たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?
今日はベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」です。
この曲はもともとパガニーニがヴァイオリンの名器ストラディヴァリウスのヴィオラを手に入れたのをきっかけに、ベルリオーズに「ヴィオラ協奏曲」の作曲を依頼しますが、ベルリオーズが第1楽章を完成させてパガニーニに出来栄えを見てもらうと、パガニーニの気に入った内容になっていなかったため、その後ベルリオーズは後半を交響曲風に作曲したという、ちょっと変わった経緯のある曲です。
しかし、上記のエピソードは最近の研究によると、どうも「まゆつばもの」らしいとも言われています。
それにしても、パガニーニのヴァイオリン協奏曲を聴けば分ると思いますが、彼の作風は終始ヴァイオリンが大活躍していますから、ベルリオーズの作曲したオーケストラの活躍を交えたものが気に入らなかったらしい、と言われれば、確かに納得できるような気もしますが…、どうなんでしょう?
ベルリオーズは、この曲のタイトルにもある「ハロルド」をイギリスの詩人バイロンの詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」を下に作曲しているようですが、そのストーリーはオリジナルのものを作ったようです。
せっかくなので、どんなお話なのか紹介しようと思ったんですが…、調べ切れなかったのでごめんなさい。しかし、各楽章にはサブタイトルがついていますから、そこからいろいろ想像して聴いてみると、面白いのかもしれません。
第1楽章(山中のハロルド、憂愁、幸福と喚起の場面):
おどろおどろしい低音のコントラバスが、怪しげに鳴り響くと、その後を更に
怪しげなフレーズでファゴット、オーボエが続きます。
ひたひたと後ろから迫るような、いかにも怪しいゆっくりとした少し長めの
前奏(イントロ)が終わると・・・、
フルートがさわやかに響き、ハープのポロポロン♪というやわらかい音が聴こえ、
うっとりとするような、ヴィオラの甘いソロが始ります。
それまでの暗い曲調はまるで嘘だったかのように、暖かくしなやかなヴィオラ
の音色はとても深みのある情感たっぷりのフレーズを聴かせてくれます。
ソロを挟みながら、ダイナミックなオーケストレーションが華やかに曲を飾り、
勢いのあるオーケストラサウンドと、なめらかなヴィオラが交互に掛け合いながら
賑やかに歌い、派手に盛上がると鮮やかに曲を終えます。
第2楽章(夕べの祈祷を歌う巡礼の行列):
おだやかなホルンがポーンと鳴ると、伸びやかなオーボエが後に続きます。
弦楽器が徐々に加わってくると、ヴィオラのソロが表れます。
ヴィオラはやや、伴奏風なフレーズですが、オーケストラともバランスの
取れたコジョンビネーションはヴィオラらしい音を聴かせてくれます。
第3楽章(アブルッチの山人が、愛人に寄せるセレナード):
フルートピッコロが軽やかに跳びはねるような可愛いフレーズから始ります。
イングリッシュホルン、フルートがなだらかなソロを聴かせると、ホルンは
やわらかな音色で合わせ、ヴィオラは裏方に徹します。
やがて、ヴィオラがフルートやオーボエを誘い出すようになめらかなフレーズを
奏でると、管楽器のソロがなしなやかなフレーズでそれに応えます。
そして、3楽章冒頭のピッコロ、フルートのフレーズが始ると、ようやく
控え目なヴィオラが恥ずかしそうに胸の内を語るようにソロを聴かせていきます。
第4楽章(山賊の饗宴、前景の回想):
いきなりシンバルがバシーン!と響き勢い良く始ったかと思うと、1楽章冒頭の
低音の弦楽器のフレーズが始ります。ヴィオラがソロでつなぐと、
迫力のサウンドは収まり、ます。そして、2楽章、3楽章の緩やかなフレーズを
ヴィオラが聴かせながらも、合間にはシンバルを強調した迫力のサウンドが
渦巻きます。
シンバルに加え、トランペット、トロンボーンの迫力あるファンファーレに
ピッコロがピリリとスパイスを加えながら、ヴァイオリンが劇的な盛り上がりを
聴かせると、トロンボーンが豪快なファンファーレを力いっぱい聴かせてくれます。
ファンファーレが終わると、一旦、落ち着きますが、再びタンバリンが激しく
打ち鳴らされると、オーケストラは盛大に盛り上がります。
派手なオーケストレーションが、しばらく続き壮大な迫力を味わえます。
ようやく静かになってヴィオラのソロが表れたかと思うと、やっぱり最後も
派手に盛り上がり、めまぐるしいばかりの迫力でオーケストラサウンドを
これでもかと、言わんばかりに浴びせて派手に終わります。
情感たっぷりに様々な表情を聴かせてくれるこの曲は、とてもドラマチックな曲です。作曲のいきさつから、後半ではほとんどヴィオラの影が薄くなってしまっていますし、曲名も「交響曲」を冠する事になりましたが、分りやすいフレーズが、聴きやすいのは聴きやすいですから交響曲とか協奏曲とかのジャンルを超えた素晴らしい作品になっていると思います。
演奏時間が40分前後と、若干長めな事と冒頭が恐ろしいほど暗いので、最初はちょっと抵抗があるかもしれませんが、あの「幻想交響曲」を思わせるダイナミックな迫力は、充分に聴き応えのある一曲だと思います。
≪オススメCD≫
迫力のサウンドを是非お楽しみください。
【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★ →賑☆☆☆☆☆
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★
≪おすすめシチュエーション≫
劇的でドラマチックな展開が楽しめます。
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今日はベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」です。
この曲はもともとパガニーニがヴァイオリンの名器ストラディヴァリウスのヴィオラを手に入れたのをきっかけに、ベルリオーズに「ヴィオラ協奏曲」の作曲を依頼しますが、ベルリオーズが第1楽章を完成させてパガニーニに出来栄えを見てもらうと、パガニーニの気に入った内容になっていなかったため、その後ベルリオーズは後半を交響曲風に作曲したという、ちょっと変わった経緯のある曲です。
しかし、上記のエピソードは最近の研究によると、どうも「まゆつばもの」らしいとも言われています。
それにしても、パガニーニのヴァイオリン協奏曲を聴けば分ると思いますが、彼の作風は終始ヴァイオリンが大活躍していますから、ベルリオーズの作曲したオーケストラの活躍を交えたものが気に入らなかったらしい、と言われれば、確かに納得できるような気もしますが…、どうなんでしょう?
ベルリオーズは、この曲のタイトルにもある「ハロルド」をイギリスの詩人バイロンの詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」を下に作曲しているようですが、そのストーリーはオリジナルのものを作ったようです。
せっかくなので、どんなお話なのか紹介しようと思ったんですが…、調べ切れなかったのでごめんなさい。しかし、各楽章にはサブタイトルがついていますから、そこからいろいろ想像して聴いてみると、面白いのかもしれません。
第1楽章(山中のハロルド、憂愁、幸福と喚起の場面):
おどろおどろしい低音のコントラバスが、怪しげに鳴り響くと、その後を更に
怪しげなフレーズでファゴット、オーボエが続きます。
ひたひたと後ろから迫るような、いかにも怪しいゆっくりとした少し長めの
前奏(イントロ)が終わると・・・、
フルートがさわやかに響き、ハープのポロポロン♪というやわらかい音が聴こえ、
うっとりとするような、ヴィオラの甘いソロが始ります。
それまでの暗い曲調はまるで嘘だったかのように、暖かくしなやかなヴィオラ
の音色はとても深みのある情感たっぷりのフレーズを聴かせてくれます。
ソロを挟みながら、ダイナミックなオーケストレーションが華やかに曲を飾り、
勢いのあるオーケストラサウンドと、なめらかなヴィオラが交互に掛け合いながら
賑やかに歌い、派手に盛上がると鮮やかに曲を終えます。
第2楽章(夕べの祈祷を歌う巡礼の行列):
おだやかなホルンがポーンと鳴ると、伸びやかなオーボエが後に続きます。
弦楽器が徐々に加わってくると、ヴィオラのソロが表れます。
ヴィオラはやや、伴奏風なフレーズですが、オーケストラともバランスの
取れたコジョンビネーションはヴィオラらしい音を聴かせてくれます。
第3楽章(アブルッチの山人が、愛人に寄せるセレナード):
フルートピッコロが軽やかに跳びはねるような可愛いフレーズから始ります。
イングリッシュホルン、フルートがなだらかなソロを聴かせると、ホルンは
やわらかな音色で合わせ、ヴィオラは裏方に徹します。
やがて、ヴィオラがフルートやオーボエを誘い出すようになめらかなフレーズを
奏でると、管楽器のソロがなしなやかなフレーズでそれに応えます。
そして、3楽章冒頭のピッコロ、フルートのフレーズが始ると、ようやく
控え目なヴィオラが恥ずかしそうに胸の内を語るようにソロを聴かせていきます。
第4楽章(山賊の饗宴、前景の回想):
いきなりシンバルがバシーン!と響き勢い良く始ったかと思うと、1楽章冒頭の
低音の弦楽器のフレーズが始ります。ヴィオラがソロでつなぐと、
迫力のサウンドは収まり、ます。そして、2楽章、3楽章の緩やかなフレーズを
ヴィオラが聴かせながらも、合間にはシンバルを強調した迫力のサウンドが
渦巻きます。
シンバルに加え、トランペット、トロンボーンの迫力あるファンファーレに
ピッコロがピリリとスパイスを加えながら、ヴァイオリンが劇的な盛り上がりを
聴かせると、トロンボーンが豪快なファンファーレを力いっぱい聴かせてくれます。
ファンファーレが終わると、一旦、落ち着きますが、再びタンバリンが激しく
打ち鳴らされると、オーケストラは盛大に盛り上がります。
派手なオーケストレーションが、しばらく続き壮大な迫力を味わえます。
ようやく静かになってヴィオラのソロが表れたかと思うと、やっぱり最後も
派手に盛り上がり、めまぐるしいばかりの迫力でオーケストラサウンドを
これでもかと、言わんばかりに浴びせて派手に終わります。
情感たっぷりに様々な表情を聴かせてくれるこの曲は、とてもドラマチックな曲です。作曲のいきさつから、後半ではほとんどヴィオラの影が薄くなってしまっていますし、曲名も「交響曲」を冠する事になりましたが、分りやすいフレーズが、聴きやすいのは聴きやすいですから交響曲とか協奏曲とかのジャンルを超えた素晴らしい作品になっていると思います。
演奏時間が40分前後と、若干長めな事と冒頭が恐ろしいほど暗いので、最初はちょっと抵抗があるかもしれませんが、あの「幻想交響曲」を思わせるダイナミックな迫力は、充分に聴き応えのある一曲だと思います。
≪オススメCD≫
迫力のサウンドを是非お楽しみください。
ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」インバル(エリアフ), フランクフルト放送交響楽団, バシュメト(ユーリ), ベルリオーズコロムビアミュージックエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★ →賑☆☆☆☆☆
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★
≪おすすめシチュエーション≫
劇的でドラマチックな展開が楽しめます。
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2007年、1月15日、16日の記事に同じバイロンの「マンフレッド」を題材にしたシューマンとチャイコフスキーの作品について述べましたが、今年の初めなのに舞い上がって自分だけ楽しんで書いてしまいました。昨年の課題をそのままにしてしまいました。
バイロンの作品は悲劇的な内容で構成されているのね。特に第4楽章はチャイコフスキーの方に匹敵します。
シューマン、チャイコフスキーの「マンフレッド」もそうですが、やはり、鳥肌が立ちます。
「ハロルド」も天に昇る、そのような意味で、シリアスさを体感できる曲ではないのでしょうか。
ヴィオラがいいアクセントを付けてくれてますから、協奏曲としても、交響曲としても楽しめる、なんとなく得した気分になる1曲ですよね。