以前にお話した印象に残っているカラスでブトの事をお話したいと思う。このブトは前回のボソとは違い人為的な行為によるものである。
このブトの縄張りは比較的人の出入りがある場所で威嚇行動も頻繁に行われていた。中には「殺してしまえ!!」というエゴイストも少なくない。それは現在でも変わらない。しかしあまりにも残酷な行為が行われていた。
このブトは平均すると4羽の雛を巣立たせていた。自然トラブルはほとんどなく、人が構わなければもっと順調に子育てが遂行されたのでは?と感じている。
数年前になるが、一度猫にでも襲われたのか体から出血しぐったりして歩く事も出来ない状態で噴水の横にいた。その小さな体には既にハエがたくさん止まっていた。健康なカラスなら考えられない状態である。噴水がある場所なので当然人も多く親は威嚇が激しくなっていた。雛は親が側に来ると顔を上げて反応していたが、後は地面にべったりと張り付いた状態でほとんど動く気配がなかった。
しかし残りの3羽の雛に給餌をしてその後どうするのかと見ていたら、弱っている雛にもちゃんと給餌をして水を飲ませていた。雛も何とか食べる事は出来るようだった。給餌を済ませたら嘴でやさしく首の辺りをさすっていた。まるで労わるかのように・・・・・。その後もすぐ側の木の枝から見張っていた。親は瀕死の雛を見捨てる事なく面倒を見たのである。
しばらくすると来園者もカラスの状態に気が付いたのか噴水から離れるようになり威嚇はなくなった。いつもそうなのだが、こういう状況になると「可愛そう!病院に連れて行かないの?」という人が増加するのである。私は「この雛は助からない」と感じていた。しかし一度たりとも「私が連れて行く!!」と言った人がいないのは何故だろう?私の気のせいだろうか?この日、私は用事がありこのまま見ている事が出来なかった。様子を気にしながらその場を後にした。
翌朝雛がどうなっているのか木になり噴水へ向かうとそこには雛の姿はなく親は残りの雛と共に枝に止まっていた。雛の行方が気になったので公園の作業員一人に聞いてみた。「夕方噴水の所でそのまま死んでいたよ」と言われた。亡き骸は埋葬されてようである。親は雛の死を認識したのだろう。今までと変わらない生活をしていた。
その翌年がこのブトは3羽の雛を巣立たせた。1羽少し身体つきが小さく思えたが支障を来たす程でもなかった。威嚇は相変わらずだった。しかし悲惨な出来事が一瞬にして起こってしまった。いつもより数段激しい威嚇鳴きが聞こえたので急いで声のする方向へ向かうとそこには木の棒で雛を殴り続けている老人の姿があった。親は老人の足元を攻撃するが何の効果も得られない。私はあまりにも残酷な行為だと思いすぐに止めに入った。老人は私の姿を見るとその場を去った。しかし時既に遅く雛は地面にへばり付きぐったりして口を半開きにしていた。その目は虚ろで今にも閉じてしまいそうだった。
親の興奮度は頂点に達していたようですぐにケリを入れてこようと接近して来た。一旦その場を離れたて見ていた。親は雛の翼を引っ張り生きている事を確認しているようだった。しかしその状況を見ていた中年女性が親に石を投げ付けたのである。その女性は「雛ガラスを大人がいじめている」と思ったようである。無理もないかも知れない。確かにそう見える。事情を説明したら納得してくれたのだが。
しかし雛がぐったりしている場所は園路の真ん中であり人が歩くのは当然である。親の興奮もなかなか治まらず威嚇は激しさを増していた。このままにしておくのは帰って危険だと思い数人に手伝ってもらい雛を人の入らない場所へ移動させた。その時も親の威嚇は凄かったが、雛を移動させるとすぐさま降りて来て雛の様子を見て安心したのか残りの雛の元へと飛び去って行った。あとは刺激してはいけないと思いそうっとしておいた。雛の様子も気になったが面倒は親がちゃんと見るので安心である。時折雛の所へ降りていく親の姿が目に入った。
翌日雛の様子がどうなったかと思い見てみたら昨日置いた状態のまま冷たくなっていた。親はもう威嚇にはやって来ない。雛の死を認識したのだろう。実に可愛そうな事になってしまった。いつも兄弟と戯れ、喧嘩してと日々成長していた。このような人為的な行為がなければ秋には独り立ちが出来ていたかと思うと残念で仕方がない。老人には罪悪感は全くないようで過去にも同じ事をやっていたと誇らしげに話して来た。情けない思いが込み上げたが、このような人に何を言っても頑固一徹・理解不能で言うだけ時間と労力の無駄である。この手の伝統的とも言える頑固さを打ち破る術は現在のところ確立されていないのである。
画像:ハシブトガラス雛(昼寝)
このブトの縄張りは比較的人の出入りがある場所で威嚇行動も頻繁に行われていた。中には「殺してしまえ!!」というエゴイストも少なくない。それは現在でも変わらない。しかしあまりにも残酷な行為が行われていた。
このブトは平均すると4羽の雛を巣立たせていた。自然トラブルはほとんどなく、人が構わなければもっと順調に子育てが遂行されたのでは?と感じている。
数年前になるが、一度猫にでも襲われたのか体から出血しぐったりして歩く事も出来ない状態で噴水の横にいた。その小さな体には既にハエがたくさん止まっていた。健康なカラスなら考えられない状態である。噴水がある場所なので当然人も多く親は威嚇が激しくなっていた。雛は親が側に来ると顔を上げて反応していたが、後は地面にべったりと張り付いた状態でほとんど動く気配がなかった。
しかし残りの3羽の雛に給餌をしてその後どうするのかと見ていたら、弱っている雛にもちゃんと給餌をして水を飲ませていた。雛も何とか食べる事は出来るようだった。給餌を済ませたら嘴でやさしく首の辺りをさすっていた。まるで労わるかのように・・・・・。その後もすぐ側の木の枝から見張っていた。親は瀕死の雛を見捨てる事なく面倒を見たのである。
しばらくすると来園者もカラスの状態に気が付いたのか噴水から離れるようになり威嚇はなくなった。いつもそうなのだが、こういう状況になると「可愛そう!病院に連れて行かないの?」という人が増加するのである。私は「この雛は助からない」と感じていた。しかし一度たりとも「私が連れて行く!!」と言った人がいないのは何故だろう?私の気のせいだろうか?この日、私は用事がありこのまま見ている事が出来なかった。様子を気にしながらその場を後にした。
翌朝雛がどうなっているのか木になり噴水へ向かうとそこには雛の姿はなく親は残りの雛と共に枝に止まっていた。雛の行方が気になったので公園の作業員一人に聞いてみた。「夕方噴水の所でそのまま死んでいたよ」と言われた。亡き骸は埋葬されてようである。親は雛の死を認識したのだろう。今までと変わらない生活をしていた。
その翌年がこのブトは3羽の雛を巣立たせた。1羽少し身体つきが小さく思えたが支障を来たす程でもなかった。威嚇は相変わらずだった。しかし悲惨な出来事が一瞬にして起こってしまった。いつもより数段激しい威嚇鳴きが聞こえたので急いで声のする方向へ向かうとそこには木の棒で雛を殴り続けている老人の姿があった。親は老人の足元を攻撃するが何の効果も得られない。私はあまりにも残酷な行為だと思いすぐに止めに入った。老人は私の姿を見るとその場を去った。しかし時既に遅く雛は地面にへばり付きぐったりして口を半開きにしていた。その目は虚ろで今にも閉じてしまいそうだった。
親の興奮度は頂点に達していたようですぐにケリを入れてこようと接近して来た。一旦その場を離れたて見ていた。親は雛の翼を引っ張り生きている事を確認しているようだった。しかしその状況を見ていた中年女性が親に石を投げ付けたのである。その女性は「雛ガラスを大人がいじめている」と思ったようである。無理もないかも知れない。確かにそう見える。事情を説明したら納得してくれたのだが。
しかし雛がぐったりしている場所は園路の真ん中であり人が歩くのは当然である。親の興奮もなかなか治まらず威嚇は激しさを増していた。このままにしておくのは帰って危険だと思い数人に手伝ってもらい雛を人の入らない場所へ移動させた。その時も親の威嚇は凄かったが、雛を移動させるとすぐさま降りて来て雛の様子を見て安心したのか残りの雛の元へと飛び去って行った。あとは刺激してはいけないと思いそうっとしておいた。雛の様子も気になったが面倒は親がちゃんと見るので安心である。時折雛の所へ降りていく親の姿が目に入った。
翌日雛の様子がどうなったかと思い見てみたら昨日置いた状態のまま冷たくなっていた。親はもう威嚇にはやって来ない。雛の死を認識したのだろう。実に可愛そうな事になってしまった。いつも兄弟と戯れ、喧嘩してと日々成長していた。このような人為的な行為がなければ秋には独り立ちが出来ていたかと思うと残念で仕方がない。老人には罪悪感は全くないようで過去にも同じ事をやっていたと誇らしげに話して来た。情けない思いが込み上げたが、このような人に何を言っても頑固一徹・理解不能で言うだけ時間と労力の無駄である。この手の伝統的とも言える頑固さを打ち破る術は現在のところ確立されていないのである。
画像:ハシブトガラス雛(昼寝)
このカラスはブログには書いていませんが、雛を麻袋に入れられて放置死させられた事もあります。案の定このブトの攻撃は激しかったのですが、ここ数年巣落としを行っていないので徐々に大人しくなりつつあります。
いつも思うのですが「人を攻撃するから巣を落とす」「巣を落とされるから攻撃する」この悪循環が事態を悪化させているのでしょうね。相手は野生の生き物です。人間側である程度譲歩するしか方法はないのですが、相手がカラスだとそれは許せない事なのでしょうね。