1日の朝日新聞が、9月下旬にも、辺野古南側で新たな護岸工事が始まると報じた。この問題について説明しよう。
(2017.9.1 朝日新聞)
下の図の赤丸部分が、防衛局が今年6月以降、K9護岸(「仮設工」だったが)の後に着工した箇所だ。この後、西側のK1護岸、東側のN5護岸の工事にかかるのではないかというのが、朝日新聞の報道である。
下が、K1護岸、N5護岸の構造図だが、いずれもK9護岸と同じ傾斜堤護岸で、まず中央部に基礎捨石を投下し、その両側を1個8トン~9トンの被覆ブロックで押さえることとなっている。ただ、予定地は極めて水深の浅いところなので、ほんの少しだけ捨石を投下すれば護岸の基礎部分造成は容易だ。
4月末から始まった大浦湾最奥部のK9護岸(延長316m)は、「仮設工事」にすぎず、わずか100mで止まってしまっていることはこのブログでも説明してきた。中央部の捨石部分の両側には、被覆ブロックではなく石材を入れた根固用袋材を置いただけで、南側に消波ブロック(12.5トン)を設置しているため、台風シーズンが終ってから、これらの根固用袋材、消波ブロックを撤去し、あらためて被覆ブロック、消波ブロック(20トン)に置き直す必要がある。防衛局は、当初から100mほどだけ、しかも仮設工事にすぎないことを前提に工事に着手し、それを「本体工事着工!」と大きく宣伝したのだ。
今回、あるいは9月末にでも、県に提出していた工程を大きく変更して、K1護岸、N5護岸の捨石投下が始まるかもしれない。しかし、被覆ブロックはまだ全く製作されていないので、両側には台風時の高波対策として根固用袋材を並べるしかない。やはり、仮設工事」にすぎず、将来、被覆ブロックに置き換えなければならないのだ。
ケーソンの置場となる海上ヤードの取り止めや、10月からの新たな海上ボーリング調査の開始など、ケーソン護岸工の全面見直し作業が始まっている。その場合、公有水面埋立法に基づく設計概要変更申請を提出し、知事の承認が必要となる。知事が承認しなければ、工事は頓挫する。そのため、簡単に工事ができる浅いところで、将来、手戻りとなることが分かっていながら、「工事は着々と進んでいる」ことを見せつけて、なんとか県民の諦めを誘い、知事の抵抗を封じることが今の防衛局の狙いなのだ。焦っているのは防衛局である。