ギリシャ神話あれこれ:ヘラクレスとオンファレ

 
 贖罪を終えたヘラクレスは、意気揚々とオイカリアへ向かう。この頃、その地の王エウリュトスは、自分と息子たちを弓で敗った者に、褒美として王女イオレを娶わせる、を布告していた。好色なヘラクレス、美しいイオレが欲しかったらしい。
 弓勝負はもちろんヘラクレスの勝利。が、いざヘラクレスが王たちを敗っても、彼らは約束を先延ばしにする。ヘラクレスには狂乱して妻子を殺した前科があるので、イオレの前途を危ぶんだわけ。
 ただ、王子イピトスだけは、約束は約束だ、と進言する。だが結局、約束は反故にされてしまう。

 同じ頃、エウリュトス王の牛が盗まれるという事件が起こる。王たちは、ヘラクレスの腹癒せに違いない、と決めてかかるが、やはり王子イピトスだけはヘラクレスを弁護し、一緒に牛を捜索しようと誘いに来る。
 実際のところ、牛を盗んだ犯人は、泥棒の神ヘルメスの子アウトリュコス。彼は、盗んだものの姿形を変える能力を持つ、盗みと嘘の名人だった。
 
 濡れ衣を着せられてカンカンだったヘラクレスも、イピトスの義侠心に打たれ、ウン、と神妙に牛を捜すことに。
 ところが、イピトスが訪れた際、いつも忘れた頃に登場するヘラ神が、またもやヘラクレスに狂気を遣わす。憐れ、狂気に取り憑かれた彼は、恩人であるイピトスを城壁から投げ落として殺してしまう。

 正気に戻って、再び落ち込むヘラクレス。あーあ、どうして俺はこうなんだ。
 彼は再度デルフォイに赴き、贖罪のための神託を受ける。すると、奴隷として自分を売りに出し、買った主人に3年間仕えるように、と告げられる。

 さて、彼をヘラクレスと知らずに買い取ったのは、リュディアの女王オンファレだった。

 画像は、カヴァリーノ「ヘラクレスとオンファレ」。
  ベルナルド・カヴァリーノ(Bernardo Cavallino, ca.1616-1656, Italian)

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