Pentanium Reactor Blog

ゲーム、アニメ、CG、プログラミング

CGWORLD カンファレンス

2012年11月13日 05時43分03秒 | CG
10月28日にあったCGWORLD 2012 クリエイティブカンファレンスに行ってきた。
メモと感想をざっくりと。

1枠目は スクウェア・エニックス-Gems- の 『Computer Graphics Gems JP 2012 スピンオフ from スクウェア・エニックス』
内容は書籍の紹介と補足。
スクウェア・エニックス-Gems- ってのはCG Gemsのスクエニの人たちって事だろうか。
講演者はインスタントラジオシティとIKの章の方。
GIの方は、鏡面のような時はクランピングすると暗さが際立つなどといった、アーティファクトの実例を実際に見られてなるほどといった感じ。
発展手法として紹介されたのは Adaptive Imperfect Shadow Map (視点からVPLを生成)とか Bidirectinal Refrective Sahdow Map (視点ベースで重要なVPLをサンプリングする)とか。
Ray Bundle TracingというのでGPUで視点からのパスを辿るとか。
2バウンス以上を考慮した方法もあるのですかという質問に対しては Imperfect Refrective Shadow Map というのがあるとの回答。
しかしImperfectは考え方が面白い。
IKのほうはとりあえずヤコビ行列IK最強という結論(笑)
キャプチャしたモーションデータから重さの違うものを持った時に、重心を崩さないようにモーションを変形するなんてこともできるとか。
この辺のはスクエニの論文ページにあったような気も。
モーションのブレンドは"Scatter Blend"というように聞こえたけれど、そんなキーワードでググると確かにモーションのブレンドの手法が引っかかってくるので必要があったら調査しようという感じ。

2枠目は デジタル・フロンティア の 『DFツール紹介マラソン』
デジタル・フロンティアの社内ツールの紹介。
バイオハザード ダムネーションで導入されたワークフロー用のツールとか。
それまではファイルサーバーに置いたものを各々が勝手に作業している感じだったのを、リポジトリ的なチェックアウト→作業→チェックインという流れに変えたそうな。
素材やコンポジットの設定の管理がしやすくなったとか。
ちなみにバイオはOpenEXRを全面的に導入していて、ヘッダに色々情報を入れたりしているらしい。
あとはMayaのデフォーマーやらAEのプラグイン、mental rayのシェーダーやら。
mental rayのシェーダーでできたけど、プレビュー用にMaxでCameraとして実装する必要が生じて大変だった、などといったツールをまたがっていると大変だというエピソードも。
DF TALKよろしく、求人もしてるよ。とのこと。

3枠目は OLM Digital の 『ド根性映像制作をやめないか? 映像制作を支える技術の大切さ』
講演者はフランスから来たという方。ちなみにすごい経歴。
刺激的なタイトルだけど、映像制作のどのようなところに技術を使うかという話。
具体的にはまずシステム。OLMにはSIチームがあるそうだ。
そもそも映像制作の環境にあったシステムを外注するのは難しい、とのこと。
次にパイプライン。
ネーミングやディレクトリ構成を全社で共通化するための設定ツールを用意したり。
作業者まかせにすると絶対に守らない人が出てくる、という至極真っ当な理由による。
商用ツールも無くはないけど自社で作った方が融通が利くし安上がり、ということらしい。
最後に効率化や新しい表現のためのR&D。
ホームページで配布しているツールもその一環。
OLMはアニメ関連の仕事が多いのだけれど、たとえばマジックワンドのようなものでさえ意外とセル風のべた塗りだといい感じに動作しなかったりするので、改良したものを作ったりするそうだ。
ただのwatershedだけどねって言ってた。
アンカーポイントのようなものでメッシュを動かすと、その形になるようにシェイプキーのミックスを設定してくれるというのは便利そうだなと思った。
Pose Space Deformation という言葉は覚えておいてもいいかも。
最後にPac Manのアニメ向けの求人もしてるよ、とのこと。

4枠目は 亀村/山岸/加藤 の 『リニアワークフローとカラースペース~VFXにおけるカラーマネージメント~』
最近流行のリニアワークフローを実演を交えて紹介という内容。
これは圧巻。
それぞれの機器によるガンマ補正などを全てキャンセルした『シーンリニア』でとにかく作業。
画面で確認する場合には、リファレンス用のトーンマッピングを用意して必ずそれを使って見る。
なお、リニアでフィルタをかけると効きすぎたりするので、そういう場合はLogをとってかけたりすると良いらしい。
また、CGの方は計算機なので入力がリニアなら出力もリニアになるはず、という考えでやるそうな。
もちろん確認はモニタのガンマに合わせて。
勝手にライティングの調整などをしないようにとのこと。
実写合成だとHDRでIBLなんだろうね。
色味などは最後にポストプロセスで好みにあわせれば良いとのこと。
ACES規格という色空間は覚えておこう。

とりあえずこんな感じだったんだけど、最後のカラコレの話は本当にすごかった。
実写のプレートのカラーチャートとCGでレンダリングしたカラーチャートを比較したり、測定器で計ったEV値とシーンリニアに直した値が大体一致する様子を見せたりと、とことん理屈で詰めていく。
本当に手間も知識も必要なものなのだなと思った。
あとOLMの人の言ってた、映像制作会社の技術部門の仕事が何かと言われたら『(デザイナーの)夢を叶える仕事』技術の力で。というのが良いなあと思った。

最後に、4Gamerにいくつかまとめが上がってる。
[CGWORLD 2012]「バイオハザード ダムネーション」のメイキングレポート。デジタル・フロンティアが語る長編CG映画の作り方とこだわり
[CGWORLD 2012]実際のゲーム制作で感じたUnityのメリット&デメリットまとめ――「百鬼大戦絵巻」での実例
[CGWORLD 2012]やり過ぎこそがフロム・ソフトウェアの味?――「ARMORED CORE V オープニングCG メイキング」レポート
[CGWORLD 2012]“3D映像の盛衰とこれから”が語られた大口孝之氏の講演「3D世紀 立体映画の100年」をレポート。3D映像の歴史を俯瞰できる資料の数々も一見の価値あり

偉いな4Gamer。