ギリシャ神話あれこれ:ヘレネの誘拐(続)

 
 さて、帰宅したメネラオスは驚くやら怒るやら。早速、兄アガメムノンに相談する(この兄弟は仲が好い)。で、とりあえずトロイアに行って、ヘレネと財宝を返還するよう要求することに。

 メネラオスは交渉事に長けたオデュッセウスを伴って、トロイアへと赴く。トロイアの長老アンテノールのもとで世話を受け(刺客が送り込まれる敵地で、ギリシアの使者たちをかばった恩義で、トロイア陥落の際、このアンテノール一族は殺戮を免れた)、パリスとの交渉に臨む。が、パリスは頑強に拒絶。
 一方トロイアでも、王子ヘクトルらがパリスを説得しようとするが、パリスは受けつけない。戦争勃発後も、トロイアでは、ヘレネを引き渡してギリシア(=アカイア)軍に引き上げてもらおうという提案が何度も出るが、パリスは頑として聞き入れなかった。

 メネラオスとアガメムノンは、ヘレネを奪還すべく、ギリシア中の英雄たちを召集。ヘレネの求婚者たちは、その夫の権利を一丸となって擁護しなければならない、というテュンダレオス王による誓約を楯に取る。
 こうして、結集したギリシア連合軍の大船隊が、トロイアへと出陣、トロイア戦争の火蓋が切って落とされる。

 このとき、鳥占いに長けた老予言者カルカスは、木を這い登る大蛇が、枝先の巣のなかの雀と8羽の雛を丸呑みしたのを見て、この戦争には9年かかるだろう、そして10年目にトロイアを陥落できるだろう、と予言する。
 果たして戦況は、その通りとなった。

 To be continued...

 画像は、ティントレット「ヘレネの誘拐」。
  ティントレット(Tintoretto, 1518-1594, Italian)

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