中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

「わかな」にて鰻を食ったあとは六道の辻で謎解き

2014年07月29日 | おいしい横浜

 今日は“土用の丑”。世間ではウナギを食べる日となっているようだが、我が家ではそんな贅沢はやっていられないので、スーパーで買ってきた秋刀魚を蒲焼にするか、最悪でも「ちょうした さんまの蒲焼」缶詰ということになる。

 とかなんとか言いながら、実は先月、家族揃って関内の「わかな」まで鰻を食いに行ったのだが……。

 私が注文したのは「上うな丼」!

 うな重ではないところが寂しいけど……

 待つこと30分。冒頭の写真のような姿で登場した。


 フタをとると、鼻孔を悶絶させるような蒲焼の薫りが漂ってきた。

 ウナギの半分には山椒をかけ、あとの半分はそのままで頂くことに。
 
 箸でホロリと崩せるくらい柔らかい身。ご飯にも充分行き渡った、甘すぎないタレ。それらを一緒にすくって食べると、十年ぶりに「うなぎの口福感」が溢れてきた。

 うまいなぁ~


 ただ、ここのうな丼は昔から意見が分かれるようだね。ウナギが柔らかすぎるとか、ご飯が硬めだとか…。
 私にとっては、全く問題なく美味しい。


 こちらは娘が注文した「うな丼」。
 「上」との違いは品質ではなく、単にウナギの量だそうだ。
 これならご飯も少なくしてもらった方がいいような気もする。

 ということで、久々に「わかな」でウナギを食べたわけだが、次に「わかな」で食べられるのは何年後なのかなぁ。
 

 さて、食後は腹ごなしを兼ねて馬車道周辺を散策。
 このあたりで最も気になるモノはこれだ。


 「六道の辻通り」という石柱。
 石柱が建てられたのは数年前。「六道の辻」というのは最近の愛称のように思われているが、実は大正7年6月20日発行の『横浜近代史辞典(改題横浜社会辞彙)』に、次のような記載がある。

 六道の辻 住吉町5,6丁目間の街路なり 同所は東は住吉町5丁目より1丁目に 西は同町6丁目に 南は港町に 北は北仲通に通じ 東南は尾上町5丁目を経て馬車道に 東北は相生町を経て馬車道に 西南は新道を経て大江橋に達する6筋の道路なるより 俚俗六道の辻と呼ぶ

 昔からこのような愛称で呼ばれていたんだね。


 ところが、この場所、どう見ても六道なんてものではない。
 単なる四つ角である。

 6筋の道路とは……。


 そこで昔の地図を調べてみた。
 すると、こんなのが!


 明治11年発行の「横浜分見地図」。
 まさに、現在、石柱が建っている場所に六叉路があったのだ。

 なぜ、こんな街路ができあがったのか?
 その謎を解くため、さらに昔の地図を当たってみた。



 これは慶応元年(1865)の「横浜絵図面」。
 クリぺによって作られた実測図だ。

 太田屋新田がほぼ埋め立てられている。ここで、西側(地図の右側)の赤いラインに注目したい。
 これが埋立地の海岸線なのである。

 そこに道ができあがっている。吉田橋と州干弁天とを結ぶラインだ。
 


 続いて慶応4年(1868)の「横浜明細全図」。
 太田屋新田は完全に埋め立てられ、内部に街路ができあがっている。ここら辺が現在の関内地区だ。

 西側の海岸に沿っていた道は、そのまま残っている。
 


 それから2年ほど経った頃の「横浜全図」。
 明治3年(1870)の状況が描かれている。

 この時期になると、西側の海岸線を超えて、桜木町方面にかけて新しい土地が出現している。
 見にくいかもしれないが、「新地」と書かれた部分だ。

 埋め立て地が広がったのだ。しかし、旧西側の海岸道路はそのまま内部に取り残された状態である。


 その場所を拡大してみた。

 これでお判りでしょう。


 もともと太田屋新田の西側海岸線に沿っていた道が、埋め立て地の拡大にも関わらずそのまま残され、整備された周囲の街路パターンとの間に無用な六叉路ができあがってしまったというわけだ。

 以上が、「六道の辻通り」の謎明かしというわけ。


 そんな昔を振り返りながら関内駅に向かうと、植栽の中に何か文字を書いた板が……



 手書きで2枚。



 近づいてみると……



 猫のサバちゃんのことが書かれていた。



 ふーむ、ここに住んでいたんだね。
 今はどこで、どうしているのかな……。


 さて、以上の話は先月のことなのだが、今日、新聞にこんな記事が掲載されていた。
 自分でもビックリしたので、最後にこれを載せておく。


 見出しは「流通するウサギの正体をDNAから探る」。
 そして本文。「かつては特別な日のごちそうだったウサギ。近年は高騰しつつも、手ごろな価格で食べられる…」。

 なんでウサギを食べちゃうんだろう・・・けしからん!
 と憤慨しながら読み進み、だいぶ経ってから気がついた。


 ウナギをウサギと読み違えていたのだった。
 変な思い込みなのか、単なる早とちりなのか、それとも…

 なんかヤバイよね。


 ウサギのメルちゃん。
 11歳!
 暑さに参っているのかな。

 

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6 コメント

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六道の辻 (馬の骨)
2014-07-29 18:32:18
関西で六道の辻っていうと、あの世と此の世の分岐点。
団長、是非その付近掘ってみてください、
骨がゴロゴロ出てきませんでしょうか?
正に庶民は六道の (吉継)
2014-07-29 19:28:45
四苦八苦で特にここ数年苦しんでいます、できれば修羅の世界で阿修羅なんかに出くわしたくはないですが。ネコのサバちゃんその近辺の皆さんに可愛いがられてたのでしょうね、又メルちゃんには暑中お見舞い申し上げます。ウナギ美味しいそう去年一楽さんでウナギチャーハン以来頂いてません今年もウナギを使ったランチが登場しますかね?
土用の丑の日は (ぶらくり佐藤)
2014-07-30 03:52:46
鰻はいただかず、野毛で一献しておりました。
家族は輸入鰻を食べていたようです。
家庭に輸入鰻を持ち込むなと言い続けて20年くらい経ちますが、「どこでも食べている」などとくだらぬ言い訳を聞かされています。
ですから、家では鰻を食べたことがないんです。
「わかな」も一度は行ってみたいなぁ。
「八十八」へ行ってみようかなとも思っています。
そうそう (管理人)
2014-07-30 08:41:18
>馬の骨さん
この辻の見かけは四つ角ですが、
あとの2つは隠されているんです。
入口は勝烈庵、馬車道十番館・・・?
うなぎ (管理人)
2014-07-30 08:42:50
>吉継さん
ウナギは蒲焼に限ります。
チャーハンに入れるのは勿体無い…
国産 (管理人)
2014-07-30 08:44:37
>ぶらくり佐藤さん
中国産の安いウナギは食べる気がしません。
でも、国産のニホンウナギはもう駄目なんでしょうねぇ…

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