チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

政府、個人リストの存在は否定したものの、海上警備業務には個人情報収集も含まれていると認める!

2016年06月09日 | 沖縄日記・辺野古

 5月中旬以降、特に沖縄タイムスが追及し続けている辺野古新基地建設事業の海上警備業務の不正問題。中でも、海上警備業務での個人情報の違法収集問題は、憲法の表現の自由、個人情報保護法等に違反するきわめて悪質な行為である。

 船長やカヌーメンバーら約60名の顔写真と名前のリストが作成され、業者は、抗議船の動きを監視し、リストに基づいて個人の名前を記載した行動報告を防衛局に送っていたという。私も船長として連日海に出ているので、このリストに含まれていることは間違いない。私の顔写真、氏名等が無断でリストに乗せられ、連日の海上抗議行動での私の行動が無断で報告されていたのだから、絶対に許せない。

 この問題については、5月16日、うりずんの会(沖縄選出野党国会議員団)の5名の議員さんたちが井上防衛局長に申し入れを行い、25日には県民会議が防衛局に対して5時間近い交渉を行った。私もこの2つの行動に同席したが、その際の防衛局の回答は「今、受注業者に事実確認をしています。結果が出れば、すぐに説明させていただきます」というものだった。

 ところが、糸数慶子参議院議員が提出されたこの問題に関する質問主意書への答弁書が6月7日に出された。そこで政府、「沖縄防衛局は、御指摘の『本件リスト』を保有しておらず、また、同リストの作成や提供に係るお尋ねの事実はなく、同リストの内容についてお答えすることは困難である」と、完全に開き直ったのだ。内部の警備員のあれだけ詳しい証言が報道されているにもかかわらず、リストの存在そのものを否定したのだから許されない。

 ところが、この答弁書ではとんでもない事実も明らかになった。

 昨年以後発注された4件の海上警備業務及び陸上警備業務の特記仕様書には、「警備員は、過去1年間に個人情報保護法の研修または教育を受講しているものとする」と明記されている。通常、こんな業務発注は有り得ない。糸数議員は、「これは何故か? 防衛局は当初から、警備業務の内容が個人情報を扱うことを想定していたのではないか?」と質問されたのだが、今回の答弁書で政府は次のように答えている。

「発注者である沖縄防衛局は、警備業務の実施に伴い取得される個人情報の適正な取扱いを確保するため、契約関係書類に『警備員は、過去一年間に個人情報保護法の研修又は教育を受講しているものとする』と記載したものである」

 警備業務の実施に伴い、個人情報が取得される。つまり、防衛局は警備業務の発注の時から、この警備業務で個人情報にかかわる業務をさせることを認めたのである。何故、警備業務に個人情報にかかわる内容が含まれるのか? 政府は「本件リスト」の存在を否定したが、この特記仕様書や答弁書等からも、防衛局の違法行為は明らかである。

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 以下、参議院のホームページにも糸数議員の質問主意書、政府答弁書が掲載されているが、質問と答弁を対照させた表を添付する。

 

辺野古新基地建設事業の警備業務に関する質問主意書と政府答弁書 

                            参議院議員 糸数慶子 

    質問主意書(2016,5.30)

   政府答弁書(2016.6.7)

1.2016年5月19日の参議院外交防衛委員会で、眞鍋防衛省整備計画局長は本件海上業務を受注した株式会社ライジングサンセキュリティサービス(以下「ライジング社」という)から業務を再委託された株式会社マリンセキュリティ(以下、「マリン社」という)の残業手当未払い問題について、「労働基準監督署からの勧告対象となった8名以外に未払い分があるという情報には防衛省としては接していない」と答弁した。

 しかし、この残業手当未払い問題は、午前8時の海上での警備業務開始以前の午前4時半から5時半に沖縄市の会社を出発してからの時間、また午後5時の海上警備の解除以降、会社に戻って報告書を提出して退社する午後7から8時の時間の残業手当が未払いとなっていることが指摘されたものである。したがって、労働基準監督署に訴えた8名以外にも同様の勤務形態にあった警備員については残業手当未払いが生じることになる。    眞鍋整備計画局長が、8名以外の残業手当未払いを否定する根拠を説明されたい。 

2.今回のような法令違反行為が明らかになった以上、沖縄防衛局はライジング社との業務委託契約を解除すべきと思うが、政府の見解を示されたい。

 

<1、及び2について> 

 沖縄防衛局が発注した海上警備業務の受注者である株式会社ライジングサンセキュリティーサービスからの報告により、当該業務の再委託先である株式会社マリンセキュリティーが労働基準監督署から是正の勧告を受けたことは承知しており、御指摘の真部朗防衛省整備計画局長の答弁は、当該是正の勧告の対象となった八名以外に残業手当の未払分があるという情報には防衛省として接していない旨を答弁したものである。

  

 

  

 また、現時点において、株式会社ライジングサンセキュリティーサービスとの業務委託契約を解除することは考えていない。 

3.本件海上警備業務では、警備員が船やカヌーに乗って抗議する市民の名前を特定し、行動記録を防衛局に報告していることが複数の警備員の証言で明らかとなった(本年5月14日 沖縄タイムス)。          報道によれば、マリン社の警備船には、約60人分の顔写真や名前を記したリスト(以下「本件リスト」という)が備えられており、「警備員は船やカヌーに乗った市民をデジタルカメラで撮影、画像を拡大してリストと照らし合わせる。『操船者』『乗員』『カヌー』などに分類して名前、進行方向などを把握。報告は現場指揮を執る母船や現地本部を通じて防衛局に伝わっている」、「こうした監視は、立入り禁止の臨時制限区域の外でも実施している。また、市民が拠点とする汀間漁港敷地内の車からも監視していて、出港準備の段階から把握する」とされている。                    これらのことについて、5月16日、沖縄防衛局長は、「記事の内容については、現在受注者に事実確認を求めている。その結果を踏まえてお答えします」と回答したが、その調査結果の詳細を説明されたい。 

4.沖縄防衛局はマリン社に、本件リストを渡した事実はあるか、答弁されたい。 

5.海上では、海上保安官や在日米軍の警備担当者が、抗議活動を行っている市民の名前を呼ぶことがあるが、本件リストには何名が記載されており、記載内容は顔写真と氏名だけか、明らかにされたい。 

6.本件リストの作成に当たり、市民の氏名をどのような方法で特定し、顔写真はいかなる方法で入手したのか、説明されたい。また、沖縄防衛局は本件リストを作成するにあたって海上保安庁や警察から情報の提供を受けた事実はあるか答弁されたい。 

8.本件海上警備業務の警備員らは、抗議船やカヌーに近づいて、抗議する市民らの写真や映像を撮り続けている。これらの写真・映像は、前述の報道のように、抗議する市民らの名前を特定するため以外に、どのように使われているのか? また、撮影した写真や映像は誰が、どこで、どのように管理しているのか、答弁されたい。                               

10 沖縄防衛局は本件陸上警備業務の受注業者にも、本件リストを渡し、報告するよう指示した事実はあるか、答弁されたい。

 

<3から6まで、8及び10について>

 沖縄防衛局は、御指摘の「本件リスト」を保有しておらず、また、同リストの作成や提供に係るお尋ねの事実はなく、同リストの内容についてお答えすることは困難である。

 また、警備内容に関するお尋ねについては、これを明らかにすることにより、今後の警備に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

 

7.マリン社から沖縄防衛局に対し、海上での個々の氏名を特定した行動記録が防衛局に報告されていた事実はあるか。あるとすれば、その報告書の記載事項を全て明らかにされたい。 

11 本件海上警備業務に関し、本件リストを作成し、個々の氏名を特定した行動記録を報告させていたことは、「個人情報の保護に関する法律」、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に違反するものではないか。また、そもそも憲法で保障された「表現の自由」を侵害する重大な違法行為ないのか、政府の見解を示されたい。 

12 政府は、本件リスト、報告で名前を挙げられた市民に対して謝罪する用意はあるか。今後、政府はこのような行為を絶対に行わないことを確約すべきと思うが、政府の見解を示されたい。

 

<7、11及び12について>

 発注者である沖縄防衛局は、契約関係書類において、受注者である株式会社ライジングサンセキュリティーサービスに対し、海上警備の実施状況について、報告するよう求めている。当該報告は、発注者として警備業務の実施状況を把握するためのものであるが、お尋ねについては、警備内容に関するものであるため、これを明らかにすることにより、今後の警備に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

 また、警備業務については、不測の事故等を防止し、現地の安全を確保する目的で実施しているものであり、今後とも適切に行っていく考えである。

9 昨年以後発注された4件の海上警備業務及び陸上警備業務の特記仕様書には、「警備員は、過去1年間に個人情報保護法の研修または教育を受講しているものとする」と明記されている。沖縄防衛局が特記仕様書に、個人情報保護法の研修・教育の受講について記載を指示したのは、何故か。沖縄防衛局は当初から、警備業務の内容が個人情報を扱うことを想定していたのか。 また、今回の受注業者は個人情報の保護に関する研修、教育を実施していたか、答弁されたい。

<9について>

 発注者である沖縄防衛局は、警備業務の実施に伴い取得される個人情報の適正な取扱いを確保するため、契約関係書類に「警備員は、過去一年間に個人情報保護法の研修又は教育を受講しているものとする」と記載したものである。

 また、警備業務の受注者は、契約関係書類に基づき業務を実施しているものと承知している。

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