町長のひとり言

和食店料理長の『ひとり言』

友よ。

2010年03月07日 | 町長
夢を見た。
時々、夢をみる。
夢を見ながら、夢だとなんとなく
分かっていながら笑っている俺がいる。
もっとその夢を見ていたくて、
寝ながら笑っている自分の笑い声で
目が覚めそうなのをこらえる。
そこにはおそらく人生で一番楽しかった
時代に、友と呼んだやつらがいた。

当時、やんちゃだったあの頃。
話といえば誰が一番強いのか、
誰がどの子を好きだとか、そんな
どこにでもあるくだらない話ばかり。
力くらべがどちらが強いかでそのまま
部屋の中だというのに、プロレスが
始まったりするのは日常茶飯事。
それを見ながらみんなで笑い転げる。
なにが楽しかったと聞かれると
たいしたことはなんにもない。
けど箸が転がっても笑えたあの頃。
そして一緒に腹がよじれるほど笑った
友がいた。
かけがえのない時間を、ものすごいスピードで
一緒にかけぬけた。決して楽しいことばかりでは
なかったと思う。誰かがフラれたり、彼女と
別れたり、仲を親に引き裂かれたり。
先輩からの無茶な要求にみんなで
走りまわっていた時も、先生ともめたり
親とケンカして家出した夜も。いつもそこには
そいつらがいた。
もう一度戻れるならと聞かれたら
みんな迷わずあの頃にと答えると思う。

みんな元気かな。
後悔しているわけではない。
ただ、昔のように友と呼べなくなった
ことがさみしい。昔のようにたあいもないことで
一緒に笑い転げることができなくなったことが
さみしい。
今でもこれでよかったと思ってる。でもあの頃には、
楽しくて楽しくて、めちゃめちゃ輝いていた、
どんな一瞬でも、のがしたくないと思っていた
あの頃には、妙に熱くて毎日が事件だったあの頃には、
やっぱりあいつらがいる。


夢を見た。
ときどき夢を見る。
夢を見ながら笑って目が覚めた。
もう少し、あと少しだけ、夢だと分かっているから・・・。

それは決して戻ることのできない、
きっともうあの頃のように、一緒に腹を抱えて
笑い転げることのできない、あいつらとの夢。
あんなに純粋でまっすぐだった、熱くて一生懸命だった
あの戻ることのできない、かけがえのない季節の。


今でも覚えてるかな?
あのギラギラした、やけに熱かった夏の日を・・・。