「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

ローマ亡き後の地中海世界

2009-04-29 | 
最近、塩野七生さんの「ローマ人の物語」のローマ帝国が衰亡して滅亡する過程を読み返しました。いろいろと身近に感じるところがあるので…。で、最新の著書「ローマ亡き後の地中海世界」。これまたお見事です。ローマ世界、キリスト教世界にどちらかというと立った視点ですが、残された文献がイスラム側に少ない事情を考えれば当然かもしれません。ローマ帝国滅亡がいったいどういう意味をもつのかを、地中海を舞台に描いた作品は目からうろこ。なるほど中世という時代が暗黒なのはこうした事情もあっての言い方なのだ、と感じました。

勢いに乗り勢力を拡大するイスラム世界による略奪や拉致にさらさられるイタリアを中心とするキリスト教世界。ただただ手をこまねくしかない状態が長く続く。庶民にとって「平和」とは何か。国家の役割とは畢竟、庶民が平和に暮らせる状態を作り上げること。そういう意味でまさに中世は、「暗黒」。ローマ時代の知見、技術も失われ、なるほど、ルネサンスが「復興」というのもわかる気がします。

それにしても中世世界がいかにキリスト教徒にとって辛く厳しい時代であったことか。イタリアの海沿いに面々と連なるようにして残る砦の意味を知ると、なるほどと思います。以前、イタリアのリグーリア州にあるチンクエッテレにいったさい「海から敵がきたときに、この広場に誘い込めば周囲の門を閉めて袋のねずみにできる」と地元の人が説明していたのを思い出しました。そのときは、「敵」の意味がわからなかったのですが、今おもえば、あれはイスラムの海賊だったのだと得心します。

それにしてもキリスト教世界とイスラムの対立って、こんなに根が深かったことを知り、現代世界に思いを馳せるのでありました。

トラットリア・セレーノ

2009-04-28 | 
意外な場所ですが、板橋の区立文化会館前にあるイタリアンのお店「セレーノ」はなかなかにいい雰囲気です。まず何よりうれしい終日禁煙。店内は古民家の梁などを利用した落ち着いたつくりです。ランチは900円で、前菜2品とパスタ、コーヒーがつきます。パスタは麺100グラムを使うのでけっこう満足度が高い。

なによりお味がしかっりとしている。ホタテなんかもちゃんと生のものをつかっているし、乾燥トマトの凝縮した味をいかしたつくりなどはなかなかです。また、前菜、パスタともお皿がしゃれています。ジノリかなあ。食後のコーヒーにはウェッジウッドの器で贅沢感が味わえます。ほんと、なんで板橋に?という感じです。

ワインリストもみましたが、イタリアンワインの品揃えが充実。グラスワインに力を入れているようで、いいワインを出しています。午後6時からオードブルで飲めるとのことなので、今度寄って帰ろうかな、と思いました。

ただ、ご夫婦で営んでいるようですが、奥様の接客が下手です、はっきりいって。一人客に有無を言わさずカウンターを指差すのはいかがなものか。荷物の置き場だってないし、一応「カウンターでもよろしいでしょうか?」ぐらいな聞き方はしてほしいところです。ま、この辺は目をつぶるべきでしょうか。

「小川洋子の偏愛短編箱」

2009-04-26 | 
ひと様のお宅にお邪魔すると、つい書棚に目が行く。そこにどんな本が並んでいるかは、その人を見る上でけっこうモノサシになったりする。だから、逆にお客さんが来て書棚を見られたりすると、なんだか裸を除かれているようで妙に気恥ずかしく、つい言い訳してしまったりする。自分で選んで読んだ本とは、そんな微妙に自分の一部のような気がしている。

「博士の愛した数式」や「妊娠カレンダー」などの著者、小川洋子さんの「小川洋子の偏愛短編箱」は、「あ、やはり小川さんはこうした短編が好きなんだ。透明感や不思議な感じが似ている。小川さんの感性はこうした作品で磨かれたのか」と思わされた一冊。小川さんがご自身の好みで選んだ「大切な」短編16本が収録されています。

内田百聞、江戸川乱歩から田辺聖子、吉田知子まで。内容は一言でいえることはありえない。共通項は?と問われたら、「短編」と当たり前の答えをしてしまいそう。ただ、夏目漱石の「夢十夜」のような不思議な、この世とは思えない心象風景的情景、ダリ的世界が浮かび上がる作品が多いかなあ。田辺さんの作品なんかはいかにも田辺さんで、すごく生々しいのだけど「女」の透徹した怖さみたいなものを感じさせる作品なんかもあります。宮本輝の「力道山の弟」もきっちりした現実描写なんだけど、小川さんが短編のあとに短く書いている「感想」のように「現実になかなかいそうでいない普通の子」の話。とても愛おしい感じがします。

個人的には、冒頭の掲載作品、内田百聞の「件」がとても印象深い。頭は人間で体は牛の「件(くだん)」の物語。深海にたゆたうような心持、不安なんだけど妙に安心したような、哀しいけれどおかしいような、重要な事柄のようなささいなような、意識がかき混ぜられて混濁したような、逆に妙に冴え渡ったような感覚…そんな読後感です。

こうした自分の好きな短編を宝箱のように大事にとっておくって素敵。私も振り返って、「自分なら」と思ってみるのですが、忘却のかなたに去った作品が多いですね。大事なものはその場で宝箱に。人生の後半でいまさらですが、思ったのでありました。

アースデイライド東京2009

2009-04-20 | 自転車
地球環境のことを考える日「アースデイ」が22日なのですが、それに最も近い日曜日の19日には都内の代々木公園をメイン会場にして様々なイベントがおこなわれました。その一環で都内を自転車で走り、環境を考えつつ、自転車をアピールしよう、走る側は東京の景色を楽しんでしまおうというイベント「アースデイライド東京2009」が開かれました。てのも今回は折りたたみのブロンプトンで初参加してきました。

神宮外苑から迎賓館、英国大使館、丸の内、赤坂、青山とぬけてスタートに戻る14キロの短いライド。とはいえ、300人の参加者は6歳から66歳まで、自転車もロードからリサイクルのママチャリまでと幅広く、横断歩道は押してわたるなど、実にのんびりペースで順法走法。3時間近くかけての超スローペースで走ります。道行く人々が何だろう、という感じで見ます。イチゴを模したきぐるみなど、環境をアピールするけったいなかっこうの人もいるので人目を引きます。

ま、ペースは正直言ってイライラするぐらい遅かったですが、幸い天気に恵まれ、美しい東京の街路樹や道端の花々を愛でつつ、まずます楽しいひと時でした。なにより、少ない人数で要所要所を締めるスタッフの皆さんには心よりお疲れ様でした、と謝辞を申し上げたい。それぐらい一所懸命でした。事故が無くて何よりでした。

日本政府はエコカーやエコ家電への一時的補助金で景気対策と称していますが、はっきりいって産業構造の変革を図るべきときに根本は変えずに小手先の愚作でしのぐ愚をいい加減に認識してほしいものです。自転車を中心とするぐらいのパラダイム変換がなければ産業構造も環境政策も根本は変わらない。近代産業の延長にしかない、という気がしています。そんなことを自転車の上で考えながらのライドでした。それにしてもホントこの国の将来が心配…

銭湯2つ「春の湯」と「光明泉」

2009-04-18 | つれづれ
最近、自転車に乗った後の銭湯、温泉が最高の贅沢(さらにおいしいワインがあれば人生って素晴らしい!なのです)なのですが、さらには銭湯だけでも楽しめるようになってきて、カバンの中には実はタオルが常備されてる今日この頃です。ま、行く先で時間が赦せば、ですが楽しんでいます。

で、銭湯2つ。まずは江東区大島の「春の湯」。行った日はまさに八重桜が満開の日でした。



レトロな銭湯です。男女湯の壁は2メートルほどなのですが、天井は4階分程度。ゆったりした空間です。レトロな古時計に鉄製の扇風機。



さすがに写しませんでしたが、ジェットバスの説明書きが素敵でした。なんといったらよいのか、無機的な人を描こうと思ったのに、なぜか妙に人間っぽく感じる絵柄で、懐かしい。このジェット湯がまた勢い良くてまるで牛乳湯のように白っぽくなっている。レモンを切ったものを入れたレモン湯もあるし、なんとドライヤーが無料! 素敵です。いかにも銭湯の女将という感じの無愛想さを漂わせたおかみさんもまたレトロです。ただ、惜しむらくは壁に絵がないこと。これで富士山でもあれば銭湯ファン必見の場所でしょうに。

で、所変わって中目黒。なぜかあのおしゃれな街、中目黒の駅から2、3分ほどの場所にある銭湯が「光明泉」です。一見するとマンションのような銭湯。ラジウム泉とか。で、中はこじんまりしてて、まあ普通かなあ。サウナがありました。ただ、やはり場所柄か、客層が比較的若い感じ。また入浴したときには白人も2人いて、さすが中目黒、と感じたのでした。10円で3分使えるドライヤーを使い、まだ1分以上使えるところで「どなたかつかいませんか?」と言ったのにだれも反応しないのもさすが、裕福な目黒区の方々。下町ならこういう冷たい反応はないですよ。

板橋・大山のクレープ

2009-04-16 | 
板橋の東武東上線大山駅前にあるハッピーロード大山商店街。560メートルもアーケードが続く大きな商店街です。で、ここにある名物として有名なクレープ屋さん「ピエロ」の人気No1「生クリームバナナチョコ」(420円)を食べたら、「うーん、デリシャス!」なのでありました。

生地がモチモチしていて、生クリームはやわらか。バナナが一本分ぼーん。チョコの甘みとマッチしてボリューム、お味とも大満足というか、昼食後に食べてほんとに腹いっぱいになりました。

ここには160種類ものクレープがあり、メンタイコとか少々変わったものも。元フレンチのシェフだったようで、さすがにいろいろと工夫をしているようです。また近くに寄ったらいろいろな味をためしてみたいと思います。

神の雫20巻

2009-04-14 | 
漫画「神の雫」20巻目にしてようやく12使徒の半分。まあ、またもや縁がない高級ワインのお出ましでした。それにしても現実感がない漫画です。第6使徒のあとの人事異動話など、笑止千万。まあ、会社勤務をしたことがあるとは思えませんものね、原作者は。ワインにはまるきっかけになった漫画だから読んでいますが、ちょいとなあ、漫画としてのできばえは「?」がどんどん増えていくばかりでありました。

レッドクリフ2

2009-04-13 | 映画
赤壁の戦いを描いた「レッドクリフ」の後編です。前編はあまりいいできではなかったので、行くか行くまいかどうしようかと迷ったのですが、トニー・レオン好きの私としては彼を見るだけでもいいか、ぐらいの気持ちで観にいきました。で、今回はけっこう、なんというか「手に汗握る」内容で、満足しました。

内容はいうまでもないですよね。三国志最大の戦いをCG満載で描く。いやあ、さすがに戦いの場面は見ごたえがあります。CGとわかっているとはいえ、火攻め、雨アラレの矢攻撃などなど迫力満点。トニー・レオンがかっこいいし、金城武も素敵(と男がいうと不気味かな?)。知略と知略のぶつかり合いに愛や献身がからむ。結末はわかってはいても引き込まれましたよ。

特に、戦の場面らしく短い会話が多いので「ての」の中国語能力でもだいたい聞き取れるので楽しい、という側面も否定しません。トニーが最後に「大家都shu了」(勝者はいない)とつぶやく場面はしびれました。

三国志の中には自分のご贔屓がかならず一人や二人はいるものですが、私はなんといっても趙雲。豪傑にして清廉潔白、忠義心厚く、頭脳明晰。映画ではさらに友情に厚い男としてトニーら呉国の面々との深い信頼関係が描かれ、オジサン心にびしばしと来ました。

うーん、ジャンボ!

2009-04-12 | 
神楽坂を歩いていたら中華料理屋さんの店頭に写真のような見本が



ギョウザ100個分を一つにした巨大ジャンボ餃子のようです。9600円。時間内に食べきると無料というよくある挑戦もののようですが、どうです? 私は餃子好きなのですけど正直見ただけでアウトでしたほかにも挑戦シリーズがあるお店のようでよくテレビにも紹介されているんですって。

女神記

2009-04-05 | 
「女神記」という題名をみたとき、作者がなんといっても文壇の女王様・桐野夏生さんでしたので、てっきりご自身のことを書いた私小説なのかな? なんて思ってしまった私。不届き者です。お話は、イザナキとイザナミを主役にそえて古事記をベースに、「女性」の哀しみや業みたいなものを描いた作品です。


=以下、アマゾンから=
遥か南の海蛇の島、二人の姉妹。姉は大巫女を継ぎ、島のために祈った。妹は運命に逆らい、掟を破った。16歳で死んだ妹は、地下神殿で黄泉の国の女王イザナミに出逢う。物語の鬼神が描く、血と贖いの日本神話!


古事記の再解釈によって男女の関係、生と死、贖罪、許しなどを桐野さん流に書き込んでいる。読ませますが、でもなにか深い感動があるとか、素晴らしい作品だ!ともろ手をあげるような感じはしなかったですね、残念ながら。たぶん、私が男性だからだと思います。この小説、きっと深いところで理解できるのは女性だけではないでしょうか。やはり男と女の間には…なのです。

東京大仏

2009-04-04 | つれづれ
板橋区にご縁ができて、早速足を運んだのが「東京大仏」でした。みなさんはご存知でしたか? 奈良、鎌倉に次ぐ大きさと、お寺では自慢しているのですが…



写真が大仏様。昭和52年というから1977年の建立ということでしょう。まあ、大仏様自体はありがたく拝んだのですが、このお寺、なかなかに面白いです。いたるところに葵御紋があるのですが、縁起では徳川家から10石をもらっていたというだけの関係のようです。で、山門下の入り口にまず閻魔堂があり、山門の表側には仁王像、裏側には多聞天…

で、大仏様の周りには一度で全部が拝めてしまう「七福神そろい踏み」の石像や、藤堂家所蔵のお地蔵様やら、足の病気にご利益がある石仏やらま、なんというかとてもありがたいのですが、うーん、まあ言葉を選んでしまいますよ。

中でもてのが気に入ったのは下の写真の石仏。



ほんとになにか、うーん、と力が入り、耐えている感じ。思わず、「がんばれよ。オレも頑張るから」と声をかけたくなってしまいました。

いやあ、ありがたいこと限りなし。ご利益たっぷりなお寺です。で、ほんとにこれが日本で3番目の大仏様なのでしょうか? 周辺はのどかな農村の風情を残した都内では珍しい雰囲気。この季節、桜を愛でながら散策するのはいかが? 板橋の中でも交通の便が悪い地域ではありますが、近くにはいろいろと見所がありますよ。