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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

励磁電流の話(トランス)

2010-09-17 10:36:47 | 電子回路
ここ数日、暇つぶしと勉強のためにスイッチング電源の設計を試みておったのですが、図のように全体の構想をしたものの、最後に残ったのは回路図の上方にあるトランス(3:1)を如何にして手に入れるかということでした。
(制御回路は真に受けないでください。まだ動作の検証ができていません。)

リング状のフェライトコアに1次巻線と2次巻線を巻いて作ろうと思いましたが、巻線比は3:1と決めているものの、30巻:10巻、300巻:100巻、3000巻:1000巻、と比率だけではどれも成り立ってしまいます。しかし実際はこのどれでもよいわけではなく、1次巻線のターン数は一意的に決まらなければならないのは言うまでもありません。

ポイントはトランスの「励磁電流」です。励磁電流は1次巻線と2次巻線を磁気結合するために、1次側に必ず流れなければならない電流であり、2次側が開放(無負荷)の状態で1次側に流れる電流のこととも言えます。

■そして一般に、励磁電流の大きさは、トランスの電流容量の1/100程度と言われています。これが答えです。

励磁電流を決めるトランスのインピーダンスは、1次巻線の自己インダクタンスのみです。自己インダクタンスは1次巻線、あるいは2次巻線それぞれのインダクタンスです。

例えば、フェライトコアに1次巻線のみ巻いたとします。これは単なるコアを有したひとつのコイル(インダクタ)ですね。このコイルのインダクタンス(H)は巻き線のターン数やコアの透磁率、コアの断面積等で決まります。これが1次巻線の自己インダクタンスです。この状態で同じコアに2次巻線を巻いたとしても、1次側の自己インダクタンスは変化しません。同じ理由で2次巻線にも自己インダクタンスが存在します。

となれば、懸案のスイッチング電源用トランスの1次巻線のターン数が求められそうです。前図のスイッチング電源の2次巻線からは最大2Aを取出す予定ですから、励磁電流はその1/100の20mA以下にすればよいわけです。ここでは10mAとしましょう。

V / ωL=10m(A) L:1次巻線のインダクタンス

このスイッチング電源は最大電圧:140V、240kHzの矩形波を1次巻線に入力しますので、

140(V)/(2π・240k・L)=10m(A)

この式からLを計算すると、L=9.28mHとなります。
よって1次巻線の自己インダクタンスが9.28mHになるターン数だけ、線を巻けばよいということになります。

【参考】
L:自己インダクタンス
M:相互インダクタンス
e1:1次側に発生する起電力
e2:2次側に発生する起電力
とすると

e1=L1・d(I1)/dt+M・d(I2)/dt
e2=L2・d(I2)/dt+M・d(I1)/dt

M×M=N1φ1 /I1 × N2φ2 /I2 (φ:磁界[磁力] φ=NI L=N2)
M2=L1×L2 M=√(L1×L2)

関連記事:
トランス(変圧器)の原理① 2009-10-21
M62213Pのサンプル回路(フライバック型) 2010-08-29
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電子機器組立て 2級 回路解説(アナログ)

2010-09-10 16:35:04 | 電子回路
この回路は焦電型赤外線センサ(P7178)を対人センサとして使い、センサの周囲に人気がなくなれば一定時間後にリレーをOFFするためのタイマー回路(後段のディジタル回路)にトリガ信号を出力する回路です。(人を検出したときにトリガを出力)

では各部の動作点(DCレベル)から見ていきましょう。まずセンサは何も検出していないものとして考えます。センサ出力はDC1V、初段のオペアンプの直流ゲインは×1ですから出力電圧(pin1)はセンサ出力と同じく1Vです。2段目のオペアンプとの結合はC5(47μ)でカップリングされているので、初段の出力は2段目に影響を与えません。

2段目のプラス入力端の電圧はR8とR16との分圧値の1.1Vです。2段目の直流ゲインも×1ですから、出力(pin7)とマイナス入力端(pin5)も1.1Vです。

終段はしきい値の異なる2つのコンパレータ回路です。2段目の出力とこの終段もC7(47μ)でカップリングされているので、2段目の出力は終段に影響を与えません。

上のコンパレータのプラス入力端は2.5V、マイナス入力端は3.75Vですから出力はLoです。下のコンパレータのプラス入力端は1.25V、マイナス入力端は2.5Vですから、これも出力はLoです。この両者の出力をNOR回路(74HC02)が受けて、NOR回路の出力が[SIG]であり、ディジタル回路へのトリガとなります。いまの場合は入力が共にLoですから[SIG]はHiです。[SIG]がLoになるとディジタル回路の入力はトリガされます。

C7のプラス側の電圧は2.5V、マイナス側の電圧は1.1Vですから、C7にはある程度の電荷がたまります。D8は回路電源を落としたときに、この電荷を放電するためのものでしょう。

以上が、センサ無感知状態における各部の動作点です。コンパレータ回路に着目すると、センサが対象を検出することにより、上のコンパレータのプラス入力端が3.75Vを超えるか、または下のコンパレータのマイナス入力端が1.25Vを下回れば[SIG]はLoとなり、ディジタル回路の入力がトリガされます。実際にはR18とC11によって時定数(10mSec)を持たせていますが、これはコンパレータにヒステリシス(シュミットトリガ)を設けていないため、チャタリング防止を目的としてのことでしょう。

続いて交流的な動作を見ていきましょう。初段のオペアンプはバンドパスフィルタを構成しており、通過帯域は0.06~8Hzで、この帯域のゲインは1+R2/R1=40倍です。2段目に1.1Vのオフセットを設けてあるのは、センサは動作点の1Vをニュートラルとして交流信号を出力するので、センサの動作点以下の信号を受けるためです。また2段目も80Hz以上をカットするハイパスフィルタを構成しており、通過帯域のゲインは-R5/R4=39倍です。よって0.06~8Hzの帯域のトータルゲインは1560倍となります。センサの最大出力電圧が10mVとすると、計算値として15.6Vに増幅されます。なお、フィルタの次数はすべて1次です。

ということで、アナログ部の説明はおおむね以上です。
Good Luck!

関連記事:電子機器組立2級 回路解説(ディジタル)2010-09-09
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電子機器組立て 2級 回路解説(ディジタル)

2010-09-09 20:11:30 | 電子回路
この回路は、入力端子である[SIG]に信号パルス(アクティブLo)が入力されることにより、あらかじめ設定した数値がプリセットされ、その値からダウンカウントを始めます。ダウンカウントにより数値がゼロに達したら動作を停止してスタンバイ状態になります。また、数値がゼロに達するまでに次の信号パルスが[SIG]に入力されると、再び同じ設定値がプリセットされダウンカウントを継続します。リレーの接点出力は、ダウンカウント中はONスイッチングしており、カウント値がゼロになるとOFFスイッチングします。
([SIG]端子は抵抗でプルアップされているものとします)

では具体的に回路動作を確認していきましょう。
スタンダードC-MOSの4538はタイマー回路を2個持っており、外付け部品によって1つをワンショットマルチ(単安定マルチバイブレータ)、もう1つを無安定マルチとして動作させています。

回路全体の動作タイミングは、この2つのタイマー回路によって決まります。具体的には、ワンショットマルチと無安定マルチの出力が共にHiになった時点で、非同期カウンタの4024がリセットされ、アップダウンカウンタの74HC190が4bitの設定値(S2)をロード(プリセット)します。そして、無安定マルチの次のパルス(Hi)によってダウンカウントが開始されます。

少し詳しく見てみましょう。信号入力端子[SIG]がトリガ(Loパルス入力)されると、ワンショットマルチは図に示しているような3.5secのHiパルスを出力します。一方、無安定マルチは、これも図のように、0.45secの周期でHiパルス(1.16sec)を常時出力しています。ということは、3.5secのワンパルスの間に7回、ワンショットマルチと無安定マルチの出力が共にHiになるということです。このタイミングは1回だけでシステムリセットがかかりますから、残りの6回は予備と考えればいいでしょう。

さて、ワンショットマルチの出力は74HC74(1/2)のD端子に、無安定マルチの出力は同じく74HC74(1/2)のCK端子に入力されています。74HC74はCKがトリガされるとDに入力されている論理値(Hi or Lo)をQに出力しその値を保持します。(論理値を保持するデバイスをフリップ・フロップといいます)。Q-はQの逆論理値を出力します。いまQはHiになっています。行き先を追ってみましょう。74HC02の5pinに入っています。ここで74HC02はNOR回路が2個直列になっていますが、これは1つのOR回路と見なせます。とすると、非同期カウンタの4024がリセットされることがわかりますね。

次にQ-(Lo)の行き先を追ってみましょう。アップダウンカウンタ74HC190のLD端子に入っているのでスイッチS2で設定したディジタル値がロードされます。また74HC74(2/2)のCLR端子にも入っているので、74HC74(2/2)はリセットされてQ=Lo、Q-=Hiとなります。出力Q-は3.3kΩの抵抗を経てトランジスタ(TR1)のベースに入っており、Q-の値はHiですからトランジスタはスイッチングし、コレクタ電流によってリレーがONしLED3が点灯します。これでダウンカウント開始の準備が整いました。

無安定マルチは常時パルスを出力しているので、ワンショットマルチの出力期間(3.5sec)後も74HC74(1/2)のCKをトリガします。ワンショットパルス終了後はD端子がLoになるので、ここでCKがトリガされるとQとQ-の論理値が入れ替わりQ=Loになります。すると非同期カウンタ4024のリセットが解かれ、無安定マルチバイブレータのQ-出力が4024のCLK端子に入力されているので、4024はアップカウントを開始します。また、74HC74(2/2)のCLR端子はHiに切換りますが、CLRはLo入力によってリセットするという意味ですから、Hiの場合はQとQ-の論理値は保たれリレーはON状態を継続します。

さて4024はCLKに入力されたパルスを数えて(カウントして)Q1を最小桁(LSB)、Q7を最大桁(MSB)とする7桁(7bit)の2進数として出力します。これを各出力bitに注目して具体的に考えてみましょう。初期状態のQ1~Q7の出力はすべてLoです。CLKに1つ目のパルスが入力されるとQ1がHiになります。2つ目のパルスが入力されるとQ1はLoになり、このときQ2がHiになります。3つ目のパルスでQ1はまたHiになり、4つ目のパルスでLoになって、このときQ2がLoになりQ3がHiになります。カウンタICはこのようにして、入力されるパルスの数を数えていくデバイスです。

さて動作が見えてきましたか?つまりQ1~Q7のそれぞれのパルス周波数は、必ず1つ下位の桁の1/2になるということです。無安定マルチの出力周波数は約2Hz(周期:0.45sec)ですから、Q1の周波数は1Hz、Q2の周波数は0.5Hzです。周期として見れば、2倍、4倍、8倍と長くなっていき、Q7では約1分(Q1を1秒とすると64秒)になります。

この図では、4024のQ1、つまり1Hzのパルスを(NOR回路を経て)アップダウンカウンタ74HC190のCKに入力しています。アップもしくはダウンカウントの選択はU/D端子の論理値で決まり、Hiならばダウン、Loならばアップカウントになります(回路図参照)。また、最初のリセット時に74HC190は設定値を読込んでいるので、その値からのダウンカウントになります。プリセットされた設定値やカウント中の値はQA~QDの4bitに出力されます。そしてダウンカウントが進みこの4bitすべてがLo(2進数にてゼロ)になればMAX端子がHiを出力し、これがカウント終了の合図になります。

74HC190のMAX端子がHiになると74HC74(2/2)のCKをトリガし、D端子がHiなのでQがHiになりQ-がLoになります。つまりカウント終了によってQとQ-の論理値が入替わり、これによってトランジスタ(TR1)がOFFスイッチングし、リレーがOFFしLED3が消灯します。以上が回路動作の一連の流れです。

(補足)
7セグメントデコーダ4511は74HC190の4bitバイナリ(2進数)データを入力し、7セグメントのLEDで10進数として読めるようにデコードするデバイスです。

さて、74HC190がロードする設定値を4bitの最大値である1111にして、本回路を動作させるとどのような動作を示すでしょう?[SIG]がトリガされると7セグメントLEDは「F」(10進数の15)を表示し、リレーがONします。数値表示は、その後1秒間隔でE、D、C、B、A、9、8、7・・・と減少し、トリガから16秒後にゼロを表示しリレーがOFFします。この最大ダウンカウント時間:16秒をもっと長くするにはどうすればよいでしょうか?

そもそも、いまの試みでカウント時間が16秒になったのは、非同期カウンタ4024のQ1を74HC190のCKに入力していたからです。もしQ2をCKに入力すれば2秒間隔で7セグメントの数値が切替り、ダウンカウント終了までの時間は32秒になります。同様にQ4を入力すれば64秒になり、Q7の出力を使えばダウンカウント時間は1024秒、17分になるということですね。

関連記事:
電子機器組立2級 回路解説(アナログ) 2010-09-10
74HC74の応用(カウンタ) 2010-04-07
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ハートレー発振回路(実際)

2010-09-06 10:05:48 | 電子回路
発振回路①がトランジスタを使用したもっともシンプルな回路です。発振回路②は初期の蛍光灯インバータ回路などによく用いられていました。発振周波数はω0=1/√LC、f0=1/(2π√LC)です。

ウィーンブリッジ発振回路も同様ですが、実際の発振回路では安定した発振を継続するために、アンプゲインを×1に保つように自動調整する回路が必ず付加されています。本回路図では、1S2076Aと0.1μによる整流・平滑回路が常時振幅を監視し、トランジスタのバイアス電流を調整して一定のゲインを保っています。ウィーンブリッジ発振回路ではFETを可変抵抗として使いAGC(オートゲインコントロール)回路を構成しています。

発振周波数を決めるLCの値が温度ドリフトなどでわずかに変化すると、周波数が少しずれますが、アンプゲインは厳密に×1を保たなければ発振が停止してしまいます。多少の周波数のずれは許容できても、発振回路が発振しなければお話になりませんね。

関連記事:
ハートレー発振回路(原理) 2007-09-16
ウィーンブリッジ発振回路 2010-09-02
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ウィーンブリッジ発振回路

2010-09-02 11:03:12 | 電子回路
ウィーンブリッジ発振回路はオペアンプを用いた代表的なCR発振回路で、動作メカニズムの分かりやすい発振回路の一つです。点線より上が発振回路本体で、理屈上はFETも1kΩの固定抵抗でよいのですが、安定して発振を継続させるためには、点線の下の振幅安定化回路が必ず必要になります。これはすべての方式の発振回路について言えることです。

発振回路のアンプ出力はCRのバンドパスフィルタを通過してプラス入力端に入っています。バンドパスフィルタを構成するCRの値が各々同じであれば、ハイパスとローパスのf0が一致し、f0の振幅比は各々-3dB=1/√3ですから、バンドパスフィルタのf0での振幅比は(1/√3)×(1/√3)=1/3となります。またf0での位相はハイパスで45度進み、ローパスで45度遅れますから、バンドパスフィルタのf0での位相差は0(ゼロ)です。

ということはアンプ(非反転増幅器)ゲインを×3にすれば、ループゲインが×1、かつ入出力の位相差がゼロという発振条件が成り立ちf0の周波数で発振します。つまり、22kΩのフィードバック抵抗に対して10kΩと2SK30AのDS間抵抗の直列抵抗値が11kΩになればよいということです。

上記のように、理屈上は11kΩの固定抵抗でよいのですが、実際には温度上昇に伴う抵抗値の変化などでアンプゲインがドリフトし、出力は発散したり減衰したりして、安定した発振を継続することができません。

それで、FETのDS間抵抗を可変抵抗のように使用し、点線より下の回路で発振振幅を検出して、ループゲインが必ず×1になるように自動制御しているのです。具体的には発振出力をダイオード(1S2076A)で整流し、その積分値を2SK30Aのゲート電圧にしています。
(下のオペアンプは完全積分回路)
[2SK30Aについてはこちらを参照してください]

680kΩは振幅調整用抵抗です。この抵抗を小さくすれば、分流電流が増加する分、積分器に入力される電流が減少し、アンプゲインを×3に保つためには、大きな発振振幅が必要になります。つまり、この分流用抵抗を可変抵抗器にすれば、発振振幅を調整できることになりますね。

関連記事:ハートレー発振回路(原理) 2007-09-16
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M62213Pのサンプル回路(フライバック型)

2010-08-29 19:32:43 | 電子回路
図はPWMコントローラM62213(ルネサス)のサンプル回路として「トランジスタ技術Special 」に掲載された、フライバック型スイッチング電源の回路に少し手を加えたものです。定数の一部を変更し、M52213の内部動作が分かりやすいように描きなおしてみました。

データシートに記述されているM62213の特徴をいくつか記します。

◇高速のPWMコントロールICとして開発された。(700kHz max MOS-FET対応)
◇出力電流Io(peek):±1A トーテムポール出力
◇OVP兼用のタイマ式ラッチ回路(CLMの電流制限時間を計測し動作停止、状態保持)
◇ソフトスタート回路内臓(DTC兼用)
◇フィードバック用オペアンプ内臓(フォトカプラドライブ可能)


では、本フライバック型スイッチング電源回路の動作を簡単に説明します。
2次巻線と3次巻き線が共にフライバック出力で、2次巻線を電源出力、3次巻線をM62213の電源供給と、2次巻線の出力電圧の安定化に使用しています。

電源出力である2次巻線の端子「OUT」「GND」間に負荷をつないで電流を取出すと、出力電圧は低下しようとします。すると3次巻線の電圧も低下しようとしますが、この電圧を一定に保つためにM62213がMOS-FETのスイッチングをPWM制御する(この場合はパルス幅を広げる)ので、3次巻線の電圧は低下することなく一定に保たれます。ひいては電源出力である2次巻線の電圧も一定に保たれることになります。

pin12(EA)の電圧は、内臓のオペアンプ出力が62kΩによってフィードバックされることにより2.5Vに保たれ、この2.5Vが3.6kΩと1kΩの分圧電圧ですから、3次巻線の出力は9Vに安定化されます。この安定化された9VをM62213の駆動電圧としています。

pin4(CLM):過電流制限回路(カレントリミッタ)を構成します。MOS-FETのソース電流を0.15Ωにて電圧変換し、過電流を検出するとPWMのパルス幅を短くします。(パルス-バイ-パルス)

pin10(CT):CLMが動作すると定電流を出力して外部のコンデンサを充電し、端子電圧が4Vを超えるとスイッチングを停止して、その状態をラッチ(保持)します。
(出力過電圧を検出し遮断するOVP機能兼用)

フライバック型スイッチング電源の動作原理についてはこちらを参照してください。

関連記事:PWMコントローラTL494を使ってみよう 2010-04-04
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ステップダウンチョッパとフォワード型SW電源

2010-08-25 21:02:08 | 電子回路
本稿の副題は主題に対して「ステップアップチョッパとフライバック型SW電源」となります。つまり動作メカニズムにおいて、ステップダウンチョッパとフォワード型、およびステップアップチョッパとフライバック型は同じものということです。

図に基づいて説明します。ステップダウンチョッパとフォワード型は点線内において等価と言えます。異なるのは、トランスによって1次側と2次側を絶縁しているかどうかということです。ステップアップチョッパとフライバック型も同様です。

ステップダウンチョッパとフォワード型は、スイッチングトランジスタがONのときにチョークコイル(L)を経て電流を流し出力コンデンサ(OC)をチャージし、チョークコイルに磁気エネルギーを蓄えます。トランジスタがOFFすると、チョークコイルに蓄えられている磁気エネルギーによって、フライホイールダイオード(FD)を通って電流が流れ続け、継続してOCをチャージします。

この両者共に動作の理屈上(フォワード型は1次と2次の巻線比が1:1以下の場合)、入力電源(DCV)よりも高い電圧を出力することはできない電源です。

ステップアップチョッパとフライバック型は、スイッチングトランジスタがONのときに、それぞれチョークコイルとトランスに電流を流して磁気エネルギーを蓄え、この時は出力コンデンサ(OC)をチャージしません。(トランジスタONのときに出力ラインに電流が流れないのは、図から明らかですね)
トランジスタがOFFすると、チョークコイルあるいはトランスに蓄えた磁気エネルギーによって出力ラインに電流が流れ、出力コンデンサ(OC)をチャージします。

この両者共に動作の理屈上、入力電源(DCV)よりも高い電圧を出力できる電源です。

出力電圧を安定化させるためのフィードバック電圧は、ステップダウンチョッパ、ステップアップチョッパの場合はPWMコントロールデバイス(TL494、M62213等)に直結することができますが、フォワード型、フライバック型の場合は、1次側と2次側の絶縁を保つために、フォトカプラ等で絶縁してフィードバックしなければなりません。

【ポイント】
さて、ここで1点注意が必要です。フライバック型の説明では、さりげなく「トランスに磁気エネルギーを蓄え」とお話しましたが、フライバック型に使用されるトランスは、フォワード型で使用しているトランスの2次側の極性を、ただ逆にしただけのものではありません。

そもそもトランスは変換器ですから、エネルギーを蓄えることなく、1次側と同量のエネルギーを2次側に伝達するのが役目です。もしトランス自身がエネルギーを蓄えると、その分が2次側への伝達ロスになります。よってフォワード型で磁気エネルギーを蓄えるのは、あくまでもチョークコイル(L)です。

というわけでフライバック型の場合、フライバックトランス(結合インダクタ)と呼ばれる専用のものが使われます。これはコアの磁気回路に隙間を開けて(コアの1部を切断してギャップを作る)透磁率を下げ、BH積が大きくなるようにして、磁気エネルギーを積極的に蓄える構造になっています。

関連記事:
555を使ったPWMステップアップチョッパ 2010-08-16
M62213Pのサンプル回路(フライバック型) 2010-08-29
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ファンクションジェネレータ XR-2206を使ってみよう

2010-08-20 22:14:11 | 電子回路
小さな16pinのDIP型IC、共立電子で1個500円。
これにいくつかの外付け部品を加えるだけで、サイン波、矩形波、三角波、ランプ波が出力できるというので、なんと便利なものがあるものかと思い、1個買ってとりあえず作ってみました。

入手できるデータシートは英文ですが、いくつかのサンプル回路を見ながら、このデバイスの全ての機能が使えるように試みました。定数はほとんどサンプル回路のままで、その他はかなり適当です。図の回路で、ともかくも無事動いてくれて諸機能を確認することができました。スウィープ機能も備えた、0.1~100kHzのファンクションジェネレータです。

Cに使用するコンデンサの最小容量値を1000pFにすれば、1MHzまで出力させることができますが、どこかの定数が良くないのか、数100kHzを超える辺りで急に歪みが増えるので、オーディオ用と割り切って100kHzまでとしました。

以下に、動作の概要を説明します。
まず、2本の5.1kΩによって電源電圧を分圧し、3pinにオフセットを与えています。電源は15Vですから、各出力波形は7.5Vを中心にスイングします。ボリュームなどを使って分圧比を可変にすれば、オフセット電圧を調整することができます。
25kΩの半固定抵抗によって波形の歪みを最小に調整します。

3pinに直列に入れている50kΩのボリュームによって振幅調整ができます。
7pinに1kΩと直列に入れている1Megのボリュームによって周波数調整ができます。

(SW2オフにて)
2pinがサイン波と三角波の出力で、SW1オンにてサイン波、オフにて三角波となります。
11pinはデューティー比50%の矩形波を出力します。
(SW1オフにて)
SW2をオンすると三角波出力がランプ波に変わります。このとき、11pinの矩形波のデューティー比が変化しています。

「SWP」「GND」間に直流電圧を入力し、DCスイープさせれば出力周波数がスイープします。プラス入力にてSweepDown、マイナス入力にてSweepUpです。
下のBuffer回路は、オフセットキャンセルと極性切り替えをするために追加したものです。オペアンプはNECのμPC814などでもよいでしょう。
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555を使ったPWMステップアップチョッパ

2010-08-16 20:44:52 | 電子回路
このステップアップチョッパは、4個直列の乾電池の電圧から、100uHのインダクタにスイッチング電流を流して磁気エネルギーに変換し、磁気エネルギーに比例して流れる電流をコンデンサ(50V470μF)にチャージすることによって昇圧する電源装置です。

2.5Vのツェナ(TL431:リファレンスIC)電圧を基準値とし、出力が15VになるようにスイッチングをPWM制御しているので、負荷に対して出力電圧の変動が小さい安定化電源でもあります。出力電流は数100mA取れると思います。ただし電流リミッタを省いていますので、実用のためにはリミッタ回路を付加した方がよいでしょう。

無安定マルチの発振周波数は12.8kHzで、トリガパルスの幅は20μSecです。
負荷電流によって出力電圧が低下し2本の1kΩによる分圧値が7.5Vを下回ると、LM358の7pin出力が上昇してワンショットマルチのパルス幅が長くなります。すると100μHを流れる電流が増加し、コンデンサにチャージされる電荷が増えて、出力電圧は15Vに復帰します。また、負荷電流が減少して1kΩによる分圧値が7.5Vを超えると、逆の動作になるわけですね。

このように、手持ちの555でステップアップチョッパもステップダウンチョパも簡単にできますが、部品数が多くなり回路も少しややこしくなりますので、実際にはやはりTL494などの専用デバイスを使用する方がいいでしょう。555で作れば、動作原理を踏まえた手作り感覚が味わえると思います。

関連記事:
555を使ったPWMコントローラ 2010-02-19
PWMコントローラTL494を使ってみよう 2010-04-04
ステップダウンチョッパとフォワード型SW電源 2010-08-25
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TL431を使用した30V2A電源の製作

2010-08-08 23:57:49 | 電子回路
【追記:2010/11/17】
2N3055のhFEがあまり大きくないため、大電流出力時にダーリントンのC2383が壊れる恐れがあります。よってC5000に変更しました。

【追記:2010/8/23】
重要な点を見逃していました。
TL431のVca(CA間の最大定格電圧)は37Vでした。電源回路が正常動作していれば大丈夫ですが、何らかの原因で暴走したりするとTL431が壊れてしまいます。よって保護用としてTL431のCA間に36Vのツェナ(RD36E:NEC)を入れてください。
-------------------------------------------------------

点線内がTL431の等価回路です。
このように、高精度の2.5V基準電源とオペアンプとNPNトランジスタで構成されています。
これだけの機能がワンチップに内蔵されているので、電源製作が非常に楽になります。
これで1個80円(共立電子)は安い!

TL431は基準電源ICの決定版と言えるでしょう。

図の電源回路の出力電圧は20kΩのボリュームで、2.5~30Vの範囲で可変できます。
電流制限回路は0.33ΩとNPNトランジスタ1個で構成しており、2Aで制限がかかります。

質問等ありましたら、ご遠慮なくコメント欄に記入してください。(^^)

関連記事:定電圧電源を作ろう③制御 2009-12-21
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静電シールドの実験(静電誘導ノイズの遮断)

2010-07-30 21:35:04 | 電子回路
【考察】
SW2オフにて、グランド板を基準(0V)としたシールド板の電位は約0-4V(サイン波50kHz)
この状態でSW1をオンにすると、当然ながらGNDとOUTは同じ振幅で振られる。
しかしながらGND-OUT間電圧は相対的に不動であるから、オシロスコープでGND-OUT間を測定した場合、ほとんどノイズは観測されない。
これが静電シールド(シールド線の場合はSGに1点接地)の原理である。
条件④がもっとも効果が高かったのは、大地接地でノイズを遮断した上で、さらに静電シールドの原理が働いたからであろう。

関連記事:ノイズと対策 ツイストペア、シールド線 2010-02-05
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時間軸で見る微分回路

2010-06-27 22:58:34 | 電子回路
図は微分回路に三角波を入力し、入力波形と出力波形を重ね合わせてみたものです。このように微分回路に三角波を入力すると矩形波を出力します。また、入力の周波数を上げれば出力の振幅は大きくなります。(数学的には当り前のことですが、オペアンプを使うことによって、これがいとも簡単にできてしまうのかすごいところです)

コンデンサの電圧電流特性を再度確認してみましょう。コンデンサの端子電圧を左図のように直線的に上昇させていくと、コンデンサにはどのような電流が流れるでしょうか?

逆から考えてみるのがヒントです。積分回路でも確認したように、コンデンサに定電流を流せば端子電圧はこの図のように直線的に上昇していきますね。ということはもう答えが出たようなものですが、直線的に変化する電圧を加えた時にコンデンサに流れる電流は定電流なのです。電流の大きさは上昇電圧の勾配に比例し、勾配が大きいほど大きな電流になります。

微分回路をもう一度見てみましょう。三角波は直線的に上昇する電圧と直線的に下降する電圧の繰返しです。INに三角波を入力すると、電圧上昇時には前述のようにCに定電流が流れ、それがRを通過するのでオペアンプの出力電圧はマイナスの一定電圧になります。次に入力電圧降下時にはCに逆方向の定電流が流れ、それがRを通過するのでオペアンプの出力電圧はプラスの一定電圧になります。これの繰り返しにより、オペアンプの出力は矩形波になるのです。また三角波の周波数が高くなれば、上昇下降の勾配が急峻になり、Cに流れる定電流が増加してオペアンプに出力される矩形波の振幅は大きくなるということですね。

関連記事:
時間軸で見る積分回路 2010-06-22
微分(加速度、速度、距離) 2007-08-12
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時間軸で見る積分回路

2010-06-22 11:31:49 | 電子回路
図は積分回路に矩形波を入力し、入力波形と出力波形を重ね合わせてみたものです。このように積分回路に矩形波を入力すると三角波を出力します。また、入力の周波数を上げれば出力の振幅は小さくなります。(数学的には当り前のことですが、オペアンプを使うことによって、これがいとも簡単にできてしまうのかすごいところです)

入力周波数と出力振幅の関係は、周波数特性(ボード線図)でも理解できますが、積分回路が出力する三角波の勾配は同じですから、矩形波の周波数が上がれば、おのずと振幅は小さくなりますね。

では、積分回路の動作メカニズムをあらためて見てみましょう。オペアンプの基本特性の復習です。

左の回路において負荷に流れる電流は定電流です。電流値はRに流れる電流で決まり、もしINに5Vが入力されれば、5/R(A)の電流が負荷に流れます。それ故に、もし負荷が抵抗(Rf)ならばゲインは-Rf/Rと決まるわけですね。

さて、積分回路の場合は負荷がコンデンサです。入力抵抗Rに流れる電流がすべて負荷に流れるのですから、負荷であるコンデンサに電荷が蓄えられることによって、コンデンサの両端に電圧が発生します。左の回路と同様、INの電圧が5Vなら5/R(A)の定電流がコンデンサに流れ、-入力端は0V固定ですから、コンデンサのもう一方の端子(オペアンプの出力)電圧が直線的に下降していきます。

次にINの電圧が-5Vになると-5R(A)の定電流がコンデンサから流れ出し、コンデンサの端子電圧が低下することにより、オペアンプの出力は直線的に上昇していきます。これを繰り返すと.....。さて積分回路に矩形波を入力すると三角波が出力されるメカニズムが見えてきましたか?(^^)

関連記事:
時間軸で見る微分回路 2010-06-27
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オペアンプを作ろう⑤ できあがり

2010-06-05 22:56:11 | 電子回路
では回路定数を入れて実際に動作するオペアンプを設計してみましょう。

トランジスタは最もポピュラーな2SC1815と2SA1015です。±両入力端が0Vの時の入力段のエミッタ電流を1mAとしました。よってエミッタ抵抗は15kΩ。このときQ2のIcは0.5mAであり、Q4Q5のVbeの電圧降下分1.4Vに等しくなるようにQ2のコレクタ抵抗を3.3kΩとしました。2段目のQ5のエミッタ抵抗を100Ω、コレクタ抵抗を10kΩとし、よってゲインは10k / 100=40dB、またコレクタ電圧は電源電圧内をほぼフルスイングします。Q8のベース電圧が-1.4Vとなる電流(15-1.4)/10kΩをQ5のニュートラル電流とし2.8Vのバイアス電圧が得られるよう2.2kΩを設定しました。

2つの100pのコンデンサは発振止めです。これは高周波に対する負帰還の道を作ったことに等しく、それによって高周波のゲインを下げて発振を防ごうとするものです。エミッタフォロワの100Ωはね、ちょっと説明が難しいけど安定化動作の目的とでも思っていてください。そう大きくは外れていません。暇のある人は抵抗無しのエミッタ直結で作ってみてください。もしかしたら問題なく動くかも知れません。

【ワンポイント】
発振は入力波形と帰還波形の位相差が0°(360°)で、ゲインが1以上の場合に生じます。

関連記事:
オペアンプを作ろう④ これでどうだ! 2010-05-27
オペアンプを作ろう① 定電圧回路 2010-05-18
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オペアンプを作ろう④ これでどうだ!

2010-05-27 00:29:01 | 電子回路
さて今度はどうでしょう。少し複雑に見えますか?動作点でのインピーダンスを高くするためにダーリントンにしてありますが、QCを一個追加しただけです。そしてエミッタフォロワのベースはQCのコレクタからとりました。QCを追加したので入力端の±が入れ替っていることに注意してください。QCのICの大きさによりQCのコレクタ電圧はプラス電源電圧近辺からマイナス電源電圧近辺までスイングします。これで前回の問題はクリアできたはずです。動作の検証は、はい、やってみてくださいね~。私は自信満々です。(^^)

関連記事:オペアンプを作ろう③ マイナス出力_2 2010-05-24
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