最近、塩野七生さんの「ローマ人の物語」のローマ帝国が衰亡して滅亡する過程を読み返しました。いろいろと身近に感じるところがあるので…。で、最新の著書「ローマ亡き後の地中海世界」。これまたお見事です。ローマ世界、キリスト教世界にどちらかというと立った視点ですが、残された文献がイスラム側に少ない事情を考えれば当然かもしれません。ローマ帝国滅亡がいったいどういう意味をもつのかを、地中海を舞台に描いた作品は目からうろこ。なるほど中世という時代が暗黒なのはこうした事情もあっての言い方なのだ、と感じました。
勢いに乗り勢力を拡大するイスラム世界による略奪や拉致にさらさられるイタリアを中心とするキリスト教世界。ただただ手をこまねくしかない状態が長く続く。庶民にとって「平和」とは何か。国家の役割とは畢竟、庶民が平和に暮らせる状態を作り上げること。そういう意味でまさに中世は、「暗黒」。ローマ時代の知見、技術も失われ、なるほど、ルネサンスが「復興」というのもわかる気がします。
それにしても中世世界がいかにキリスト教徒にとって辛く厳しい時代であったことか。イタリアの海沿いに面々と連なるようにして残る砦の意味を知ると、なるほどと思います。以前、イタリアのリグーリア州にあるチンクエッテレにいったさい「海から敵がきたときに、この広場に誘い込めば周囲の門を閉めて袋のねずみにできる」と地元の人が説明していたのを思い出しました。そのときは、「敵」の意味がわからなかったのですが、今おもえば、あれはイスラムの海賊だったのだと得心します。
それにしてもキリスト教世界とイスラムの対立って、こんなに根が深かったことを知り、現代世界に思いを馳せるのでありました。
勢いに乗り勢力を拡大するイスラム世界による略奪や拉致にさらさられるイタリアを中心とするキリスト教世界。ただただ手をこまねくしかない状態が長く続く。庶民にとって「平和」とは何か。国家の役割とは畢竟、庶民が平和に暮らせる状態を作り上げること。そういう意味でまさに中世は、「暗黒」。ローマ時代の知見、技術も失われ、なるほど、ルネサンスが「復興」というのもわかる気がします。
それにしても中世世界がいかにキリスト教徒にとって辛く厳しい時代であったことか。イタリアの海沿いに面々と連なるようにして残る砦の意味を知ると、なるほどと思います。以前、イタリアのリグーリア州にあるチンクエッテレにいったさい「海から敵がきたときに、この広場に誘い込めば周囲の門を閉めて袋のねずみにできる」と地元の人が説明していたのを思い出しました。そのときは、「敵」の意味がわからなかったのですが、今おもえば、あれはイスラムの海賊だったのだと得心します。
それにしてもキリスト教世界とイスラムの対立って、こんなに根が深かったことを知り、現代世界に思いを馳せるのでありました。