夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

石見の海

2013-02-10 23:17:41 | 旅行
三里ケ浜の辺りで車をとめ、海を眺める。

冬の日本海の波の荒さは、知っているつもりでも、こうやって見ると、改めて人を容易には近づけない自然の厳しさを思う。

人麿も、冬の海を眺めて何かを思うことはあったのだろうか?また、隠岐島も、現代でも冬場は波が高く荒くなるので、フェリーが運航しなくなるほどだから、昔、配流された後鳥羽上皇が、冬の間、閉ざされた島の中でどのように暮らしていたのか、気になってしまった。

  つのさはふ石見の海にここだくも荒き波風磯に響動(とよ)みて

戸田柿本神社

2013-02-10 22:06:54 | 旅行
l益田市の戸田は、歌聖・柿本人麿の生誕の地と伝えられる。益田を初め、島根県の石見(いわみ)地方には、人麿に関する伝承や史跡が多く残り、この地と人麿との深い由縁を思わせる。

人麿は、今からおよそ千三百年前、天武、持統、文武天皇の時代に活躍した宮廷歌人であり、万葉歌人のうちの第一人者とされる。

和歌の神様にあやかって、学業の成就と歌の上達(笑)をお祈りした。
ちなみに私は、新古今集の人麿歌の中では、
  ささの葉はみ山もそよに乱るなり我は妹(いも)思ふ別れ来ぬれば
が好きである。これは、人麿が石見国の国司として赴任した際、現地の女性と知り合い、愛し合うようになったが、やがて任果てて京に帰ったときの歌である。(万葉集では、石見相聞歌として知られる長歌二首、反歌二首のうちの一首。)

万葉集には、「妻と別れて京に上り来る歌」というのもあり、
  石見の海打歌(うつた)の山の木の際(ま)より我が振る袖を妹見つらむか
と詠んでいるが、この「打歌の山」は、この神社に近い中垣町の大道山を想定する説があるそうだ。

そういえば、大学生の頃、万葉が専門の先生に、人麿や石見相聞歌について教わったっけ、と懐かしく思い出す。

高津柿本神社

2013-02-10 19:43:10 | 旅行
今日、訪れたのは、益田市にある二つの柿本(かきのもと)神社。

一つは昨年もこの時期にお参りした、高津町の柿本神社。五年前に、論文が書けますように、とお祈りしたら叶えていただいたので、そのお礼と今書いている論文の完成を祈願した。

その後、学業御守を新しくしようと社務所に行くが、誰もいない。昨年は、巫女さんと世間話をしながら御守を買ったのに。ベルを鳴らしても、声をあげて呼んでも誰も来ないので、途方に暮れてしまった。

小銭があれば代金だけ置いて帰ることもできるのだが、あいにく紙幣しかなく、しかも千円札を切らしている。さすがに御守一つに五千円は出せないので、いったん神社を出て近くの商店でくずしてもらい、再び境内に戻った。…このときは、神社の石段が非情に厳しく感じられた。

論文完成までの道は、決して甘くないぞ、心してかかれ、と神に諭されたように思った。

聖地巡礼

2013-02-10 18:36:40 | 旅行
冬の山陰が好きだ。
いつの頃からか、毎冬一度は山陰を訪れないと、寂しく感じるようになってしまった。

晴れの時もよいが、雪が降っている時もよい。一年で寒さが一番厳しい頃に行き、国道9号線を海沿いに走ると、日本の原風景を見る思いがする。
低く垂れこめた雲、鉛色の空、暗緑色の海、白い波濤…冬の国に来たという実感を覚える。

写真は、浜田港のマリン大橋。今日の天気は、晴れ時々曇り。聖地巡礼の様子は、またお伝えします。