セブ島移住者の本音トークⅡ

セブ島でNGO活動に従事する管理人が、フィリピン人家族との奇妙な生活や、現地での国際交流について語ります。

再び垣間見た現実...

2013-09-20 | セブ島移住生活考

さて、今回の記事について、どのカテゴリーで投稿しようかと迷ったのですが、この内容は、今後、セブへの移住を考えておられる方々、特に年配の方には、重要な情報になり得るので、‘セブ島移住生活考’に上げる事にしました。

また、今回の話題は、その当事者及び家族、関係者の承諾を得ない形での投稿になりますので、プライバシーには最大限の配慮をしつつ、敢えて、ぼかして書かなければいけない部分がある事、お問い合わせを頂いてもお答えできない部分も多い事を予め、お断りしておきます。

...本題に入りますと、今回の事件は、プルメリア奨学生の卒業生のお父さんに起こった問題です。

これまでにも、何回か同じような事を述べて来ましたが、ここの貧困層(実態として国民の大多数が貧困層と言っても良いと思います)の寿命は短くて、特に男性の場合は、これまでに僕が実際に立ち会った御葬式のケースでは、全て60歳に達する前に亡くなっているのが実態です。

やはり、言えるのは、食生活とか、生活環境が劣悪な為、日々を取り敢えず、食べ繋ぐ事は出来ても、‘健康で長生きする事’など、とても不可能な状態にあって、男女とも、年齢30歳を超える辺りから、ほぼ過半数が高血圧、糖尿病等の成人病を持っているようなイメージですね。

以前にも、このブログで投稿した事がありますが、僕らプルメリアが支援して、名古屋大学の大学院の修士課程を修了したフィリピン人男性B君(貧困層出身)は、名古屋周辺で暮らすに当たって、食材費は、月々5,000円もあれば、セブでの食生活よりも余程マシなモノが食べられると常々、よく言っていたモノです。(そして、数年前、B君のお父さんも50代半ばで、肝機能障害により、亡くなっております)

そんな中で、今回の卒業生のお父さんの一件でも、元々、高血圧だったが、お酒の止められなかったお父さん(この方も、やはり50代)が突然、倒れて、病院に運ばれたら、脳動脈瘤破裂により、くも膜下出血を起こしていたのだとか...

さて、ここから先の御話は、恐らく、日本の標準では信じられない事であり、こんな事が仮に日本で起こったならば、社会問題化するのは、ほぼ間違い無い事と思われますが、ここでは、日常のように起こっている現実なのでありまして...

このお父さんが倒れた直後、意識はまだあって、呼びかけにも反応する状態だったようです...

恐らく、日本であれば、国民皆保険の制度もあり、‘人命第一’という風土もあって、こうしたケースにおいては、即時、脳外科手術という運びになる事は間違いの無い所でしょう。

...が、その卒業生の家族には、その手術代、日本円換算にして約50万円が用意出来なかった事から、本来ならば、一刻を争う手術となる筈のモノが、半ば、放置された状態になったようです...

...こちらも偶々、ここまでは、成り行き上、情報は得られましたが、その後については、何もして上げられないのに、話だけ、根掘り葉掘り聞く事も憚られ、‘その後’お父さんがどうなったのか、話は聞けていないのですが、こちらへ何も言って来られないことを考えると、まだ、命は繋いでいるのかも知れないが、大変な状況になっているのは、ほぼ、間違いないので、非常に気掛かりです。(しかしながら、言える事には、僕は、これまでの、ここセブでのNGO活動を通して、数限りなく、こうした場面に遭遇して来て、ある面、‘慣れてしまって’どうしようもないモノはどうしようもない…とアキラメがついてしまっているので、気掛かりであっても気に病む事は、もうアリマセン。冷たいと思われるかも知れませんが仕方が無いのです)

...ひとつ言える事は、このお父さん、日本で同じような症状を起こしたのであれば、ほぼ確実に助かっているのでは...と言う事です。

それは、まず、ここでは、大半が貧困層であり、労働者の平均収入が、年間20万円を切るような状態にある中で、手術代だけで50万円懸かると言うのは、単純に経済規模を20倍スケールにして、日本の状態に近づけて、年収400万円弱の所帯に1,000万円を即時、キャッシュで用意しろと言っているよりも遥かに重い事であり、その時点で、この国の80%前後の人がどうにもならないと言う事が先ず、一点。(基本的に食えていない人たちですから、最近、日本の3割の所帯が貯蓄が出来ないと言っているレベルよりも更に状態は悪いのです)

その次には、この医療レベルの問題であり、一応、ここフィリピンと言う国、発展途上国レベルでは(御金さえ積めば)それなりの医療が受けられますが、それとて、こうした脳外科手術と言った分野で、国内の医師にどれだけの対応が出来るかは未知数であり、仮に何とか、御金を用意出来たとて、助かるかどうか、これも分らないと言う事になりましょう。(事実として、ここの富裕層は、高度医療を受ける必要がある病気に懸かった場合には、時間の許す場合、十中八九、渡米しますから)

まあ、そんな訳で、ここでリタイヤメントとかをお考えの方がおいでになるのであれば、僕の意見として、

1.健康状態が悪くない事。

2.高度な医療サービスを受ける可能性が低い事。(1にも繋がりますが)

3.万が一の場合には、日本での医療を受けられる体勢を取っておく事。(国際空港へのアクセスが良い場所に住む。日本の健保を残しておく云々)

4.安いからと言って、フィリピン庶民層がするような内容の食事を常食しない事。(間違いなく、寿命を縮めることでしょう)

…少なくとも以上の4点は必須だと思われます。

そうした事をクリアして行くと、必ずしも‘セブに住む事=生活費がかからない’…という図式にはならないかも知れませんが、これが現実です。


例えば、上記4の‘食’にフォーカスを当てると、ここで野菜をちゃんと取り入れた食生活をすれば野菜の購入には、実は日本とほぼ同等の金額を要するのです。時折、フィリピンを知る人の中で、‘フィリピン人は野菜が嫌いだ’と言う人がおりますが、これは、半分、当たっていて、半分は外れています。僕が見るに、庶民層の収入レベルでは、野菜を取り入れた食生活は、経済的に無理があります。(今回のお父さんも、野菜は食べない、血圧は高い、酒は止められない-困った事に酒はカナリ安くて手に入りやすい-で、今回、こうした状態はなるべくして成ったとも言えるんですね)


...こうした事実が、庶民層には見えていなくて、何かが起これば、お祈りして救いを求め、(実際の所、祈るしかないのが現実)ダメだとなれば、今度は、‘天国へ行けますように’とお祈りする。…結局、お祈りし、神にすがるしかないが、結果がどっちに転んでも、悪くは言えない感じですよね。(こうした状況を見れば、‘フィリピンの幸福度が高い’と言う事が、如何に‘いい加減’な話かって事は自明の理です)


そんな訳で、元奨学生には、気の毒ですが、本当に何もして上げられないのだと言う事を今、また、噛み締めている僕であります...


 

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