初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

交響的絵画「ポーギーとべス」 (ガーシュウイン作曲)

2007年01月28日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はガーシュウィン:交響的絵画「ポーギーとべス」です。

この曲は“交響的絵画”と題してありますが、原作は同名の歌劇をダイジェスト版みたいな感じで編曲して1曲になっている曲です。

作曲もガーシュウインなのでクラシックと言うよりはジャズの要素がかなり濃い作品になっています。しかしながら、一方で大規模なオーケストレーションを使用していますから、ジャズでは味わえないダイナミックな迫力を味わうことのできる曲かもしれません。

 その意味ではクラシック初心者はもちろん、誰でも興味深く聴ける幅広い人気を持った曲でもあると思います。様々な場面転換を想像させる曲の変わり具合も去ることながらジャズの雰囲気も堪能できるガーシュウインの独特の世界が楽しめる作品だと思います。

 そして、歌劇のあらすじは、舞台は1900年代前半のアメリカ・サウスカロライナ州に住む黒人たちの物語です。スラム街では麻薬の売買やギャンブルが日常のように行われています。主人公ポーギーは友人クラウンの恋人べスに夢中です。
ある日クラウンはギャンブルに夢中になるあまり、トラブルから殺人事件を起こしてしまいます。クラウンを逃がしたべスは逃げ遅れ取り残されます。

 残されたべスはポーギーと暮らすようになります。しばらくすると友人に誘われたべスはあまり乗り気になれないまま、キティワ島にピクニックに行くことになります。
キティワ島で潜伏していたクラウンがべスに復縁を迫ります。べスは世話になっているポーギーの元を離れる気はありませんが、クラウンはべスを諦める気は無くポーギーの元を訪れます。口論の末ポーギーは過ってクラウンを殺害してしまいます。
ポーギーは警察から事情聴取を受けますが、釈放されます。一方、一連の出来事に途方に暮れたべスは、過去の麻薬の味を思い出し友人と共にニューヨークへと向かいます。
そして、ポーギーもベスの後を追いニューヨークへ旅立つという、なんとも悲運の物語です。

 奇妙なピッコロの音色から始ります。イングリッシュホルン、クラリネット、フルート
 がさわやかな空気を作ると、美しい弦楽器がさわやかな音色を聴かせてくれます。
 やがてトランペットがなごやかな音色で落ち着いた雰囲気の曲調になります。
 サックスが艶やかな音色を響かせ、チャイムが鳴ると独特の雰囲気を味わえます。
 急にテンポが速くなりトランペットが緊張感を持ったフレーズを鳴らすと、すぐに
 一転して、朗らかなメロディに変わり、バンジョー(ギターみたいなヤツ)がのどかに
 鳴り響きます。西部劇みたいな雰囲気がとても明るく感じます。
 ところが、ホルンが鳴りまたしても急に雲行きが怪しくなり、嵐のような弦楽器の
 フレーズが響くとトロンボーンが重々しいファンファーレを響かせます。
 ダイナミックな演奏が収まると、
 再び弦楽器が嵐の後の静けさのように、さわやかな空気を連れて美しい音色を
 聴かせてくれます。それまでの騒々しかった出来事を忘れるかのような美しい
 メロディはうっとりと聴き入ってしまいます。
 そして、弦楽器の音色はそのまま眠りにつくかのようにまどろんでいきます。
 スネヤドラム(小太鼓)の心地よい響きから、テンポを上げてトランペットが
 賑やかにはしゃぐようなフレーズを奏でると、トロンボーンやトライアングルも
 勢いに乗ってめくるめく音楽を展開していきます。
 そして、トロンボーンとバスクラリネットが低音からちゃかすようなフレーズを
 聴かせると、トランペットもそのリズムに合わせてジャズテイストを交えた
 雰囲気のあるメロディを朗々と歌ってくれます。トランペットのメロディを
 サックスが繰り返すとまた、違った味わいを楽しめます。
 ドラムセットもサスペンダシンバルを陽気に叩き鳴らすと、そこはもうジャズの
 世界ですね。
 そして、管楽器、弦楽器が流れるようにフレーズをつなぎ、クライマックスへ
 向かいます。バスドラムが独特のリズムを作り出すと、マリンバ(木琴)が派手に
 その上を打ち鳴らし、トランペットが自由なフレーズを歌うとオーケストラが
 堂々とエンディングを飾ります。
 

これぞアメリカ!みたいな「古き良き時代」を彷彿させるノリノリのサウンドで聴かせてくれます。クラシックのみならず、ジャズとしても人気の作曲家ガーシュウインですから、楽しく様々な展開を聴かせてくれる作品です。
そして、様々に変わるテンポやリズムでも楽しませてくれますから、聴いていても飽きない一曲だと思います。演奏時間は25分弱と少し長めですが、実際に聴いてしまうと曲に引き込まれてあっという間に時間が過ぎていく曲だと思います。

≪オススメCD≫
ラプソディ・イン・ブルーと一緒に入ってます。
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
プレヴィン(アンドレ), ペイエ(ジルヴェーズ・ド), ガーシュウィン, スネル(ハワード), ロンドン交響楽団, オルティーズ(クリスティーナ)
東芝EMI

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆

≪おすすめシチュエーション≫
ジャズ風のアメリカサウンドを楽しめます。

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