鳩山総務相は24日、草なぎ剛容疑者が逮捕されたことを受けて「最低の人間だ」と発言したことについて、「人間は人間を評価できない。私も反省して、『最低最悪の行為』と言い換えさせて頂きたい」と述べ、発言を撤回した
鳩山総務相は23日、「恥ずかしいというか、みっともない。最低の人間としか思えない」などと発言し、総務省に苦情が相次いでいた。(読売新聞4/24)
個人が不祥事を起こせば、一緒に仕事をしている人や友人・家族にも迷惑が及ぶ。それはそうだろう。
時にそれは世間の過剰反応や、行き過ぎた自己保身感覚が前提になって生まれる「迷惑」を含むけれど、それにしたって仕方ない、そういう業界でそういう立場で仕事をしている以上、覚悟しなければならないことでもあるだろう。つまり草なぎ君の行為で具体的に「迷惑」をこうむった人達がいるのは確かで、草なぎ君はそれらの人たちに謝るべきなのだろう。
しかし、鳩山の発言はそうした流れの中に位置づけるべきものとは違う。彼の発言は要するに「私の顔に泥を塗りやがって」という怒りから来たものである上に、「最低」という言葉を使うべき基準自体、世間の一般の感覚からは逸脱しているのではないか。
「最低の人間」が「最低の行為」に言い換えられようが同じだ(ほんとに、なめとんのか?)。大臣という責任ある地位の人間の口から、「最低最悪」という言葉がこんなにいとも簡単に飛び出すことが、すでにして尋常ではない。
おお、確かに「世間一般の感覚」などあまり重視していない僕みたいなロクデナシが、そんなことを言うのは偽善的かもしれない。なにしろ僕にしてみれば、全裸で夜中に騒ぐ人間がいても、大したことではない。昼間に小学校の校庭に全裸で侵入する男がいたら、それは即刻取り押さえるべきだと思うが、夜中に人気のない公園で全裸になろうと逆立ちしようとジョギングしようと、器物破損や騒音で迷惑をかけるということさえなければ、勝手にやればいいとすら思っている。今回の草なぎ君の酔い方よりもっとひどい、ハタ迷惑な酔っ払いはいくらでもいるんだし(だけど逮捕されない──せいぜいおまわりさんに厳重注意を受けて終わり)。
大体が、全裸、というのは人間の最も無防備な状態、言うなれば一番人に危害を与えにくい状態でもある。性犯罪を除けば──といっても、たとえば女性をレイプするのにいちいち全裸になるやつもいないわけで。
だから、草なぎ君のファンにしても、そんなにショックを受けることはない。彼がいい人キャラで売ってきただけに、落差が大きいのは仕方ない。彼自身、そういうキャラでやっていくことに対して、自分でも気づかないようなストレスがあって、それがああした無意識の暴走につながったのかも知れない、という気もする。しかし、だとしても大した話じゃない。誰だって酔っ払う権利はあるのだし、TV業界には元々、全裸になることにさほど抵抗がない人間が一般社会よりはるかに高い割合で存在する。全裸くらいでいちいち騒がれたら、江頭2:50の立つ瀬がない(いや、江頭の場合は騒いでもらわないと困るのか)。
いずれにしろ、鳩山のような良家のお坊ちゃまにはショックだというのはわかる。その潔癖ぶりにはまったく反吐が出るが。それにしても、酔っ払いが全裸で騒いだくらいのことで、ガチで「最低」呼ばわりされるの妥当であるならば、この国はそれだけ平和で安全な国だということだろう。おめでとう。
ここでその潔癖なる鳩山邦夫という男にまつわるエピソードを、一つ思い出しておこう。
昨年の暮れに、死刑制度関連の特集記事に惹かれて買った「漫画実話ナックルズ」の増刊号Vol10の話を書いた(今頃、死神について)。その同じ号に掲載されていた、「鳩山法相(当時) 封印された「蝶密猟事件」を追う!」(漫画・江口渚/原作・青木理)という漫画によって知った話だ(日本国内の記事としては、その原作者・青木氏の書いた週刊現代のスクープが最初だったようだが、追随記事については知らない)。
2006年、鳩山は息子夫婦らを含む家族を引き連れてフィリピンを訪れた。「自然環境の視察」という公務理由をこじつけて、趣味の蝶採集を楽しむためである。
鳩山から案内役を頼まれたのは、マニラ在住で現地の女性と結婚し、子供をもうけて暮らしている蝶愛好家のH氏。その案内で向かった国立公園内で採集にいそしんでいる時、H氏の捕虫網が送電線に引っかかり、H氏は感電し大やけどを負った。近くに病院がなかったため、ようやく午後にマニラ市内の病院に収容された。
H氏がそのように瀕死の状態にあった時、鳩山はどうしたか?
何のことはない、その翌日も、別の自然公園に蝶採集に出かけていたのである。
全身大やけどのH氏は両足を切断する手術を受けた後も回復に至らず、事故以来ほとんど意識も戻らぬまま、数ヶ月後に死亡した。
H氏の遺族には、鳩山から、葬儀代にしかならないくらいの見舞金が届いたのみである。
後に鳩山が蝶を採集した公園は、いずれも政府の許可がなければ動植物の採取が一切禁じられている場所だということが判明した。鳩山の許可申請は出されていない。つまり、違法な密猟であった。
この事件はマニラの新聞でも報じられたそうだが、もちろん(?)鳩山は特に告発を受けていない。今も大臣の席に就いていることからも明らかなように。
彼は、草なぎ君が持っていないものを、たくさん持っているからであろう。つまりその、「最低」のエッセンスのようなものを。
古いけど、以下のブログ記事も参照。
http://blogs.yahoo.co.jp/angelescitysan/28866442.html
http://bartolina.blog4.fc2.com/blog-entry-243.html
NHKの9時からのニュースは、冒頭から草ナギ君のニュースを延々と流し続けた。
ちょっと異常だと思った。
何かウラに作戦みたいなものがあるんだろうか。
どうも「弱い文明」の読みすぎで、最近は報道を素直に見聞きできない小生です(笑)
>どうも「弱い文明」の読みすぎで、最近は報道を素直に見聞きできない小生です
それは良くない(笑)。というか、広い意味でこのブログも「報道」の一部ですから、疑いながら読むようにしてください。僕も一時の感情に任せて、乱暴なことを書く誘惑に勝てない時があります。次回その申し開きをします。
だからファンだけでなく世間ももう少し同情的かと思ったんですけどなんだか皆「襟を正せ」とか言っているのを聞いて、正直私なんか「お前らどんだけ聖人君主なんだ」と思いましたよ。もっと大らかな社会のほうが生きるのが楽なんじゃないかと思うんですけどね。
実は私も結構注目しています。
この鳩山の件もGJですが、エクアドルでの日本人による人間ハンティング観光ツアーをすっぱ抜いた記事は特に流石でした。
これは一部毎日新聞にも取り上げられて、米州機構の人権委員会でも
日本人のエクアドルでの蛮行の実態を示すソースにもなりましたね。
まだあまり知られていないようなので、是非調べてみてください。
実話ナックルズはなかなか侮れませんね。
有名人だから罪として大きく取り上げられるのも分かる気がするんです
世間も許されるみたいな錯覚を与えたくない的な感じでしょうか
でも報道や評論家?の全体がその理念で動いているのかと言うのが疑問でした
なんなんでしょうね不思議な違和感です
一般の人の反応って、僕はちょっとのん気な見方かもしれないですけど、逮捕から少し時間が経って、「同情する」「逮捕は大げさ」みたいな声が結構メディアに上がり始めましたから、まあいつものパターンとは言えるんじゃないでしょうか。ただ個人的には、鳩山のいつものパターンが許せなかった(笑)。
>ぴょんきちさん
僕も上で書いた号で初めて存在を知ったくらいなんですけど、「ゴシップ誌」みたいには侮れないものがありますよね。僕としては全部が全部うなづける記事ばかりじゃなくて、編集の一部の人のコラムなんかには納得いかないものもあったんですけどね。でも、続いてもらいたい雑誌です。
>人間ハンティング観光ツアー
全然知りませんでした。調べてみます。
まぁ地デジの広告塔やってた人物が問題起こしてポスターやCMの差し替えになったら費用が幾ら掛かるのか・・・と言う点で怒ったのかもしれませんが。
そうですね、その点では怒ること自体は当然だと僕も思います。ただその怒り方が、次のような問題を孕んでいるという指摘があります。
僕のエントリーなんかよりさすがに重要なところを突いてると思いました。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/4a4bca91159236ac880e1a6fce85c0c8