ギリシャ神話あれこれ:イピゲネイアの犠牲(続)

 
 一転、悲嘆と憤恨に包まれるイピゲネイア一行。クリュタイムネストラは夫アガメムノンに、イピゲネイアを助けるように、と懇願。また、ダシにされたアキレウスも激怒しまくり、イピゲネイアに同情もして、この上はイピゲネイアを護り抜く、と宣言する。
 が、当のイピゲネイアは、気丈に自ら生贄となることを決意、婚礼衣装を身に着けたまま祭壇へ向かう。

 そして殺される直前、気高いイピゲネイアを憐れんだアルテミス神が、彼女を牝鹿とすり替え、空高く連れ去る。祭壇には、血にまみれた牝鹿が倒れていた。

 こうして、イピゲネイアの犠牲によって、船隊はめでたく帆をはらんで出航する。

 ところで、アガメムノンの妃クリュタイムネストラは、美女ヘレネの双子の姉。その昔、彼女には、相思相愛の夫タンタロスがいた。が、強欲なアガメムノンは、彼女の美貌欲しさにタンタロスを殺し、彼女を妻とした。
 クリュタイムネストラが殊更イピゲネイアを愛したのは、彼女が前夫の娘だったからともいう。
 
 今、アガメムノンの虫のよい安堵とは裏腹に、愛娘を殺されたクリュタイムネストラは、彼への憎悪を新たにする。またアキレウスも、彼への憤怒を消すことはなかった。
 幸先悪し、ギリシア軍。

 To be continued...

 画像は、ジューヴネ「イピゲネイアの犠牲」。
  ジャン・ジューヴネ(Jean Jouvenet, 1644-1717, French)

     Previous / Next

     Bear's Paw -ギリシャ神話あれこれ-
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ギリシャ神話... 君に思う »