているとお店の方が「お客様なら明るめのブラウンが…そうこの明るめのマロンとか」
「秋ですもん、マロンですよね」
などと調子に乗って勧められるままに購入。帰って来て即染めにとりかかる。
『このまま20分放置ね…』
そこでハタと我に返る。
なぜ、私はこの夏おしゃれ染めもカットもしないで我慢してきたのか。
染め液を髪全体に施してからそのことを思い出したのだ。
この秋には長い黒髪が必要だったのだ。
そのためにこの夏の猛暑を長い髪で乗り越えたのだ。
慌てて5分で洗い流すも、髪はややマロン。まあ許せる範囲。
それにしても、長い艶やかな黒髪が美人の証しであった万葉の時代、もちろん今のような染め液があるわけでもなし、特に若白髪の女性などは悩ましいことだったろう。
しかし、考えてみれば、便利な染め液がなかった時代には便利な電灯もなかったわけだ。それはうまくできている。
寝乱れの髪に少々白髪が混じっていても見えることはなかったのだ。もちろんシミもシワも。
何しろ陽が沈んでしまえば、灯りと言えばロウソクかお月様だったのだから…。
しかも、当時まだ日本にはロウソクを作る技術は伝わっていなくて全て中国からの輸入品、寺院や貴族など限られた人だけが使える超高級品だったのだ。
こんな時代の話に毎日どっぷり浸かっていると、美化され過ぎた当時の暮らしぶりに疑問やツッコミたいことが山ほど出てくる。
ゴミや排泄物は…
「いいのよ、年寄りだから」
心にもない捨て台詞。
気がついたらヘアカラー売り場の前。
明日はよりによってヘアサロンは定休日。火曜日が待っていられなくて自分で染めることにした。
元来白髪にはなりにくい家系で、この年齢にして白髪が殆どないことがちょっとした自慢であった。生え際やこめかみに白髪が増えてきたことは自分ではわかってはいたが、目立って年寄り臭いとは何事か!
主人に言われて一目散にお店に来たものの、さてどんな色に染めたものか。
あれこれ手に取って迷っているとお店の方が「お客様なら明るめのブラウンが…そうこの明るめのマロンとか」
「秋ですもん、マロンですよね」
などと調子に乗って勧められるままに購入。帰って来て即染めにとりかかる。
『このまま20分放置ね…』
そこでハタと我に返る。
なぜ、私はこの夏おしゃれ染めもカットもしないで我慢してきたのか。
染め液を髪全体に施してからそのことを思い出したのだ。
この秋には長い黒髪が必要だったのだ。
そのためにこの夏の猛暑を長い髪で乗り越えたのだ。
慌てて5分で洗い流すも、髪はややマロン。まあ許せる範囲。
それにしても、長い艶やかな黒髪が美人の証しであった万葉の時代、もちろん今のような染め液があるわけでもなし、特に若白髪の女性などは悩ましいことだったろう。
しかし、考えてみれば、便利な染め液がなかった時代には便利な電灯もなかったわけだ。それはうまくできている。
寝乱れの髪に少々白髪が混じっていても見えることはなかったのだ。もちろんシミもシワも。
何しろ陽が沈んでしまえば、灯りと言えばロウソクかお月様だったのだから…。
しかも、当時まだ日本にはロウソクを作る技術は伝わっていなくて全て中国からの輸入品、寺院や貴族など限られた人だけが使える超高級品だったのだ。
こんな時代の話に毎日どっぷり浸かっていると、美化され過ぎた当時の暮らしぶりに疑問やツッコミたいことが山ほど出てくる。
ゴミや排泄物は…