アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

香港に来ています

2019-08-30 | 香港映画

シンガポールから香港に移ってきました。報道でもいろいろご存じだと思いますが、香港情勢は活動家の相次ぐ「逮捕」で、ますます緊迫しています。街中でも、そんなニュースがどこかのテレビから伝えられると、みんな一斉に注目する、という状態で、日常生活はいつもどおり送っているものの、この件に関する市民の関心はとても高い、という感じです。香港の情勢と旅行者が注意する点などをまとめた親切なブログ「ayanohk's blog」(こちらこちら)を発見、非常に助かっていますが、明日は中心部に行く用事ができたため、このブログのご注意にしたがって、「黒い服は着ない(デモ隊の中心となる若者たちは黒いTシャツを着用している)」とか注意しながら出かけることにします。明日の抗議集会に関しては、警察の許可が出なかったため、流動的にあちこちで行われると考えられ、これは場所を避けるには大変困難な状況になってきました。

そんな香港ですが、今日は集会がよく行われる銅鑼湾のビクトリア・パークに近い映画館に、ホラー映画『雙魂』を見に行ってきました。新しくできた映画館で、Cinema City Victoriaという所です。シネマ・シティというと、我々世代はすぐ「新藝城」という映画製作会社を思い出すのですが、その映画製作会社がシネコン・チェーンにも乗り出したのが、この名を冠する映画館のようです。今のところ、旺角、銅鑼湾、柴湾など5カ所に映画館があり、ゴールデン・ハーベスト系の作品と洋画とを上映しているのですが、先行のシネコン・チェーンの嘉禾、百老匯(ブロードウェイ)、UA、AMC、MCLなどに加えて、また新たなシネコンが誕生したということは、観客数は減っていない、ということなのでしょう。どのシネコンチェーンも、夏休みのせいか日本のアニメとハリウッドのディズニー作品を主軸に上映していて、香港製のお子様映画がないのは寂しいものの、子供たちは『多[口拉]A夢(ドラえもん)』を、青年たちは『天気の子』を楽しんでいるようです。


で、ホラー映画『雙魂』ですが、よくわからなくて、怖さも中ぐらい、という作品でした。古いアパートに住む馬宥心(衛詩雅)と母(吳浣儀)と父(吳耀漢)。その建物には何か霊がついているようで、ある部屋の主婦が取り憑かれ、道士にお祓いをしてもらう羽目に。その一家は出て行きますが、宥心は昔亡くなった弟の霊では、と疑っていました。母は今でも弟の魂を家に祀り、昔のおもちゃを捨てないばかりか、新しいおもちゃを供えたりしているのです。父は飲んだくれてばかりで頼りにならず、母も勤務先をクビになったので、宥心は縫製工場で必死で働き、主任になって家にお金を入れていました。しかし、縫製工場では女子行員仲間からいじめられ、社長(戚玉武)が親切にしてくれるとその妻から疑われ、妻の従兄からは言い寄られるなど、つらいことばかり。そんな宥心のなぐさめは、古びた布製人形でした。ところがある日、幼なじみだった沉旭(林德信)が 宥心の前に現れます。そして、空いていたアパートの部屋に越してきて、何かと彼女と母に親切にしてくれます。でもそれは、悲劇へと向かうきっかけだったのでした...。


ホラー映画だから整合性などなきに等しくてOK、という感じの脚本で、蜘蛛のように廊下を駆ける女の子のイメージとか、宥心の目に次々と見える不可思議な存在とか、いっぱい出してきてくれるのですが、その「コワいもの出ました!」音響効果も聞き飽きたぞ、と見ていてダレてしまいました。ちゃんと本筋とからんでいないと、怖くないものなんだなあ、と発見した次第です。ネタバレで言ってしまいますが、宥心と沉旭は一人の中にいる男女2人の人格だった、という結論になっている(だからタイトルが「雙魂」なのですね)ものの、振り返ってみて「そういえばあそこは...」と思い当たる箇所がない乱暴な結論で、これまた「ダメじゃん!」でした。監督は李勇昌(リョン・リー)というマレーシアの人で、『大手牽小手』(2016)なども作っている中堅監督であり、脚本家としてもベテランなのですが...。まあ、あまり怖くなったので助かった、と思うことにしましょう。本作は主としてマレーシアで撮影したそうで、シンガポールの俳優戚玉武(チー・ユーウー)が出ているのも、そのからみなのかも知れません。予告編を付けておきます。

《雙魂》港版預告 8月22日 懸疑公開 Walk with Me Official Trailer



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