されば悲しきアホの家系(続々…………々々々々々々)

 
 この自慢合戦は、主に名古屋の伯父と、次男坊の伯父とのあいだで起こり、近年、二条の家の兄弟姉妹が決裂するときまで続いた。

 名古屋のシュウちゃんは、もともと優秀な上に、遺産のおかげで生活の心配がまったくないという好条件も手伝って、その4年後には某省に入省して高級官僚となった。一方、次男坊の伯父のほうの従兄は、シュウちゃんが学生として過ごした、その同じ4年間(おいおい!)を浪人生として、アルバイトしながら受験勉強に費やして、結局は受からず終いだった。
 で、息子自慢の次男坊の伯父には、それがどえらい癪の種なのだ。
 
「テンもシュウも、和菓子屋は継がへんやろうな。あの店は、わしの代でお終いや。和菓子作るにしては、シュウはほんまに賢い奴やからな」と、持参した和菓子を差し出して、名古屋の伯父が言う。
「は、さよけ。エリート官僚が和菓子の修行して何が悪いんや」と、次男坊の伯父。
「官僚は和菓子作りはせえへんで。国の仕事で、大変やさかいな」
「あんなあ、兄貴。人間の出来は、頭がええだけとちゃうねんで」
「そうや。シュウを見てみい。あんな分厚い眼鏡かけてて、かなんわ。勉強のしすぎやわ」と、出戻りの伯母が助太刀する。
「せや。何事も相応や。いくら頭がええかて、嫁さんが嫌がるで。わてとこの子なんて男前やで。モテるでえ!」と次男坊の伯父。

 To be continued...

 画像は、A.オスターデ「口喧嘩」。
  アドリアーン・ファン・オスターデ(Adriaen van Ostade, 1610-1685, Dutch)

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